掲載日 : 2010年02月22日
2005 アルファロメオ アルファ 147 ツインスパーク セレスピード
アルファ伝統の直4エンジンと5速セミATを搭載した147
日本では2001年10月に発売された「アルファ 147」は、艶やかなデザインやスポーティな走りを特徴とするイタリアン・プレミアム・コンパクトカー。156に続いて、AT限定免許でも乗れる5速セミAT「セレスピード」を採用したことで、広く女性にも支持されるヒット車となった。2001年には欧州カー・オブ・ザ・イヤーを受賞している。
今回とりあげるのは、2005年4月に実施されたフェイスリフト(外観デザインのマイナーチェンジ)後の、いわゆる後期型。エンジンは同時代のアルファで定番の2リッター直4、通称「ツインスパーク」で、変速機は「セレスピード」。他に5MTや1.6リッター直4の「1.6 ツインスパーク」(5MT)、3.2リッターV6の「147 GTA」(6MTもしくは6速セレスピード)もあるが、やはりこの2.0 ツインスパーク セレスピード仕様が、147を代表するグレードと言える。
なお、2009年秋にラインナップを再編した147だが、基本設計そのものは変わらず、2010年2月現在も販売中だ。(2009.02)

ジウジアーロが手がけた後期型
初年度登録から4年少々経つ今回の試乗車。ワンオーナーでコンディションはとても良く、年式以上に新しく感じられる。赤いボディカラーや「蛇と十字架」バッジの灼けもないことから、おそらくガレージ保管で大切に乗られたクルマだろう。
2005年春までの前期型と異なるのは、主に外観。目立つのは前後ライトアッセンブリーのデザインが切れ長になったことで、それ以外にもフロントの「盾」や前後バンパーのデザインを変更、テールゲートにはクロームメッキのアクセントパネルも追加されている。ただしボディパネルの変更は最小限で、サイズは前期型より50mmほど長いだけだ。
なお、この147や156をデザインしたのは、後にVWグループへ移籍したイタリア人のワルター・デ・シルバだが、このフェイスリフトは156の後期型と同様、ジウジアーロが担当している。
ドアにもこだわりがいろいろ
3ドアと5ドアのある147だが、日本での販売台数はもちろん5ドアの方が圧倒的に多い。その理由は5ドアの方が実用性に優れるほか、5ドアでも3ドア風に見えるデザインゆえ。ちなみにリアのドアハンドルをブラックアウトして窓枠に溶け込ませる手法は156と同じで、ついでに言えばフェラーリにもドアノブを隠したモデルが多い。その意味で、とてもイタリア的なデザインだ。
さらにフロントのドアハンドルはアルミ「調」でもメッキでもなく、アルミ製。コストが高く、経年変化で曇りやすいため、他メーカーではまずアウター側のドアハンドルには使わない素材だが、アルファロメオはそれを承知で使っている。アルミ独特の質感、触感が優先されている。
内装はほとんどデビュー当時と変わらず
アルファロメオらしいスポーティかつオトナっぽい雰囲気の内装。デュアルゾーンエアコンなどの快適装備も高級車レベルだ。デザインはおおむね2001年デビュー当時のまま。ただし前期型ではダッシュボード樹脂の表面仕上げが彫りの深いざらざらした模様になっていたはずだが、この頃のモデルはすでに一般的な革シボタイプに変更されている。
試乗する場合、最初は「CITY」モードがおすすめ
試乗車は2005年式(初年度登録から約4年少々)、走行1万9600kmの2.0 ツインスパーク セレスピード。当時の新車価格は313万9500円だが、販売価格はレザーシート、社外HDDナビ付で189万円だ。
セレスピードの場合、トルコンATのようなクリープは無いが、アクセルを踏み込めば電子制御クラッチによる滑らかな半クラッチでスムーズにスタートする。いや、その前に、初めてセレスピードに乗る場合は、あらかじめシフトレバー手前の「CITY」ボタンを押しておき、フルオートで走るのがいいだろう。これだとシフトアップもダウンも自動でやってくれる。
ちなみにフィアットやランチアにある「CITY」ボタンは、電動パワステのアシスト量を増やして操作力を軽くするモードのこと。同じフィアット傘下にあっても、アルファとはまったく違う機能を指すわけで、こんないい加減さもイタ車らしい。
懐かしいツインスパークの音
2001年のデビュー時以来、何度か試乗してきた147。アクセルを踏むと聞こえる「ブォォォン」という音は、最近のクルマでは滅多に聞けないアコースティックなもの。デジタルじゃなくて、間違いなくアナログな音。空気を吸い込み、ガソリンを燃焼させ、排気する、という一連の流れが手に取るように分かる。さらに右足の動きに直結する軽い吹け上がり、エンジンの滑らかな回り方は、この時代のアルファ「ツインカム」ならではだ。
劇的なパワー感こそないが(それでも150psある)、その回り方は中回転から高回転まで情感たっぷりで、「味が濃い」。ドイツ車の4気筒エンジンがビールなら、アルファのツインスパークはさしずめイタリア産赤ワインといったところか? 取材担当者が乗ったことのある最古のアルファは1970年代のスパイダーだが、その時に感じた濃厚なアルファらしさが、このツインスパークには適度に残っている。
そのエンジンをさらに引き立てているのがセレスピード。デビュー時にあったシフトアップ時の息つぎ感も、この2005年式にはほとんどなく、何より回転合わせのための絶妙なブリッピング(空ぶかし)が楽しい。3速→2速→1速のシフトダウンもパドル操作に合わせて、「フォーン、フォーン」と見事に決めてくれる。ただし一度パドルを操作してしまうと、例の「CITY」ボタンを押さない限りオートモードに戻らないのでご注意を。
156よりも万人向けの操縦性
操縦安定性は156より安定サイドで、シャシーにも余裕がある。Uカーとしてはかなりコンディションのいい試乗車の場合でも、新車時と比べてしまうとビシッとした印象は薄れていたが、それでも素性の良さは生きている。ドイツ車や国産車から乗り換えた直後でも、割とすんなり馴染めるはずだ。
ただしそれはあくまで147以前のアルファに比べての話。操縦性はやはり独特で、コーナーではクイック、かつ足も柔らかめなので、丁寧な運転操作が要求される。人によっては軽いカルチャーショックを受けるかもしれない。
車名 Alfa Romeo Alfa 147 Twin Spark Selespeed (2005年モデル)
形式 GH-937AB
寸法 全長4225mm×全幅1730mm×全高1450mm
ホイールベース 2545mm
車重 1330kg
駆動方式 前輪駆動(FF)
エンジン 1969cc 直列4気筒DOHC・4バルブ
最高出力 150ps(110kW)/6300rpm
最大トルク 18.4kgm (181Nm)/3800rpm
トランスミッション 5速セミAT
使用燃料/容量 プレミアムガソリン / 60L
10・15モード燃費 9.5km/L
タイヤ 205/55R16
最小回転半径 -m
発売時期 2001年10月/2005年4月(マイナーチェンジ版)
当時の新車価格 313万9500円 (2005年4月モデル、オプション含まず)
試乗車スペック
初年度登録 2005年11月
試乗日 2010年2月
販売価格 189万円
走行距離 1万9600km
ボディカラー アルファレッド
備考 ワンオーナー、レザーシート(純正オプション)、社外HDDナビ・TV
AIS評価点 4.5
セレスピードか5MTか
156よりも一世代新しい147は、特にフェイスリフト版のような2005年以降の高年式車であれば、かなり完成度が高いと思われる。同時に、かつてのアルファらしさを残すモデルとしては、今や最も手堅い選択の一つではないだろうか。156やアルファ GTなども魅力的だが、147でもほぼ同じ世界が味わえるし、コンパクトな5ドアボディは実用的でもある、というのがその理由。もちろん購入の際は、保証付きが安心だ。
なお、購入にあたっての悩みどころは「セレスピードか5MTか」だと思うが、今やセレスピードの信頼性は高いし、そのイージードライブも魅力。もちろんAT限定免許でも乗れる。またシフトダウン時の巧みな回転合わせは、マニュアル派にも魅力だから、面白さでも5MTと互角と考えていいだろう。ただ、蛇足になるかもしれないが、迷うくらいなら、つまりマニュアル操作がさほど苦にならない人なら、個人的には1.6リッターのツインスパークも含めて、5MTをおすすめしたい。クラシカルなツインスパークの味わいは、同じくクラシカルな5MTを通して乗った方がよりストレートに伝わってくると思うからだ。
Text:Kei Niwa, DAYS
Photo:DAYS





