掲載日 : 2010年01月07日
2007 メルセデス・ベンツ C250 アバンギャルド
さらにスポーティさを追求したベンツの最小セダン
メルセデス・ベンツのコンパクトセダン(いわゆるDセグメントカー)は、1982年にデビューした「190E」(W201型)に端を発するが、その後継車が1993年にデビューした初代Cクラス(W202型)だ。Cクラスは2000年に2代目(W203型)、そして2007年に3代目(W204型)となっている。
今回取り上げるこの3代目Cクラスは、操縦性のテーマを「アジリティ」(俊敏性)とするなど、従来以上にスポーツ性を強めたモデル。またスポーティな「アバンギャルド」と大人しめの「エレガンス」という2つのラインナップを用意したのも、この3代目からの試みだ。
主力は直4SC(5AT)とV6(7AT)。2009年に直4ターボ(5AT)を追加
日本では2007年6月に発売。当初は3種類のエンジンと5つのグレードでスタートした。具体的には、
・1.8リッター直4スーパーチャージャー(184ps・25.5kgm、5AT)の「C200 コンプレッサー エレガンス」と「C200 コンプレッサー アバンギャルド」
・2.5リッターV6(204ps・25.0kgm、7AT)の「C250 エレガンス」と「C250 アバンギャルド」
・3リッターV6(231ps・30.6kgm、7AT)の「C300 アバンギャルド S」
という構成で、価格は450万~664万円だった。
2007年10月には、強力な6.3リッターV8(457ps・61.2kgm、7AT)をエンジンベイに押し込んだ「C63 AMG」を追加。2008年4月には逆に、エントリーグレードとして「C200 コンプレッサー」を追加して、ラインナップの幅を拡大。2008年7月にはバックモニターの全車標準化なども行われている。
2009年8月には従来の2.5リッターV6エンジンモデル(C250 エレガンス/アバンギャルド)を廃止し、代わりにEクラスにも追加設定された1.8リッター直噴ターボ(204ps・31.6kgm、5AT)を持つ「C250 CGI ブルーエフィシェンシー アバンギャルド」を新設定。そして2009年12月現在も、それ以外のC200、C300、C63AMGと共に販売中だ。

取り回しの良さはクラス随一
全長4585mm×全幅1770mm×全高1445mmというボディサイズは、BMWの現行3シリーズ(E90型)、アウディのA4、トヨタ・マークXなどより明らかに小さい。特に全幅に関しては今やこのクラスだと1.8メートル前後が普通だから、このコンパクトさは掛け値なしに貴重だ。
デザイン面では、ヘッドランプが先代(2代目Cクラス)の目玉焼き型4灯から、新型Sクラス風の角形異形に戻ったのが大きな特徴。また「アバンギャルド」のフロントグリルは、SL、SLK、CLといったスポーツクーペ系と同じデザインになり(中央にスリーポインテッドスターをドーンと配置)、一方の「エレガンス」では、今まで通り格子グリルとボンネット上のエンブレムという組み合わせになる。
電動格納式モニター&コマンドコントローラーを採用
インテリアのデザインや質感は、ブランドに対する期待に十分に応えるもの。操作系はやや保守的で、例えばパーキングブレーキは電子制御式ではなく、今まで通り足で掛けて手で戻すタイプだ。今までメルセデスに乗ったことのある人なら、違和感なく運転できるはず。
旧来と違うのは、ダッシュボード上段に電動格納式のHDDナビ用モニターが備わり、これをシフトレバー手前の「コマンドコントローラー」で操作するところだ。パソコン的な操作感覚には多少の慣れが必要だが、文字通りサクサクと動くし、ナビ自体の性能や使い勝手もいい。この手のインターフェイスとしてはかなり操作性のいいものだ。
ファミリーカーとして使える室内空間
このクラスのFRセダンの場合、後席はどうしても狭くなりがちだが、最近のモデルは各社共にホイールベース等を伸ばして、かなりその点を改善している。Cクラスの場合もホイールベースを先代より45mm伸ばし、E90型3シリーズと同じ2760mmまで拡張。乗り込む際の足入れ性から座った時の足もとまで、不満のない広さとしている。大男4人だとちょっと窮屈だが、ファミリカーとしては十分だろう。
リラックスして走れる絶妙なパワー感
今回試乗したのは2007年式の「C250 アバンギャルド」。2年落ち、走行距離1万2300kmというコンディションは、Uカーと呼ぶには申し訳ないものだが、販売価格は新車時の570万円に対して、おおよそ2/3の389万円。現行Cを狙っている人には、ちょっと気になる物件だろう。
ちなみに半年前、この2.5リッターV6搭載車は、1.8リッター直噴ターボエンジンの「E250 CGI」の登場と共に、現行ラインナップからはドロップ済みなので、新車ではもう買えないグレードだ。
1540kgの車重に対して、2.5リッターのV6パワーはまったく適度で、「○○が足りない」とか「ここがもう少し」みたいなところが一切ない。この日、一緒に試乗したBMW X3(3リッター直6)がかなりパワフルで、レスポンシブだったのに対して、C250は逆にパワー感がちょうどよく、ずいぶんリラックスして運転できた。普通、SUVとセダンを比べたら、SUVの方が大人しく感じられるものだが、こんなところもBMWとメルセデス・ベンツの差なのだろう。
また、2年前に試乗したC200 コンプレッサーには、街中で少なからずかったるさを感じたが、このC250なら全然大丈夫。C200 コンプレッサーにも独自の魅力はあるが、誰でもすぐに馴染めるのは2.5リッターV6の方だと思う。
また相変わらず小回りがよく効く点にも「さすがメルセデス」と感心した。上でも触れたように最小回転半径はわずか5.1メートルで(現行MINIと同等)、体感的にはそれ以上。「前輪が真横になってるんじゃないの?」と思うくらい、ステアリングがよく切れる。縦列駐車が苦手な人でも、運転が上手くなった気がするはずだ。
車名 Mercedes-Benz C250 Avantgarde (2007年式)
形式 DBA-204052
寸法 全長4585mm×全幅1770mm×全高1445mm
ホイールベース 2760mm
車重 1540kg
駆動方式 FR(後輪駆動)
エンジン 2496cc V型6気筒DOHC・4バルブ
最高出力 204ps(150kW)/6100rpm
最大トルク 25.0kgm (250Nm)/3500-4000rpm
トランスミッション 7AT
使用燃料/容量 プレミアムガソリン / 66L
10・15モード燃費 9.3km/L
タイヤ 225/45R17
最小回転半径 5.1m
発売時期 2007年6月
当時の新車価格 570万円(消費税込み、オプション含まず)
試乗車スペック
初年度登録 2007年11月
試乗日 2009年12月
販売価格 389万円(消費税込み)
走行距離 1万2300km
ボディカラー カルサイトホワイト
備考 -
次のモデルチェンジはおそらく2014年
W204型Cクラスが発売されてから現時点(2010年1月)ではまだ2年半。そして過去のパターンで言えば、7年でフルモデルチェンジだから、次の新型が登場するのはおそらく2014年だ。つまり今後5年間は、これが現行モデルである可能性が高いわけだ。というわけで、Uカーが本格的に店頭に並び始めるのも、あるいはクルマ自体の評価や人気がある程度定まってくるのも、まだまだこれから、というところにある。
そんな現状を踏まえつつ、現時点で「Uカーでのベストチョイス」を考えると、個人的には今回乗った「V6のC250」が一押し。しかし「Uカーで」とここで条件を付けるのは、2009年に追加されたC250 CGIが「パワフルで燃費もいい」と評判だからだ。そのエンジンはC200コンプレッサーと同じ1.8リッター直4にターボを装着したものだが、10・15モード燃費はC250のV6が9.3km/Lなのに対して、11.2km/L(C200コンプレッサーと同じ)と2割も優秀。残念ながら取材担当者はまだ250 CGIに試乗していないが、今後はこれがCクラスの主力となるかもしれない。
なお、「アバンギャルドか、エレガンスか」は好み次第で、このあたりは例のグリルデザインや内装色(エレガンスにはアバンギャルドのようなブラックやグレーの他、カシミヤベージュもある)あたりで決めればいいだろう。乗り心地はアバンギャルドでもまったく問題ない。
C200コンプレッサーは玄人向け? お好きな方はC63 AMG
C200コンプレッサーは街中でちょっと非力感こそあるが、個人的には直4スーパーチャージャーで効率よく走る、というコンセプトに好感が持てる。高速域ではスピードもよく伸びるし、何より燃費がいい。その意味では、奥様向けというより、やや玄人向けかも。また最近の直噴ターボ技術の台頭を考えると、C200もそのうちターボ化されてC200 CGI?とかになるかもしれない(あくまで予想)。
短時間だが、別の機会でC63 AMGにも試乗した。こちらは「最大出力457ps! 最大トルク61.2kgm!」、「LSDも標準装備!」みたいな予備知識を持って乗ると、拍子抜けするほど快適でイージー。排気音こそ獰猛だが、一般道ではむしろ快適性の方が印象的だった。「小さくて、気軽に乗れて、分かる人には分かるパワフルなメルセデス」が欲しい方には、他にない選択だろう。予算さえ許せば、マニア以外の方でも気楽にそのパフォーマンスや凄みのあるアピアランスが楽しめるクルマだ。
Text:Kei Niwa, DAYS
Photo:DAYS




