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Uカー試乗記

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掲載日 : 2010年08月17日

2006 アルファロメオ アルファ ブレラ Sky Window 2.2 JTS

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159ベースの4人乗りクーペ。デザインはジウジアーロ

今回試乗した「ブレラ スカイウインドウ 2.2 JTS」。発売当初のボディカラーは計10色で、試乗車は「ツーリンググレー」 )

アルファロメオの量産スポーツクーペは、戦後のジュリエッタ・スプリント(1952~63年)を起源に、ジュリア・スプリント(1963年~)、アルフェッタ(1974~86年)、そして前輪駆動のGTV(1995年~)へと進化してきた。そしてGTVの後継車として2005年にデビューしたのが4人乗りクーペの「ブレラ」だ。

ベースはアルファロメオの主力セダンである「159」で、デザインを手がけたのは159にも携わったジョルジェット・ジウジアーロ。ちなみにジウジアーロがデザインしたアルファロメオのクーペは、ジュリア・スプリントとアルフェッタに続いて、これが3作目にあたる。

6MTのみから徐々に2ペダル車を拡充

G・ジウジアーロの才能とセンスがいかんなく発揮されたデザインこそ、ブレラ最大の見どころ
(写真:フィアット グループ オートモービルズ ジャパン) )

日本では2006年4月に発売。日本仕様は当初、2198cc 直4・直噴エンジン(185ps、23.4kgm)の「2.2 JTS」、そのガラスルーフ付となる「スカイウインドウ 2.2 JTS」、そして3195cc V6・直噴エンジン(260ps、32.8kgm)+フルタイム4WDの「スカイウインドウ 3.2 JTS Q4」の3グレード。いずれも左ハンドル・6MTで、価格はそれぞれ436万円、463万円、584万円だった。

2007年3月には右ハンドル・アイシンAW製トルコン6ATの「スカイウインドウ 3.2 JTS Q4 Qトロニック」を追加。6月には、右ハンドルの6速セミAT仕様「スカイウインドウ 2.2 JTS セレスピード」を追加して、イージードライブ化を図っている。

2009年秋には全車右ハンドル・2ペダル化

こちらはブレラのオープン版とも言える「アルファ スパイダー」。歴代スパイダー同様、デザインとボディ生産はピニンファリーナが担当

2009年9月にはラインナップを刷新。2.2リッターと3.2リッター車それぞれに、ポルトローナフラウ社製のレザー内装等を備えた上級グレード「プレミアム」、そして19インチアルミホイールや専用ポルトローナフラウ社製スポーツレザーシート等を備えた上級スポーティグレードの「TI (ティーアイ)」を新設定し、ベースグレードと合わせて3グレード体制とした。

また、これと同時に6MT仕様を廃止し、全車右ハンドル・2ペダル仕様(セレスピードないしQトロニック)としたほか、スカイウインドウを全車標準とした。2010年8月現在もこのラインナップで販売中だ。

 

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どこから見てもジウジアーロ

ボディサイズは全長4415mm×全幅1830mm×全高1365mm

前から見ると159そっくりだが、後ろから見ると現代彫刻みたいなブレラ。それでいてどこかクラシカルにも見えるのは、ベルトーネ在籍時のジウジアーロ自身が弱冠24歳でデザインしたジュリア・スプリントのショルダーラインを “引用” しているせいか。ついでに言えば、サイドビューはジウジアーロがイタルデザイン設立後にプロトタイプを制作したいすゞ・ピアッツァにも似ている。どこを切ってもジウジアーロのDNAがにじみ出てきそう。

 

最もブレラらしく見える斜め後ろからのアングル。ワイド&ローのシルエットや4本出しマフラーのせいでスーパーカーのように見える
試乗車(2.2 JTS スカイウインドウ)は225/50R17タイヤを標準で履く
ボンネットやライトは159と共通のようだが、バンパーや「盾」はブレラ専用だ

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イタリアン・デザインの直球ど真ん中

ブレラの6MT車はすべて左ハンドル。標準はファブリックシートだが、試乗車はオプションのレザー仕様

159との共通パーツが多いインテリアだが、着座位置はブレラの方が低く、シートもブレラ専用になる。標準のシート地は「Alfatex」と呼ばれる特殊なファブリックだが、試乗車のレザーシートは深紅とベージュという、イタリアン・デザインの直球ど真ん中を行く色遣い。さらに表面がパンと張ったレザー、ベルベットのような手触りのカーペットなども、イタリアの伝統芸だ。これ以外にもフェラーリやマセラティの内装で有名なポルトローナフラウ社製レザー仕様があり、さらに発売当初の内装カラーにはブラック/グレー、ブルー/タバコ(茶色)があった。

またブレラの主力グレードには、ガラス製ルーフの「スカイウインドウ」が備わる。シートを倒せば空を眺めることができるし、逆に日差しが気になる場合には電動サンシェイドで完全に遮光もできる。また外から見ると屋根が全面ガラス張りに見えるのも大きな魅力だ。ワックス掛けする部分が減るのも、ちょっと嬉しいところ。

 
エアバッグは前席正面とサイド、前後席カーテン、そして運転席ニー(膝)の計7個を装備
センターの3連メーターは燃料計、水温計、油温計。ブロック型キーはステアリング右側に差し込む。その下がエンジン始動ボタン
ルーフの2/3程度を覆う「スカイウインドウ」。電動シェイドも備える

大人が座れる後席、容量たっぷりの荷室

リアシートも豪華な作り。アームレスト部分でトランクスルーも可能。

快適至極な前席に対して、意外にも後席はクッションが平板で薄く、少々素っ気ない作り。着座姿勢もアップライトで、ダラッと座れず、どちらかというと後席の居住性より積載性を重視した雰囲気だ。このあたりは207や308のハッチバックとの差別化もあるのかもしれない。

 
フューエルリッドはイタリア車に多い鍵式ではなく集中ドアロック連動
床下には小物収納スペースとパンク修理キットを配置
荷室は300~610リッターとなかなかの大容量。“敷居”の高さはGTV譲り?


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かすかな快音、適度なパワーが「大人のクーペ」

とびきり速くはないものの「2.2 JTS」の最高速は222km/h。「3.2 JTS Q4」は240km/hまで伸びる

試乗したのは「2.2 JTS」の左ハンドル・6MT仕様。デビューイヤーの2006年式で、初年度登録から3年と9ヵ月、走行距離は2万3600kmだ。当時の新車価格は 463万円で、この電動レザーシート仕様(オプションで25万円くらいか)ならもっと高かったはずだが、試乗車の販売価格は社外HDDナビが付いて239 万円だ。目立つキズはなく、内外装のコンディションは非常に良いと思う。AISの評価も5点と高い。

ブレラに試乗するのは、2006年発売時に箱根で試乗して以来、約4年ぶり。当時ブレラには、セレスピードやQトロニック(6AT)の用意はなく、「2.2 JTS」と「3.2 JTS Q4」のいずれも左ハンドル・6MTに試乗した。

 
6MTのシフトフィールは良好。リバースはリングを引いて左奥だ

というわけで、久々に乗ったブレラだが、走り始めてすぐに「いいな」と思ったのは2.2リッター直4エンジンが「クォォォォン」という快音を2000~3000回転、そして4000回転あたりでもう一度響かせること。音量は控えめで、かつての156やGTVの“ツインスパーク”エンジンほど盛大ではないが、アルファロメオらしさはしっかり残っていると思う。

また運転操作にもまったく気難しさはない。低速トルクもしっかりあって、発進もイージーだ。今や新型車では珍しい左ハンドル・MTだが、国産のMT車をスムーズに走らせることが出来る人なら、まったく問題ないと思う。

 

車重はこの2.2でも1.6トン弱あり、最高出力185psの割にパワー感はないが、それゆえ気楽に2速、3速で回してスポーティな走りが楽しめる。またそんな時でも車内は十分に静かだ。

そして何よりいいのがシャシーがしっかりしているところ。156以前のアルファロメオは姿勢変化が大きく、かなりクイックで、独特の運転操作というか、接し方が必要だったと思う。だからこそアルファロメオだったのかもしれないが、一般的な感覚で言えば(ドイツ車や国産車と比べてという意味)、159世代でやっと普通の感覚で乗れるようになった、とも言えると思う。

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車名  Alfa Romeo Alfa Brera Sky Window 2.2 JTS (2006年式)
型式  GH-93922S
寸法  全長4415mm×全幅1830mm×全高1365mm
ホイールベース  2530mm
車重  1580kg
駆動方式  前輪駆動(FF)
エンジン  2198cc 直列4気筒DOHC・4バルブ
最高出力  185ps(136kW)/6500rpm
最大トルク  23.4kgm (230Nm)/4500rpm


トランスミッション  6MT
使用燃料/容量  プレミアムガソリン / 70L
10・15モード燃費  -km/L
タイヤ  225/50R17
最小回転半径  -m
発売時期  2006年4月
当時の新車価格  463万円(消費税込み)


試乗車スペック

初年度登録  2006年11月
試乗日  2010年7月
販売価格  239万円(消費税込み)
走行距離  2万3600km
ボディカラー  ツーリング グレー
備考  電動レザーシート(純正オプション)、社外HDDナビ・TV・CD・MD、ETC付
AIS評価点  5点

 


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6MTか、2ペダルか?

アルファロメオの認定中古車センターもあるオートプラネット名古屋

ブレラの選択肢は、大きく分けて以下の4つだ。

・「2.2 JTS」の左ハンドル・6MT
・「2.2 JTS」の右ハンドル・6速セレスピード
・「3.2 JTS Q4」の左ハンドル・6MT
・「3.2 JTS Q4」の右ハンドル・6AT

このうち、6MTか2ペダル(セレスピードないし6AT)かは好み次第だが、本文にも書いた通り、左ハンドル・6MTでも十分に乗りやすい。今どき、左ハンドルをありがたがる必要はないが、ブレラの6MTはシフトフィールが良く(歴代アルファの中でも良い方だと思う)、発進時のクラッチ操作もイージーなので、ひるむことなくお選びいただきたい。

なお、ブレラの日本仕様は2009年途中(2010年モデル)から右ハンドルの2ペダル車のみとなっている。今後もMT車が導入されないとは限らないが、いずれにしても2010年現在、左ハンドル・6MT車は2006年~2009年モデルのみだ。

「2.2 JTS」か、「3.2 JTS Q4」か?

チェーン駆動の2.2リッター直噴“JTS”(ジェット・スラスト・ストイキオメトリック=Jet Thrust Stoichiometric)エンジン。赤く塗られたヘッドはアルファロメオの独自設計

もう一つの選択肢はエンジンだ。「2.2 JTS」と「3.2 JTS Q4」はいずれもGM時代の共同開発ユニットをベースとする、チェーン駆動の直噴。アルファロメオが独自設計した部分はシリンダーヘッドのみと、ミラノの血はかなり薄くなっているが、信頼性はすこぶる高い。アルファと言えば、以前はタイミングベルトの定期的なメンテナンスが必須だったが、この新世代JTS エンジンはいずれもオートテンショナー付のチェーン駆動で、それについてはメンテナンスフリーをうたっている。

各エンジンの特徴を簡単に言えば、「2.2 JTS」は絶対的なパワーこそないが、走りは軽快で、燃費もまずまず。音量は控えめだが、耳をすますと適度にアルファサウンドも聞こえる。6MTでもセレスピードでも、飛ばさずして運転を楽しみたい人におすすめだ。

「3.2 JTS」のV6は、トルクフルで重厚。逆に147/156GTAのような刺激的なパワー感やサウンドはないが、こちらは全車「Q4」、すなわちフルタイム 4WDとなるので、雨でも雪でも安心して走りたい人に向いている。この159系で共通の4WDシステムは、センターデフにトルク感応式のトルセン「Cタイプ」を使ったもので、メカ式センターデフらしい自然な走りが持ち味。面白さより操縦安定性を重視したところは、ドイツ車(アウディ?)的と言えるかもしれない。6AT仕様(以前スパイダーで試乗)では、さらにマイルドな乗り味になる。

少々の“日灼け”は気にしないこと

アルファロメオの場合、エンブレムの「日灼け」は大目に見たいところ

「デザイン命」のクルマゆえ、内外装に関してはきれいなものを選びたいが、完璧さを求める必要はない。今回の試乗車でも、運転席側のレザーシートに若干の黒ずみと些細な擦れがあったが、この程度は完全に許容範囲だ。これが気になるなら、ファブリックシートか黒レザーを選ぶしかない。

またボディ前後の「アルファロメオ」バッジが日に灼けるのは、アルファロメオでは避けられない「自然現象」。さっさと交換するも良し、これも「わびさび」と思って眺めるも良し。少なくとも購入時に気にするポイントではない。

2010年現在のベストチョイス

取材担当者は特にアルファに詳しいわけではなく、試乗経験も多くはないが、今回試乗したブレラは、パワートレインにしても、シャシーにしても、ハードウエア面で非常にシッカリしており、「アルファだからね」という言い訳なしで乗れるクルマだと思った。個人的にはハードウエアの良さ、ジウジアーロのスケッチそのままのデザイン、ニッチモデルゆえの非日常性という3点で、ブレラは新世代アルファの傑作だと思う。特に「2.2 JTS」の左ハンドル・6MT仕様には、アルファらしい操る楽しみが残っている点で、とてもいい印象を持った。

フォンフォンと管楽器のように吹けるエンジン、クイックでちょっと油断ならないハンドリングなどなど、往年のアルファらしさを求める向きには、156や GTV、先代スパイダーなどがグッと来るだろうし、あるいはもっと旧いモデルまで溯るのもいいだろう。しかし現代の日本車やドイツ車のことを思えば、ブレラをはじめとする新世代アルファも十分にエモーショナルだ。2010年現在、晴れの日も、雨の日も、日常的にアルファのクーペと共に過ごしたいという方には、今回のブレラがベストチョイスではないか、と思った次第だ。


 

Text:丹羽 圭(Kei Niwa), DAYS
Photo:DAYS

Uカー試乗記

 

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