掲載日 : 2009年12月09日
2003 ランドローバー ディスカバリー HSE
1998~2005年に販売されたランドの中核モデル
豪華なレンジローバーと質実剛健なディフェンダーの間で、RVやファミリーカーとしての性格を強めたのが1989年にデビューした「ディスカバリー」だ。
1998年には、通称「シリーズ2」あるいは「ディスコ2」と呼ばれる2代目(以下ディスコ2)にモデルチェンジ。初代のデザインや基本構造を踏襲しつつ、信頼性や快適性などが抜本的に改良されたモデルとなった。
さらに2003年にはフロントマスクをレンジローバー風に変更。今回取り上げるのは、このディスコ2のフェイスリフト版だ。
日本では1999年に発売。2003年にフェイスリフト
ディスコ2が日本で発売されたのは1999年5月。今回のフェイスリフト版は2003年1月に発売された。エンジンは前期型とほぼ同じ4リッターV8(185ps、34.7kgm)で、グレードは「SE」とレザーシート等を備えた豪華版の「HSE」。価格はそれぞれ445万円と490万円(消費税含まず)だった。いずれも3列シートの7人乗りだ。
2003年と2004年には限定車として5人乗りの「リミテッド」を設定。特別仕様車には他に2004年の「スポーツ エディション」(200台限定)と「ロイヤルエディション」(50台限定)があるが、フェイスリフト版の販売期間は実質2年間と短い。2005年には完全に新設計の3代目「ディスカバリー3」にバトンタッチした。
なお、ランドローバーはもともと英国ローバー社のブランドだが、1994~2000年の間はBMW、2000~2008年はフォード、2008年以降はタタ社の資本傘下に入った。ただし生産は一貫して英国のソリハルで行われている。

レンジローバー風の顔となった後期型
試乗したフェイスリフト版(HSE)の外寸は全長4720mm×全幅1890mm×全高1940mm。ディスコ1に比べてリアオーバーハングこそ長いが(3列目の居住スペースを拡大するため)、ガラス類は初代レンジローバーのものが脈々と流用されているという。外板の多くはアルミ製だ。
デザインはモダンとクラシックが入り交じった独特のもの。2003年以降のモデルはレンジローバー風の「ツインポケット・ヘッドランプ」が特徴だ。当時は顔の部分だけレンジローバーのイメージを借りたような印象を受けたが、今見ると質感が高く、好感が持てる。
視点の高い「コマンドポジション」
ランドローバー車で毎回びっくりするのが、視点が高く、逆にダッシュボードや横のベルトライン(窓枠下の水平ライン)が極端に低い「コマンドポジション」だ。オーバーに言うと、クルマの中に立って、屋根の上から周囲を見渡すような感じ。悪路走行時に路面状況や車両感覚をつかみやすく、渋滞時の見晴らしも良好だ。
室内の雰囲気はこの「HSE」だと豪華そのもの。ウッドパネルはフェイスリフト版で廃止されてしまったが、雰囲気は2代目レンジローバーとあんまり違わないんじゃないかと思うほどだ。
凝りまくりの2列目、3列目
豪華と言えば、後ろのシートも同様だ。2列目はレンジローバーかと見紛うような作りで、3人掛けも余裕で出来る。
またディスコ1で軍用車のようだった対座式の3列目は、ディスコ2では一般的な前向きタイプに変更されている。サイドに折り畳むタイプだが、単純な跳ね上げではなく、一度90度反転してサイドに寄せるもの。ヘッドレストは天井から吊り下がるタイプだ。こんな凝った作りのサードシートは、他ではそうそう見られない。
乗り降りはリアゲートから行うので、バンパーにはちゃんと足を掛けるステップがあり、ドアの内側にはドアハンドルが備わる。乗り降りは下手なミニバンのサードシートより簡単だ。
V8パワーで意外に軽々走る
試乗したのは2003年式の上級グレード「HSE」。当時は消費税込みで514万5000円だったが、今回の車両は6年落ち、走行4万3900kmで、販売価格は229万円。コンディションは非常によく、前のオーナーはかなり気を使って乗っていたはずだ。
ディスコ1には「Tdi」と呼ばれる2.5リッター4気筒ターボディーゼル車もあったが、ディスコ2は4リッターV8・OHV(185ps、34.7kgm)のみ。V8らしい滑らかなトルクで、2.1トン超のボディを軽々と引っ張る。実際、加速に関しては、同じ日に乗った3代目ジープ・チェロキー(ディスカバリーより300kgほど軽い)に遜色なく、むしろリードできるほどだ。ただ10・15モード燃費は6.3km/Lで、実燃費はおそらく5km/L前後だろう。
後継車であるディスコ3のサスペンションは前後ダブルウイッシュボーンのエアサスという、レンジローバー並みにモダンなものとなったが、ディスコ2はサスペンションストローク命の前後リジッド。ただしリアには車高調整用のエアサスが備わる。前後リジッド車にありがちな曖昧な動きや荒さはなく、今の基準で言っても直進安定性は良好だった。
短時間の試乗で唯一気になったのが、とくかく小回りが効かないこと。最小回転半径は5.9メートルだが、体感的にはそれ以上に思えた。デフの作動制限がちょっと強めのような感じだ。
悪路走破性について
オフロードの走破性は、カタログスペックによると(手元にディスコ2・前期型のカタログしかないが、フェイスリフト版でもほぼ同じだろう)、アプローチアングルは31/30度(それぞれオンロード/オフロード)、ランプブレークオーバーアングルは25/27度、ディパーチャーアングルは21/25度。最低地上高は210mm、渡河水深限界は500mmだ。このあたりは、おおむね現行ランドクルーザー(200系)と大差ないが、その実力を知るには、かつてディスコでジャングルの道なき道を走破した冒険イベント「キャメルトロフィー」の映像を見るのが手っ取り早い。まるで手足のように伸びる前後サス、頑強なラダーフレーム構造、トラックみたいにゴツい駆動系など、そのメカニズムは極めてヘビーデューティだ。
なお初代同様、ディスコ2でも「センターデフをロック出来る(前後直結4WDに出来る)」とした記述を大手のwebサイトで見かけたが、試乗した車両にも、手元にある日本仕様のカタログ(1999年版)にも、デフロック用の操作レバーや前後直結に関する記述はない。また英国仕様のディスコ2でも途中から廃止、もしくはオプション設定となったようだ。センターデフロック非装備となった理由は、ESPなどの電子制御デバイスによってその必要性が低くなったこと、そして使いこなすのに経験や知識が必要だからだろう。
車名 Land Rover Discovery HSE (2003年式)
形式 GH-LT94A
寸法 全長4720mm×全幅1890mm×全高1940mm
ホイールベース 2540mm
車重 2140kg
駆動方式 フルタイム4WD
エンジン 4.0リッターV型8気筒OHV・2バルブ
最高出力 185ps(136kW)/4750rpm
最大トルク 34.7kgm (340Nm)/2600rpm
トランスミッション 4AT
使用燃料/容量 プレミアムガソリン / 93L
10・15モード燃費 6.3km/L
タイヤ 255/55R18
最小回転半径 5.9m
発売時期 2003年1月(ディスコ2 フェイスリフト版)
当時の新車価格 490万円(消費税別)
試乗車スペック
初年度登録 2003年8月
販売価格 229万円(消費税込み)
走行距離 4万3900km
ボディカラー オスロブルー
備考 上級「HSE」グレード(レザー内装、18インチタイヤ、リアエアコン等を装備)、ETC
試乗日 2009年11月
今買うなら迷わずディスコ2
「今」、Uカーでディスカバリーを買うなら、信頼性の点でディスコ1(~1999年)ではなく、ディスコ2(1999~2005年)が圧倒的におすすめだ。設計は最高、しかし生産品質は諸々の事情から低かったディスコ1。ディスカバリーでトラブルと言えば、そのほとんどがディスコ1のものだ。それを1994年にローバー社を傘下に入れたBMWが徹底的に作り直したのがディスコ2であり、言わばローバー時代から脈々と続いてきたディスカバリーの最終完成型。高年式という点では、今回試乗した最終モデルのフェイスリフト版(2003~2005年)がベストだ。
今やUカーだと2代目レンジローバー(1995~2002年)あたりと値段が変わらなかったりするディスコ2だが、英国製十徳ナイフとでも言うか、「サンダーバード」に出てくる特殊車両?みたいとでも言うか、機能優先のデザインやカラクリ、マニアックさは、このディスカバリーにしかない魅力だろう。いずれにしてもマニア向けだ。
Text:Kei Niwa, DAYS
Photo:DAYS




