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Uカー試乗記

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古今トライアンフを代表する並列2気筒モデル

今回試乗した2009年モデルの「ボンネビル」。前後17インチのキャストホイール仕様だ

トライアンフを代表するモデルとして有名な「ボンネビル」は、1959年の「T120 ボンネビル」を始祖とする。かつてのモデルは649ccの空冷バーチカルツインを搭載し、1960年代を通して「世界最良のバイク」と評された名車中の名車だ。

そして1990年からの新生トライアンフが、2000年の独インターモトで発表、2001年に発売したのが今回の新型ボンネビル。新設計のDOHCエンジンは、トライアンフの代名詞でもある空冷バーチカルツイン。性能はモダンだが、スタイリングには往年のボンネビルを彷彿とさせるクラシカルな要素が散りばめられている。

 
ボディカラーはフュージョンホワイト(写真)やジェットブラック

現在トライアンフのラインナップは、「モダンクラシック」、「アーバンスポーツ」、「クルーザー」の3本柱で構成されるが、ボンネビルは「モダンクラシック」シリーズのコアモデルであり、今やトライアンフに欠かせない人気車の一つだ。

なお、「BONNEVILLE」という車名は、最高速レースで有名な米国ユタ州ソルトレイクにある平原「ボンネビル・フラッツ」に因んだもの。1956年にトライアンフがここで世界記録を樹立したことから名付けられている。

2009年モデルから前後17インチキャストホイール仕様が登場

タコメーターを標準装備し、2トーン仕様(写真)もある「ボンネビル SE」 (写真:トライアンフ・ジャパン)

ボンネビルシリーズはデビュー以降、2010年現在までの間に、排気量の拡大(790cc→865cc)、燃料供給装置の変更(キャブレター→インジェクション)、前後17インチキャストホイール仕様の追加などが行われているが、基本設計はほとんど変わっていない。

2009年モデルは「ボンネビル」(試乗車)、「ボンネビル SE」、「ボンネビル T100」の3タイプ。「ボンネビル」と「ボンネビル SE」は、この年から新設定された前後17インチのキャストホイール仕様。そして「T100」は引き続き、前輪19インチ、後輪17インチのスポークホイール仕様となっている。その他、各タイプによって細々と仕様は異なるが、エンジンスペック等は共通だ。2009年当時の新車価格は「ボンネビル」が104万7900円、「ボンネビル SE」が118万6500円(モノトーン)/120万7500円(ツートーン)、「ボンネビル T100」が126万円だった。(2010.2)

 

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クラシカルさを抑えて、モダンに仕上げた2009年モデル

車体寸法は全長2144mm×全幅748mm×全高1100mm。ホイールベース:1454mm

往年のトライアンフの雰囲気を巧みに再現しているボンネビル。旧いトライアンフは今でも人気があるが、新型は決してレトロではなく現代的なデザインになっている。同じようなクラシカルテイストのモデルでは、カワサキのW650があるが、ボンネビルの方が全体にモダンで、重量感がある。

試乗した2009年モデルの「ボンネビル」は、前後17インチのキャストホイール仕様。従来モデルや「T100」の前輪19インチ仕様に対して、キャスター角、トレール量、ホイールベースといったディメンションも変更されている。またタンクエンブレムは塗装タイプで、エンジンカバーはブラック仕上げ、マフラーはメガホンタイプ。前後のフェンダーもショートタイプだ。クラシカルさを少し抑えて、モダンかつシンプルに仕上げている。

 
2009年モデルの「ボンネビル」と「ボンネビル SE」は、軽快なショートタイプのフェンダーを装着
従来の前輪19インチ仕様よりもハンドルは手前。小柄な人でも楽なポジションがとれる
ヘッドライトはマルチリフレクターの常時点灯。タンクにはアクセサリーでニーパッドが追加できる
 
フロントブレーキは310mm シングルディスク+2ピストンキャリパー
キーはヘッドライトステーの横に差す。始動はセルのみ
09年モデルの「ボンネビル」では回転計はオプション。「SE」や「T100」には標準装備
 
「ボンネビル」のエンジンカバーはブラック仕上げ。「SE」ではポリッシュ仕上げになる
リアサスは鋼管製スイングアームに2本ショック(プリロード調整付、トラベル100mm)の組み合わせ
フロントフォーク径はシリーズで共通の41mm。トラベル量は120mm
 

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足つき抜群。まったく不安なく乗れる

シフトダウンすることなく、右手だけで自在にスピードがコントロールできる

試乗したのは2009年モデルの「ボンネビル」。トライアンフ名古屋イーストの試乗車で、初度登録から4ヵ月、走行距離は750km。コンディションはもちろん新車同様だ。新車価格は104万7900円だが、販売する場合は89万2500円(取材時点)とのこと。

モダンクラシックシリーズには、スクランブラーも含めて何度か乗っているが、この17インチキャストホイール仕様は今回が初。またがってみると、まず足つきがいいことにホッとする。身長166センチの取材担当者の場合、両足が地面にしっかり付き、まったく不安なし。シート全体が低いので、またがるのも簡単だ。車重は200kgとそれなりにあるが、身長150センチ台の女性でも不安なく街乗りできると思う。

セルが回るのは、ニュートラルでもクラッチを握った時のみ。そのクラッチレバーも軽い。インジェクションなのでアイドリングは冬でもすぐに安定するが、完全冷間持はスロットルボディの横にあるチョーク風レバーを引くと一発で掛かる。

実はけっこう速い。車体はガッシリ、足はシットリ

大きめのスクリーンを付ければ、高速道路を使ったロングツーリングも快適そう

「ストトトト・・・」と、耳に優しいバーチカルツインのサウンドを響かせながら、ボンネビルは軽快に走る。大排気量のツインエンジンに想像される荒々しさはないが、これなら一日乗っていても疲れなさそうだ。

とはいえ、排気量は1気筒あたり約430ccもある865cc。SR400のエンジンが2つ分、あるいはW650の約1.3倍もあるので、アクセルをひとひねりすれば、フラットで分厚いトルクがいつでも発揮される。シフトダウンは不要だ。のけぞるような加速はないが、実はけっこう速い。オートバイに乗ったことがない人が想像する「オートバイの爽快感」って、こういう感じじゃないだろうか。

さらに気持ち良いのが、車体のガッシリ感と足まわりのシットリ感。足まわりの動きが「クラシカル」だと個人的には不安になってしまうが、ボンネビルはアレッと思うくらいスムーズにギャップをやり過ごす。しかもフレーム全体にガッシリ感があって、飛ばしても安心感が高い。これは17インチのキャストホイールやタイヤの効果も大きいはずだが、正直、普段乗っている同じ前後17インチのゼファー750よりずっと安心感やユッタリ感があった。乗り手の心拍数は穏やかなまま、気が付くと100km/hくらいでクルージングしている。その気になれば200km/h近く出るようだ。

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車名  Triumph Bonneville (2009年モデル)
形式  -
寸法  全長2144mm×全幅748mm×全高1100mm
シート高  751mm
ホイールベース  1454mm
乾燥重量    200kg
エンジン  空冷・865cc 並列2気筒DOHC・4バルブ(360度クランク)
燃料供給装置  電子制御燃料噴射
最高出力   68ps(50kW) /7500rpm
最大トルク  7.0kgm (69Nm)/ 5800rpm


トランスミッション  5速リターン式
燃料タンク容量   16.0L
タイヤ      前 110/70R17、後 130/80R17 (チューブレス)
発売時期     2009年6月
当時の新車価格  104万7900円(消費税込み、2009年6月発売モデル)


試乗車スペック

初年度登録    2009年10月
試乗日       2010年2月
販売価格     89万2500円(消費税込み)
走行距離     750km
ボディカラー   フュージョンホワイト
備考       トライアンフ名古屋イースト試乗車


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スポーク仕様か、キャスト仕様か

オートプラネット名古屋内にあるトライアンフ正規販売店「トライアンフ名古屋イースト」。もちろんユーズドバイクも扱う

今、ボンネビルの購入を考える場合に選択肢としてあるのが、前19インチ・後17インチのスポークホイール仕様(2008年以前のモデルや2009年以降の「T100」)か、あるいは前後17インチのキャストホイール仕様(2009年から登場)かだ。

トライアンフ名古屋イーストの土田店長は、今回試乗したキャストホイール仕様について、まず足つきの良さをメリットに挙げる。
「シート高が751mmと低く、実際にまたがると数字以上の安心感があるので、小柄な女性にもおすすめできます。それにハンドルもT100に比べて手前に来るので、男性でも楽なポジションがとれます」と土田店長。

 
身長166センチがまたがったところ。シート高は751mmで、カワサキW650(800mm)やホンダCB750(795mm)より低く、CB400スーパーフォア(755mm)と同等

またキャストホイールの場合、4輪車と同じチューブレスなので、釘などが刺さった場合でも空気が一気に抜けにくい。そのためガソリンスタンドやオートバイショップなど修理可能な場所まで自走しやすく、パンク修理もチューブタイプに比べて比較的簡単だ。またタイヤサイズが一般的な前後17インチなので、交換時にいろいろな銘柄やタイプから選べるのもメリットと言える。

乗り味に関しては、やはりキャスト仕様はバネ下が軽く、前輪が小径になるため、走りが軽快になる。逆に弱点としては、車体が少し低くなった分、コーナリング時にステップを擦りやすいことだが、個人的にはボンネビルの走りに水を差すレベルではないと思う。

以上のような点を考えると、スポーク仕様ならではのクラシカルな雰囲気や乗り味も魅力だが、実用性ではキャストホイールに軍配が上がる。とはいえ、もちろん最終的には乗り手の「好み」次第だ。


キャブレター(~2007年)か、インジェクション(2008年~)か

ケイヒン製インジェクションは、スロットルボディの外観がキャブレターそっくりの特注品。寒冷時の始動がより確実になるチョーク風レバーも備える

スラクストンやスクランブラーを含めた「モダンクラシック」シリーズ全体のポイントとして、2007年モデル以前のキャブレター仕様か、2008年モデル以降のインジェクション仕様か、という点がある。

「オートバイはキャブレターを変えると別物になると言うくらいで、キャブ車ならではの面白さもありますが、長い間乗らないとどうしても不調になりがちです。インジェクションなら半年くらい乗らなくてもバッテリーさえ充電すればすぐにエンジンが掛かるので、たまにしか乗らない方にはインジェクションがおすすめです。またボンネビルの場合は、面白さやパワー感もキャブ車に比べて変わりません」と土田店長。

また2006年以前のボンネビルには、排気量が790cのモデル(もちろんキャブ仕様)もあるが、土田店長によると「走り(パワー感)はほとんど865ccと変わりません」とのこと。これは排気量アップがキャタライザー(排ガス浄化装置)の装着によるパワーロスを補うためだったからで、「燃費もだいたいリッター20kmくらいで、変わりません」という。ただ実際のところ、日本で販売された790cc仕様は多くなく、ユーズドで出ることは少ない。

乗りやすいだけのオートバイではない

「ボンネビル」と「ボンネビル SE」のマフラーはメガホンタイプになる

乗りやすさが印象的な現代のボンネビルだが、土田店長は「決して乗りやすいだけのオートバイではありません」という。
「コーナーを一つ一つ切り取るように攻めるタイプではないですが、ワインディングを一筆書きするように走ると、本当に気持ちのいいオートバイです」と土田店長。取材担当者も、以前ボンネビルで郊外のワインディングを走った時、そんなに頑張らなくても今どきの高性能バイクについて行けるのにちょっと驚いたことがある。

また865ccも排気量があるので、例えばカワサキのW650(2008年に生産終了)と比べても、ボンネビルは断然パワフルで快適。高速道路では、W650がシフトダウンをして頑張らなくてはいけないところを、ボンネビルはアクセルをひねるだけで済んでしまう。実際、W650からボンネビルに乗り換えた人が一番驚くのがその点のようだ。

時にはゆったりとツーリング、時には軽快に街中を走りたい、でも大排気量ならではのパワー感も欲しい。ボンネビルは、そんな人のために作られたモデルだ。ボンネビルに乗った瞬間、「これが自分の欲しかったオートバイだ!」と思う人は、決して少なくないはず。ぜひ一度、機会を設けてじっくり乗ってみて欲しい。

 

Text:Kei Niwa, DAYS
Photo:DAYS


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