掲載日 : 2009年08月19日
2004 キャデラック CTS 2.6
欧州車をライバルとしたFRスポーツセダン
キャデラックの「CTS」は、2002年に創業100周年を迎えた同ブランドが総力を挙げて開発したFRスポーツセダン。「アート&サイエンス」、すなわち「創造的なデザインと独創的なテクノロジー」なるコンセプトに基づいて開発され、ハイテク感のあるシャープなスタイリングやキャデラックにとって久々のFRシャシーとなった「シグマ・アーキテクチャー」を採用している。
ライバル車にはBMW 5シリーズなどの欧州製ミドルクラスセダンが名指しされたほか、過酷なことで知られるドイツのニュルブルクリンク・北コース(全長21.6km)を3年間走り込んで開発テストを行ったことも当時大いにアピールされた。生産はキャデラック専用工場として2002年から稼動を始めたランシング グランドリバー工場(ミシガン州)で行われている。
日本での販売は2003~2007年の約5年間
日本では2003年3月に発売されたCTSは、2.6リッターV6(495万円、消費税含まず)と3.2リッターV6(595万円、同)の2グレードでスタート。いずれも5ATで、レザーシートが標準、ステアリング位置は左右が選べた。
2004年11月にはエンジンを新開発の2.8リッターV6と3.6リッターV6に換装。同時に細かな仕様変更や改良も行われた。そして約3年後の2008年1月にフルモデルチェンジして2代目となっている。(2009.08)

サイズはEクラスや5シリーズ並み
CTSのボディサイズ(全長4850mm×全幅1795mm×全高1460mm)は、メルセデス・ベンツのEクラス、BMW 5シリーズ、あるいはトヨタのクラウンに近いものだが、キャデラックとしてはかなりコンパクト。最小回転半径も5.3メートルと小さく、小回りもよく効く。
一方、「ステルス戦闘機」をモチーフにした外観は、質感や迫力が増した2代目を知っている今となってはやや荒削りな印象も受けるが、非クルマ的なデザインによるインパクトは健在。そもそもキャデラックはこの100年、新しい手法や発想を持ち込むことでカーデザインの世界をリードしてきたブランド。斬新であることはキャデラックの伝統でもあるのだ。
室内もあくまでスポーツセダン風
キャデラックというと、今でもベンチシート、コラムシフト、水平基調のダッシュボードが想像されるかもしれないが、CTSはあくまで欧州流のスポーツセダン。運転席に収まった時の印象もスポーティだ。シートはBMWほどカチッとしていないが、一部のメルセデス・ベンツや最近のクラウンと比べたくなる程度のフィット感はある。ステアリングの調整は上下に角度を変えることしか出来ないが、シート側の電動調整範囲は広く、とりあえず不満のないドライビングポジションがとれる。
ウッドパーツやレザーシートには「アメリカンな」高級感があり、またアメ車らしいゆったり感も味わえる。ただし樹脂パーツの質感は高くなく、その点に関しては「アメ車だからね」という理解が必要か。
トータルバランスの高さが売り
サンプルカーはエントリーグレードの「2.6」(182ps、24.9kgm)。2.8リッターに換装される前の2004年モデルで、走行距離は約5万3900km。新車価格は500万円超だったが、サンプルカーの販売価格は189万円だ。
デビュー当時試乗したのもこれと同じ2.6で、印象も6年前とほぼ同じ。トータルバランスの高さが印象的な走りは、同世代のメルセデス・ベンツ Eクラスや日産スカイライン、クラウンあたりに通じるもので、具体的にはFRらしく素直でスムーズな運転感覚、剛性感のあるボディとゆったりした足まわりの組み合わせ、よく切れるステアリングといったところか。少なくともこの日一緒に試乗したE240セダン(排気量はCTSと同じ2.6リッター)にまったく遜色ないどころか、コンディションの良さも手伝って個人的にはむしろキャデラックの方に好印象を受けた。細かいところでは、ウインカーレバーが日本車のように右側にあるというのも、初めてCTSに乗ると感心する部分だろう。
上級グレードの「3.2」や「3.6」ならもう少しパワーや重厚感があって、より「らしく」なるはずだが、少なくともこの2.6の場合は、良い意味で欧州車や日本車の同クラス車と同じ感覚で乗れる。仕上げやセッティングの方向性にライバル車との違いは感じられるが、基本性能においては互角以上という印象だ。
車名 Cadillac CTS 2.6 (2004年モデル)
形式 GH-AD32F
寸法 全長4850mm×全幅1795mm×全高1460mm
ホイールベース 2880mm
車重 1640kg
駆動方式 後輪駆動(FR)
エンジン 2.6リッターV型6気筒DOHC
最高出力 182ps(134kW) /6000rpm
最大トルク 24.9kgm (244Nm)/ 3400rpm
トランスミッション 5AT
使用燃料/容量 プレミアムガソリン / 66L
10・15モード燃費 8.9km/L
タイヤ 225/50R17
最小回転半径 5.3m
発売時期 2003年3月
当時の新車価格 519万7500円(2004年モデル、消費税含む)
試乗車スペック
初年度登録 2005年
販売価格 189万円(消費税込み)
走行距離 5万3900km
ボディカラー シルバー
備考 ワンオーナー
試乗日 2009年8月
前期の2.6/3.2か、後期の2.8/3.6か
初代CTSは2003年から2004年までの約2年間が2.6リッターと3.2リッター、2005年から2007年までの3年間が2.8リッターと3.6リッターとなる。初代CTSの前期・後期の性能差は大きく、また内装の質感や乗り心地も後期型ではずいぶん改良されているので、予算さえ許せば2005年以降のモデルがいいだろう。
上下グレードに関しては、装備面ではDVDナビ(2.6/2.8ではオプション、3.2/3.6には標準装備)や電動サンルーフの有無くらいしか違わない。なので必要十分なパワーでよしとするならエントリーグレードの2.6/2.8を、大排気量による余裕を重視するなら3.2/3.6を、ということになる。
今後は2代目CTSもぜひチェック!
さらに予算に余裕があれば、ぜひ2008年以降の現行CTSも検討していただきたい。初代をベースに内外装から走りまで大幅に洗練させた2代目CTSは、個人的には国産・輸入を問わずクラスベストに挙げたい1台。日本では馴染みが薄く、それゆえ正当に評価されていない感のあるキャデラックだが、そこはやはりGMのハイエンドモデル。性能、品質、コストパフォーマンスなどの点で、日欧のクルマにない豊かさや贅沢さを感じさせるクルマとなっている。ぜひその片鱗を実車に乗って確かめていただきたい。
Text:Kei Niwa, DAYS
Photo:DAYS









