掲載日 : 2010年06月08日
2006 フォルクスワーゲン ポロ GTI
4代目ポロに1.8ターボ+5MTを搭載
GTIと言えば1975年に登場した「ゴルフ GTI」が有名だが、ポロの高性能バージョンが「ポロ GTI」だ。日本に上陸したのは、3代目ポロ(6N型)の後期型ベースが最初で、1.6リッターDOHCエンジン(125ps、15.5kgm)と5MTを搭載。2000年から2002年まで販売された。
今回試乗したのはその後継車。しばらく空白があった後、4代目(9N型)の後期型ベースで復活したもので、日本での販売期間は2005年12月から2009年まで。4代目ゴルフGTI(1998~2004年)の1.8リッター直4・5バルブターボ(150ps、22.4kgm)と5MTを搭載し、当初の価格は3ドアが228万9000円、5ドアが249万9000円だった。ボディカラーはキャンディホワイト、フラッシュレッド、リフレックスシルバーメタリック、ブラックマジックパールエフェクトの4色が用意された。
2008年2月には200台限定車として「ポロ GTI カップエディション」を発売。「ポロGTIカップ」シリーズ参戦モデル風のエアロパーツや17インチアルミホイール等を装備したもので、価格は288万円だった。その後、この9N型ポロのGTIは、5代目ポロが発売された2009年10月に販売を終了した。
なお、2010年3月には180psを発揮する1.4リッター直噴ツインチャージャーエンジン(ターボ+スーパーチャージャー)と7速DCTを搭載する新型ポロ GTIが欧州で発表されている。近々日本にも導入される予定だ。(2010.06)

フロントマスクで「GTI」をアピール
ボディ外板は普通のポロと同じだが、前から見れば「GTI」であることは一目瞭然。ゴルフGTIと同じブラックアウトしたワッペングリル、ハニカム(蜂の巣)状のラジエイターグリルカバー、赤のライン、そしてGTIのエンブレムが、タダのポロじゃないことを物語る。
横から見れば専用アルミホイールと赤いブレーキキャリパーが、後ろから見れば2本出しマフラーがGTIの目印。ゴルフGTIほどの派手さはないが、見た目の演出はこれくらいの方が大人っぽいし、本来の「GTI」っぽい、とも思える。
GTI伝統のチェック柄がオシャレ
インパネはフォルクスワーゲンらしく素っ気ないほどシンプルだが、シートは1975年の初代ゴルフGTIから始まるフルバケットタイプ&チェック柄で、ステアリング、シフトブーツ、パーキングブレーキレバーは赤い糸で縫い上げられる。スポーツモデル特有の暑苦しさはなく、むしろノーマルのポロよりオシャレ。シートの座り心地も良く、女性受けも良いと思う。
パワフルというより軽快な走り。運転もしやすい
試乗車は初年度登録から約3年半、走行3万6900kmで、内外装コンディションは非常に良く、走ってもまったくヤレはない。販売価格は新車時の249万9000円に対して159万円だ。
チューンの度合いこそ違うが、基本的には4代目ゴルフGTIや初代TT 1.8Tと同じ1.8リッター5バルブターボエンジン(150ps、22.4kgm)を搭載すると聞けば、そうとうにパワフルな走りを想像してしまうが、のっけから拍子抜けするのは操作系の軽さ。軽いパワステ、軽いクラッチ、そして軽くシフトできる5MTなど、まったく普通のクルマ並み。ジャダー(駆動系からの振動)の類も一切ない。これならMTに不慣れな人でも乗れるなあ、というのが実感だ。
この日はスーパーチャージャーエンジン・6MT仕様の初代MINI クーパーS(170ps、22.4kgm)にも同時に試乗していたが、このクーパーSからポロGTIに乗り換えると、その運転のしやすさ、操作系の軽さが一層際立つ。両方知っている人からすれば「比べる相手が悪い」と言われそうだが、想像以上に真逆のクルマだ。
加速感もクーパーSが「重厚」なら、ポロGTIは「軽快」。低回転のトルクは最近の直噴ターボほど密ではないが、粘りやレスポンスは十分。ターボパワーがドカンと炸裂!みたいな感じはなく、あくまでスムーズに軽々とボディを加速させてゆく。パワーにしても、操縦性にしても、特に刺激的ではない分、運転していてまったく疲れないクルマだ。
車名 Volkswagen Polo GTI (2006年式)
形式 GH-9NBJX
寸法 全長3915mm×全幅1665mm×全高1465mm
ホイールベース 2470mm
車重 1210kg
駆動方式 FF(前輪駆動)
エンジン 1780cc 直列4気筒DOHC・5バルブ・ターボ
最高出力 150ps(110kW)/5800rpm
最大トルク 22.4kgm (220Nm)/1950-4500rpm
トランスミッション 5MT
使用燃料/容量 プレミアムガソリン / 45L
10・15モード燃費 13.2km/L
タイヤ 205/45R16
最小回転半径 4.9m
発売時期 2005年12月
当時の新車価格 249万9000円(消費税込み)
試乗車スペック
初年度登録 2006年12月
試乗日 2010年5月
販売価格 159万円(消費税込み)
走行距離 3万6900km
ボディカラー キャンディホワイト
備考 -
AIS評価点 5点
全てのMT好きにおすすめの実用コンパクト
「ゴルフGTIはいいけど、最近のモデルは大きすぎるし、パワーもありすぎ」。そんな風に感じている人は少なくないと思う。確かに2リッター直噴ターボと6速DSGの5代目や6代目のゴルフGTIは素晴らしいが、普段の足には過剰かな、という印象はあるし、新車やUカーの価格もそれなりに高い。
一方、このポロGTIのパワーは、5代目ゴルフGTIの200psに対して150psに過ぎず、実際のパワー感も正直大したことはない。ミッションも5速に過ぎず、もちろんDSGでもない。要するにやや旧世代のメカニズムで仕立てられたモデルだが、だからこそイイのだ、と思える。
「GTI」というエンブレムゆえ、誤解されている気がするのだが、実際のところポロGTIは、懐の深い「実用的な快速コンパクトカー」と捉えた方がしっくりくるクルマだ。たまに乗って刺激を楽しむというのなら他に選択肢はいろいろあるが、ポロGTIは乗る時間が長いほど満足感が増すタイプと言える。
というわけで、突出した高性能や高性能「感」を求めるなら、迷うことなく5代目以降のゴルフGTIがおすすめ。しかし手頃なサイズ、手頃な性能、毎日気楽に乗れる日常性を求めるなら、ポロGTIがいい。ベテランはもちろん、免許をとったばかりの人や初めてMT車を買う人にも、安心しておすすめできるクルマだ。
Text:丹羽 圭(Kei Niwa), DAYS
Photo:DAYS










