206ベースのメタルトップ・オープン。キュートなデザインで大ヒット
プジョーのコンパクトカー「206」ベースのオープンカーが、「206CC」だ。CCとは「クーペ・カブリオレ」のこと。プジョー車では、電動のメタル製ルーフを閉じればクーペ、開け放てばカブリオレに変身するモデルを指す。当時、電動メタルトップ車と言えば、メルセデス・ベンツのSLKやSLクラス、トヨタ ソアラ(レクサス SC430)くらいしかなく、206CCはそれらに比べて大幅に手頃な価格で登場。さらにキュートなスタイリングも大いに手伝って、この手のニッチモデルとしては異例の大ヒット車となった。
販売期間は2001~2007年。主力は1.6リッター・4AT
日本では2001年5月に1.6リッター(108ps、15.0kgm)+4ATの標準グレード(消費税抜きで275万円)から導入をスタート。翌年5月には2リッター(137ps、19.8kgm)+5MTの「CC S16」(同290万円)を追加し、2003年5月にはテニスの全仏オープンをイメージした濃緑の外装色とレザー内装の「CC ローラン・ギャロス(Roland Garros)」(1.6リッター・4AT、同286万円)を限定発売したが、あまりの人気にこちらも急遽カタログモデル化された。
2003年8月には、前後左右のバンパーモールを黒からボディ同色に変更。2004年5月には外装6色、内装4色を計16通りで組み合わせできる「CC カラーライン(COLOR LiNE)」を追加。2006年1月にはそれに代わってレザーシートを備えた上級グレード「CC グリフ(Griffe)」を新設定。2006年以降は、標準グレードとグリフの2グレードで販売した。
これ以外にも、2005年4月には、チャイナブルーかブラックの外装色にライトグレー色のラマレザー内装を組み合わせ、JBL製オーディオを装備した「CC ミッドナイトブルー」を150台限定で、2006年9月には内外装を高性能モデルの206RC風に仕立てた1.6リッター・4ATの「CC RC」を同じく150台限定で発売している。
2007年6月には後継車の207CCが登場。206CCは国内在庫をもって2007年一杯で販売を終了した。

キュートなスタイル。小技もバッチリ
メタルトップオープン化と2+2化によって、マイクロスポーツカー風のスタイルとなった206CC。また、これはベース車のハッチバックにも共通する特徴だが、上下にすぼまった紡錘形のボディ形状が、206CCをどことなく可愛く見せる秘訣となっている。オープンカー云々という以前に、スタイリングに一目惚れして買う人が多いのではないだろうか。
さらに小技で効いているのが、アルミ製のフューエルリッド、そしてトランクリッドのサイドレールや5本のリブだ。トランクリッドのそれは一見ルーフラック風だが、本気で荷物を積むためのものではない。しかしこれがデザイン上の重要なアクセントになっている。
レザーシート標準の「グリフ」
インパネまわりは基本的に206そのもの。特に高級感や色気といったものはないが、試乗した「グリフ」には「S16」と同じレザーシートが備わる。ボディカラーによっては赤/黒の2トーンになるが、エーゲブルーの場合は黒だ。内装色を単に黒だけとせず、必ずと言っていいほどカラーバリエーションを用意するのがフランス車らしいところ。
着座した時の印象は、フロントウインドウの傾斜が強いため、背の高い人だと多少の圧迫感があるが、小柄な人だとそうでもない。むしろ最近のクルマにはないフィット感、「クルマを着るような感覚」が今乗ると新鮮だと思う。
2人乗り+αとして考えれば、十分に実用的
いわゆる「+2(プラスツー)」のリアシートは、大人が座ると背もたれの角度が立っていて苦しく、足の置き場も最小限。基本的には手荷物を置く場所だ。その点、脱いだジャケットの置き場にも困る2シーター車に比べれば、実用的だと言える。
トランクはルーフとリアウインドウを飲み込むだけあって、クローズド(クーペ)時にはかなりの荷物が載る。逆にオープン時の容量は最小限となってしまうが、これ以外にもリアシートのスペースがあるので、日常的な買い物や一泊二日の旅行くらいなら問題ないだろう。この手のクルマは何事もミニマムなことを楽しむものだ。
クローズドで良し、オープンで良し
「CC グリフ」はモデル終盤に登場したレザー仕様だが、ハードウエア的にはベースグレードとほぼ同じだ。試乗車は4年落ち、走行2万7400kmとなるプジョー認定中古車。販売価格は新車時の290万円に対して、約半分の149万円だ。試乗した印象は良好で、新車同様にシャッキリとは言わないが、特に経年変化は感じられない。
プジョー車でおなじみの1.6リッター直4エンジンと4ATは、ノンビリ流す分には不満ない。ただ、今の基準で言うと低回転域のトルクが薄めで、ここぞという時には頑張って上まで回すことになるし、ステップ比の大きい4ATが古めかしいという印象も、正直言ってある。
とはいえ、CVTやらDCTやらを積んだ最新モデルのことなど忘れて、特に飛ばそうとも思わなければ、これはこれで問題なし。特にクローズド時の快適性は、もっと高価な最新メタルトップ車に比べても遜色なく、パーフェクトだ。路面の荒れたところでもルーフからガタツキは出ないし、遮音性も高い。ルーフなど年に一度も開けない、というクーペ的な使い方も全然アリだ、と思う。
一方、オープン時はフロントウインドウが長くて傾斜が強いせいもあって、オープンカーらしい開放感は思ったほどない。しかしカプセルの中に収まったような独特の走行感覚は、それはそれで面白いし、おそらく真冬なら「これくらいが適度」と感じられるのでは。実際には、サンルーフを開けるような感覚で気が向いたら開ける、というのが“らしい”楽しみ方かも。
車名 Peugeot 206CC Griffe (2006年式)
形式 GH-A206CC
寸法 全長3810mm×全幅1675mm×全高1380mm
ホイールベース 2440mm
車重 1210kg
駆動方式 前輪駆動(FF)
エンジン 1587cc 直列4気筒DOHC・4バルブ
最高出力 108ps(80kW)/5800rpm
最大トルク 15.0kgm (147Nm)/4000rpm
トランスミッション 4AT
使用燃料/容量 プレミアムガソリン / 50L
10・15モード燃費 -km/L
タイヤ 205/45R16
最小回転半径 4.9m
発売時期 2006年1月
当時の新車価格 290万円(消費税込み)
試乗車スペック
初年度登録 2006年6月
試乗日 2010年6月
販売価格 149万円(消費税込み)
走行距離 2万7400km
ボディカラー エーゲブルー
備考 社外DVDナビ・TV、CDチェンジャー、ETC付、認定中古車保証付
AIS評価点 -
206CC選びとは、すなわち色選び
日本では2001年から2007年までの約7年間販売された206CC。ハードウエア的に言えば、日本仕様は実質的に「S16」の2リッター・5MT仕様と、それ以外の1.6リッター・4AT仕様の2つであり、選択の余地はあまりない。販売主力はもちろん後者だ。
基本設計はモデルライフを通して変わっていないが、2003年夏以降のモデルではバンパープロテクターがボディ同色になっているし、今回試乗した「グリフ」などは、なぜか全体に質感が高く見える。
こだわりたいのは「色」選びだ。ボディカラーは豊富で、当時のカタログを見ると、定番のエーゲ・ブルー(今回の試乗車)、アルミナムグレー(シルバー)、オブシディアン・ブラック(黒)、アデン・レッドもしくはルシファー・レッド(赤)、そして個性的なマオリ・グリーン(黄緑)、微妙な色合いのムーンストーングレー(シルバー)がある。また人気の「ローラン・ギャロス」にはタイブレーク・グリーン(濃緑)と206CCでは希少のルナー・ミスト(ベージュ系シルバー)があるし、限定車の「ミッドナイトブルー」にはミッドナイトブルーならぬチャイナブルー(プジョーで定番の濃紺)がある。色に関しては、ぜひ実車を見て、自分の第一印象を信じて選ぶのがおすすめだ。特に206CCの場合、意に反して“無難な色”を選ぶ必要はまったくない。
内装には大きく分けて、ファブリック仕様(標準グレードとカラーライン)とレザー仕様(S16、グリフ、ローラン・ギャロス、ミッドナイトブルー)の2つがある。特に「ローラン・ギャロス」では、緑・茶の2トーンレザー、「ミッドナイトブルー」ではラマレザー(ライトグレー)となり、人気があるようだ。ただ、ファブリックにも蒸れない、滑らない、劣化しにくい、汚れが目立たない、といった素材本来の良さがあるので、一概にどちらがいいとは言えない。このあたりも純粋に好みで選ぶといいだろう。
Text:丹羽 圭(Kei Niwa), DAYS
Photo:DAYS










