掲載日 : 2010年06月18日
2004 ボルボ XC70 2.5T
V70ベースのクロスオーバーSUV
「V70」をベースに、ステーションワゴンとSUVの中間を行くクロスオーバーSUVとしたのが「XC70」だ。
その誕生までの道のりは少々ややこしい。前身は初代V70(850シリーズの進化版)ベースの「V70 XC AWD」(1997~2000年)。これが2000年に新型V70ベースの2代目(日本名はボルボ・クロスカントリー) にフルモデルチェンジし、さらに2002年に車名を変えて「XC70」となる。当時はまだXCというモデルの位置付けが曖昧で、結果としてV70 XC、クロスカントリー、XC70という呼び名が混在してしまったようだ。
まったくの新型となったクロスカントリーもしくはXC70の日本仕様は、全てターボ付の直列5気筒エンジン。エンジンは当初2.4ターボ(2434cc)だったが、車名がXC70になるのと同時に新開発の2.5ターボ(2521cc)となり、動力性能をアップ(200ps→209ps、29.1kgm→32.6kgm)。同時に4駆駆動システムはビスカス・カップリングによるフルタイム4WDから、電子制御多板クラッチ「ハルデックス・カップリング」による電子制御4WDに変更された。
なお、2002年当時の新車価格はベースグレードが495万円、上級グレードの「2.5T」が535万円(いずれも消費税抜き)だった。少々紛らわしいが、上にも書いたようにエンジンは両グレードで共通だ。
2004年9月には若干のフェイスリフトを含めて、3500ヵ所もの改良を実施。2005年8月には電子制御4WDシステムに、あらかじめ発進の際に80Nm(約8kgm)のトルクを後輪に配分する「プレチャージ」機能を追加して、悪路での発進性能や登坂性能を改善している。
2006年12月には最終モデルの「2.5T クラシック」を設定。このまま新型XC70の発売を待って、2007年に販売を終えている。(2010.6)

V70にはないタフさが魅力
試乗車は2004年式で、マイナーチェンジ直前のモデル。この後、前後のスキッドパッドやライト類のデザインが変更され、何となく全体の質感も上がったが、それ以前の無骨な仕上げの方がワイルドでXCらしい、という人も少なくないのでは。
最低地上高はV70より55mm増の215mmで、段差やクルマ止めにボディ底をぶつける心配はまずない。また前後バンパーは非塗装タイプとなり、多少バンパーをこするくらいは平気、と思えるのがXC70のイイところだ。
基本はV70だが、随所にXCならではの工夫
最低地上高と共にシート高も上がったため、V70より乗り降りしやすいXC70。レザーシートは粗めのシングルステッチで縫い上げられ、センターコンソールには助手席用アシストグリップも備わる。結果インテリアの印象はV70と微妙に異なり、ちょっぴりワイルドな雰囲気。体を包み込むようなソフトなシート共々、どことなくアメリカンSUV風でもある。
荷室は完全に平らになり、側面にも余分な出っ張りはほとんどない。後席の折り畳みは、座面を跳ね上げてから背もたれを倒すダブルフォールディングで行うが、操作は簡単。ヘッドレストは自動的に折り畳まれるため、外す必要はない。どちらかと言うと、絶対的な容量ではなく、操作性や使い勝手を重視した作りだ。
速くてスムーズ、小回りも効く
試乗したのは2004年式の2.5T。初年度登録から約6年だが、走行距離は約2万3000km。ワンオーナー車ということもあって、内外装のコンディションも上々だ。この年式にして、AISの評価も5点と例外的に高い。販売価格は新車時の561万7500円に対して219万円だ。
XC70に乗るのは今回が2回目。運転感覚の点でXC70がV70と大きく違うのは、視点が高いこと、そして標準タイヤがオールシーズンタイプでグリップ感が少し薄い点か。しかしSUVとして考えると車高は低いし、トレッドもワイドなので、操縦性はまったく問題ない。個人的にはV70より限界がつかみやすく、4輪で踏ん張る感じがあって好きなくらいだ。このあたりはレガシィのツーリングワゴンとアウトバックの関係によく似ている。
今回試乗した2.5Tで印象的だったのは、思った以上に速く、スムーズに走ること。この日は1.8リッターターボのポロGTIと同時に試乗したが、どうかするとXC70はそれをリードするくらい速く、ストレスもなく、より静かで、乗り心地も良かった。また小回りも意外とよく効くし、視界も広いので、女性ドライバーにもおすすめできる。ニッチ向けに見えるXC70だが、こうして見ると意外とオールラウンダーだ。
なお、試乗車は見た目だけでなく、機関やシャシーのコンディションも良く、ユーズドカー特有のヤレ感をほとんど感じさせなかった。昔からボルボの上級車は、あまり経年劣化を感じさせないが、XC70にはその良き伝統が感じられる。
車名 Volvo XC70 2.5T (2004年式)
形式 LA-SB5254AWL
寸法 全長4735mm×全幅1860mm×全高1560mm
ホイールベース 2765mm
車重 1700kg
駆動方式 フルタイム4WD
エンジン 2521cc 直列5気筒DOHC・4バルブ・ターボ
最高出力 209ps(154kW)/5000rpm
最大トルク 32.6kgm (320Nm)/1500-4500rpm
トランスミッション 5AT
使用燃料/容量 プレミアムガソリン / 72L
10・15モード燃費 9.2km/L
タイヤ 215/65R16
最小回転半径 5.7m
発売時期 2002年11月
当時の新車価格 535万円(消費税含まず)
試乗車スペック
初年度登録 2004年3月
試乗日 2010年5月
販売価格 219万円(消費税込み)
走行距離 2万3200km
ボディカラー シルバーメタリック
備考 ワンオーナー、社外HDDナビ・TV
AIS評価点 5点
「XC70こそ、最良のV70」かも
この世代のXC70が販売されたのは、2000年から2007年までの7年間。上で触れたように外観デザインの変更は若干のフェイスリフトが1回だけだが、メカニズム面では以下の3つに大別できる。
- 2.4ターボ(200ps、29.1kgm)+ビスカス式フルタイム4WD(2000~2002年)
- 2.5ターボ(209ps、32.6kgm)+電子制御4WD(2002~2005年)
- 2.5ターボ(209ps、32.6kgm)+プレチャージ付電子制御4WD(2005~2007年)
完成度が最も高いのは、最後の2.5ターボ+プレチャージ式4WDだが、初期の2.4ターボでも、動力性能に不足はない。また最近は以前ほど採用されなくなったビスカス式のフルタイム4WDにも、シンプルな機構、自然なトルク配分(差動制限)といった独特の良さがある。またいずれのモデルも10・15モード燃費は、おおむね9.0~9.2km/Lの範囲内にあるので、燃費性能も大差ないと考えていだろう。
要するに、年式によって多少の違いはあるが、実際にUカーを選ぶ際には、単純にコンディション、ボディカラー、オプション、そして値段で選んでいいのではないか、と思う。今回の試乗車のように、低年式ながらコンディションのいい車両は、個人的にもおすすめの一台だ。219万円という値段は、良質なXC70の底値と言っていいだろう。
いずれにしても、正統派ワゴンのV70に対して、XC70ではプラスαで得るものこそあれ、失うものはない。V70並みにシンプルなメカニズムは、長く乗って行く上でも安心感があるし、経済的でもある。極端なことを言えば、「XC70こそ、最良のV70」と言えるかもしれない。
Text:丹羽 圭(Kei Niwa), DAYS
Photo:DAYS










