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Uカー試乗記

Uカー試乗記

掲載日 : 2009年09月16日

2005 メルセデス・ベンツ ビアノ 3.2 トレンド

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いわゆるひとつの2代目Vクラス

今回のサンプルカーは2005年式の「3.2 トレンド」

メルセデス・ベンツが商用バン「ヴィトー」をベースに開発した「Vクラス」(1998年日本発売)は、デザインや機能性、手頃な価格などが受けて、日本でも欧州製ミニバンでは異例の人気車となった。

2003年に発売された「ビアノ」はこの初代Vクラスの後継車だが、設計そのものは完全に一新。同社初のFF(前輪駆動)車となった初代Vクラスと異なり、ビアノはFR(後輪駆動)方式を採用。スタイリングも従来のVクラスより丸みを帯びたものとなり、「バン」ではなく「ミニバン」らしさを強めている。

2006年にはマイナーチェンジと共に車名を「Vクラス」に変更し、これによって名実共に2代目Vクラスとなった。生産は初代Vクラスから一貫して、スペインで行われている。

 

2003年10月に発売。2006年11月にVクラスに改称

初代Vクラスに比べてデザインは柔和だが、その「道具感」は国産ミニバンとは一線を画す

2003年10月発売時のラインナップは「3.2 トレンド」、「3.2 アンビエンテ」(革シート、アルミホイール、リア・セルフレベリング機構付エアサスを装備)、「3.2 アンビエンテ ロング」(荷室部分を延長)の3グレード。エンジンは全車3.2リッターV6・SOHC(218ps、31.1kgm)で、変速機は5AT。全車DVDナビを標準装備して、価格は470万円、540万円、560万円(いずれも消費税含まず)だった。

2006年11月には「Vクラス」に改称し、グレード名は「V350 トレンド」、「V350 アンビエンテ」、「V350 アンビエンテ ロング」となった。排気量は3.7リッターに拡大され(231ps、35.2kgm)、この時から電動スライドドアも用意されるようになった。

2007年11月にはエンジンを新設計の3.5リッターV6・DOHC(258ps、34.7kgm)に換装。2009年9月現在も上記3グレードで販売中だ。(2009.09)

 

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シンプルで道具感のあるデザイン

ボディサイズは全長4755mm(ロングは5000mm)×全幅1910mm×全高1900mm(アンビエンテは1930mm)。ホイールベースは全車共通で3200mm

ビアノおよび2代目Vクラスのボディは、標準(全長4755mm)とロング(全長5000mm)の2つがあり、サンプルカーは標準ボディの方。アルファードやエルグランドより10センチほど全幅が大きいのは確かだが、それ以上に大きく見えるのは、垂直に切り立ったサイドパネルやウインドウのせいだろう。最近の国産ミニバンに比べて、シンプルで道具感のあるデザインだ。

 
両側スライドドアと垂直に切り立ったリアゲートを備える。ルーフレールはアンビエンテのみ
「3.2 トレンド」では、アルミホイールは販売店オプションだった
オートプラネット駐車場にあったVW製マルチパーパスビークルと3ショット。中央が1980年代のT3 ヴァナゴン、左端がT4 カリフォルニア(キャンパー仕様)
 

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道具としての機能性がウリ

「3.2 トレンド」はファブリック仕様。パーキングブレーキはメルセデス流に足踏み・手戻し式

機能性を追求しつつ、和やかな雰囲気もあるインテリア。上級グレードの「3.2 アンビエンテ」はレザーシートとウッド調パネルだが、この「3.2 トレンド」はファブリックシートとアルミ調パネルという飾り気のない仕立て。質感的には、同世代のAクラスよりは高いがCクラスには及ばず、といったところか。いずれにしても高級感云々ではなく、あくまで「道具」としての機能性を語るべきクルマだ。

その象徴と言えるのが、ガッシリした作りのシートとシートアレンジの多彩さだろう。2列目と3列目のシートは脱着可能で、2列目を後ろ向きに固定し、3列目と対座させることも可能。あるいは2列目のキャプテンシートを3列目にしたリムジン仕様や、逆に3列目の3人掛けシートを2列目にした5人乗り仕様にも出来る。もちろん2列目と3列目を取り去って、最大4500リッター(ロングボディなら5000リッター)の広大な荷室スペースとすることも可能だ。

ただし問題はシート自体がかなり重い上に、ロック解除などの各種操作がこれまた重く、シートの脱着が大変なこと。以前にもビアノのシートアレンジには挑戦したことがあったが、今回も途中で挫折してしまった。国産ミニバンのようにシートの床下収納や跳ね上げといった機能はないので、自分の用途に合わせて「決め打ち」するような使い方が良さそうだ。

 
ティップシフト(マニュアルモード)付のインパネシフトは操作しやすい。ビアノの場合、DVDナビは全車標準
空調の操作パネルは最上段に配置。リアエアコンもここからと後席からの両方で操作できる
欧州車らしいガッシリしたフロントシート。ドライビングポジションもきめ細かく調節可能
 
床は低めで開口部も広く、乗降性は悪くない。ビアノのスライドドアは手動だが、マイチェン後のVクラスには電動が用意された
2列目のキャプテンシートはタンブル、つまり背もたれを倒して座面ごと前に転がして畳める
3列目シートは2:1分割だが、背もたれは3分割で、3点式シートベルトも3人分を内蔵する。そら豆型ヘッドレストも全席に装備
 
サイドウインドウは電動でわずかだが開閉可能。空調操作パネルやドリンクホルダー、12V電源も備わる
3列目をタンブルしたところ。取り外すことも可能だが、今回は時間の関係もあって断念
荷室容量(最小値)は標準ボディで430リッター、「ロング」で730リッター。物が転がり落ちないようラゲッジネットが備わる
 

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国産ミニバンにない重厚感、安定感が魅力

予想外に軽快に走ってくれるビアノ。ESPはもちろん標準

今回試乗したのは2005年式(4年落ち)で走行1万4600kmのワンオーナーカー。ビアノには2004年にも同じ「3.2 トレンド」の広報車両に試乗しているが、印象は当時と同じで、経年や走行によるヤレもほとんどないと思えた。まだまだこれから、という感じだ。

初代Vクラスは自社製2.3リッター直4やVW製2.8リッターV6エンジンで前輪を駆動したが、ビアノは当時のEクラスと同じ3.2リッターV6(218ps、 31.1kgm)で後輪を駆動するFR車。車重は2090kgもあり、日産エルグランドのV6ほどパワフルな走りは望めないが、5ATが低中速のトルクをうまく引き出し、少なくともフル乗車や坂道でなければ思った以上に軽快に走ってくれる。

ビアノが優れているのは、欧州車らしくいかにも地に足が付いたというか、走りに落ち着きと重厚感があることだ。国産の高級ミニバンのような当たりの柔らかさこそないが、ガシッとしたフラットな走りは高速道路を長時間走っても疲れなさそう。路面のうねりや凹凸への対処もしっかりしていて、安心感が途絶えない。気になるのはロードノイズが多少大きめなことだが、不快な音や振動は特にないので、慣れてしまえば「まあいいか」と思えてくる。

もちろんESPを標準装備。小回りもよく効く

エンジンは3.2リッターV6・SOHC。後のV350で3.7リッターになった後、3.5リッターDOHCに換装された

ESPを標準装備する点も、当時の(今でも?)一般的な日本車とは違うところ。この手のクルマでは高速走行時に急制動や急ハンドルを行うと、ドキッとするような挙動を示すことがあるので、そんな時に姿勢制御を行ってくれるESPはぜひ欲しい装備だ。

一方、街乗りも決して不得手ではない。最小回転半径は5.4メートルと拍子抜けするほど小さく、意外にもアルファードやエルグランドより小回りが効く。実際に運転してみても、下手な2リッタークラスのコンパクトカーより「ハンドルがよく切れる」。このあたりは高級セダンでも小回り性能で定評のあるメルセデス・ベンツらしいところだ。

 

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車名  Mercedes-Benz Viano 3.2 Trend (2005年式)
形式  GH-639811C
寸法  全長4755mm×全幅1910mm×全高1900mm
ホイールベース  3200mm
車重    2090kg
駆動方式  後輪駆動(FR)
エンジン  3.2リッターV型6気筒SOHC
最高出力  218ps(160kW) /5600rpm
最大トルク 31.1kgm (305Nm)/ 2800-4750rpm

トランスミッション  5AT
使用燃料/容量  プレミアムガソリン / 75L
10・15モード燃費  7.8km/L
タイヤ      225/60R16
最小回転半径   5.4m
発売時期     2003年10月
当時の新車価格  504万円(消費税込み、2004年7月発売モデル)

試乗車スペック


初年度登録  2005年
販売価格   229万円(消費税込み)
走行距離   1万4600km
ボディカラー  アークティクホワイト
備考     ワンオーナー、DVDナビ(標準装備)、CDチェンジャー、ETC
試乗日    2009年9月

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「ミニバン」か「道具」か

オートプラネット名古屋に並ぶビアノ。ボディカラーは赤、黒、青、グレーなど各色あり、写真は人気の白

冒頭で触れたように「ビアノ」が販売されたのは2003年秋から2006年秋までの3年間。その後の3年間は、改良版の2代目Vクラスが販売されている、というのが現状だ。

ちなみに、この2代目Vクラスは単にビアノの名称とエンジンを変更しただけのモデルではなく、装備もアップデートされている。17インチアルミホイールをはじめ、ボディ左側の死角をカバーするサイドビューカメラも全車に標準装備するほか、開け閉めに力が必要だったスライドドアもオプションもしくは標準で電動になった。これらを考えると、ファミリーミニバンとしてはビアノの後継である新型Vクラスが無難な選択かもしれない。

ビアノはUカーでこそ生きる

新車で約500万円もしたクルマが、Uカーとはいえ今や229万円で買える

しかし、「ビアノ=Vクラス」本来の質実剛健な道具感に魅力を感じるのならどうか。それならだんぜん、今回のような「ビアノのUカー」がおすすめだ。

何と言ってもそのドンガラの大きさは、家族や遊び道具の多い大人にとって、めっぽう魅力的。作りのいいシートを活かしてモバイル・コテージにするのもいいし、2列目や3列目を取り去って、趣味の自転車やオートバイ用のモバイル・ガレージにするのもいい。もちろんその気になれば、キャンパー仕様への改造もありだ。しかも4、5年落ちで、見た目も機械的コンディションも申し分ないビアノが今なら200万円そこそこで買える。この手のマルチパーパスビークル、あるいは「おもちゃ箱」が欲しいと思っている人にとっては、かなり興味をそそられる話ではないだろうか。

 

Text:Kei Niwa, DAYS
Photo:DAYS


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