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Uカー試乗記

Uカー試乗記

掲載日 : 2010年09月28日

2004 ルノー アヴァンタイム

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「エスパス」ベースの超個性派2ドアクーペ

写真はテーマカラーのイリアッド・ブルー
(photo:ルノー・ジャポン)

ルノー「アヴァンタイム」は、同社のミニバンである3代目エスパス(1997~2003年、日本未導入)をベースに開発された、新コンセプトの2ドアクーペ。1999年のジュネーブショーで同名のコンセプトカーが発表された後、2001年に欧州で発売された。

2ドア・ピラーレスの斬新なスタイリングは、当時ルノーのデザイン部門を統括していたパトリック・ルケマンによるもの。骨格はスチールモノコック、アウターパネルはプラスチック製というボディ構造はエスパス譲りで、駆動方式もエスパス同様、FF(前輪駆動)となる。

生産は初代~3代目エスパスと同じく、仏マトラ社が担当。同社はもともと航空機やミサイル等の開発・生産で有名なほか、1960年代には自社ブランドのスポーツカー「マトラ・ジェット」などを市販。F1でも活躍し、ルマン24時間レースでは1970年代に3連覇を達成している。

しかし4代目エスパス以降は生産がルノーに移管されたため、アヴァンタイムの生産も2003年に終了。その生産期間は約2年間と短かく、総生産台数は約8600台程度と言われている。その点では、多分に実験的な要素の強いモデルとなった。

2002年11月に日本で発売。約200台を販売する

今回試乗した「スカラブ・グリーン」のアヴァンタイム。スカラブ(スカラベ)とは通称フンコロガシのこと

日本では欧州に約1年遅れの2002年11月に発売。欧州仕様には2.0リッター直4ターボや2.2リッター直4ディーゼル、6MTもあったが、日本向けは3リッターV6・DOHC(207ps、28.5kgm)+アイシンAW製5ATの右ハンドル仕様のみ。ボディカラーはブルー、ブラック、グリーン、パープルの4色で、価格は500万円(消費税込みで525万円)だった。日本仕様はこの初期導入分のみで、販売台数は約200台と言われている。

 

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巨大な箱形2ドアクーペ

ボディサイズは全長4660×全幅1835×全高1630mm。ホイールベースは2700mm

久々に間近で見たアヴァンタイムは、相変わらず個性的だった。ボディサイズは初代エスティマを少し縮めて低くした程度だが、ボディ形状は2ドアクーペ、もしくは2ドアハッチバックとなる。2ドア車としては、かなり巨大なクルマだ。またドアの長さは1.4メートルもあり、しかもBピラーレス構造。おかげでサンルーフと共に前後のサイドウインドウを全開にすると、カブリオレ並みの開放感が味わえる。

リアに回れば、後に登場する2代目メガーヌのデザインを先取りした「く」の字型のリアゲートや三角形をモチーフにしたリアコンビランプといった難解な意匠が目に入る。ここでのデザインは「形状は機能に従う」ではなく、言わば「形状に機能を従わせた」という感じだ。

その一方で、見方を変えれば、このデザインはフェンダーやドアなどのアウターパネルがプラスチック製、ピラー類やルーフ枠はアルミ合金製という、独特のボディ構造から生まれたもの、とも言える。このあたりの手法は、レーシングカー作りで名を馳せたマトラが得意とするところだ。通常の手法であれば、このオブジェっぽい質感は出なかっただろう。

 
銀色の部分はアルミ合金製で、ボディ側に接着・ボルト止めされる。ルーフは全面ガラス製
リアコンビランプも三角形を4つ組み合わせたもの。写真はバックランプ点灯時
精悍なヘッドライト周辺には、モチーフの「三角形」が反復される。HIDは全車標準


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豪華&前衛の妖しいインテリア

内装色はブラックが多いが、試乗したスカラブ・グリーンではベージュとなる

インテリアデザインもぶっ飛んでいる。ダッシュボードは左右対称で、そこにスリット状の薄いセンターメーターを配置。エアコン操作パネルはダッシュボードの端にあり、オーディオはダッシュボード内に隠されているから、一見インパネにはほとんどスイッチ類がないように見える。

大柄なフロントシートの表皮は全車レザーで、フランス車らしく贅沢な作り。ダッシュボードを水平に走るトリムはアルミ製で、硬いモノを当てるとペコッと凹んでしまうが、それもあえて本物の素材感を狙ったからのようだ。

 
エアコン操作パネルはメインを運転席ドア側に配置。助手席ドア側にも温度調整スイッチがある
真ん中の「オープンエア」ボタンを押すと、サンルーフとサイドウインドウが一斉に開く。左端はサンルーフのみ、右端はシェイドのみ
ダブルヒンジ型のドアは約55kgと重いが、「く」の字に折れ曲がりながら車体に並行して開き、足の出し入れを容易にする
 
前側のサンルーフは開口部が広く、電動シェイド&スライディング機構付。後ろは固定
シートベルト&サイドエアバッグ内蔵型のフロントシート。試乗車は運転席の座面サポート部分が痛んでいた
豪華で座り心地のいい後席だが、つま先が前席下に入らないため、足もとは少し窮屈
 
ジャッキはリアシート座面下に配置。スペアタイヤは荷室真下で、吊り下げ式となる
リアゲートは大小の円柱を縦に割って組み合わせたような複雑な形状。リアウインドウの曲率も深い
後席を畳み、床を上下に仕切るフロアボードを外したところ。容量自体はワゴン並みだ
 

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ちょっと旧いフランス製高級車の味

最高速(V6モデル)はメーカー発表値で220km/hと意外に駿足。シフトゲートにはマニュアルモードも備わる

試乗したのは初年度登録から6年半、走行距離9万2200kmと、アヴァンタイムにしては珍しく走り込まれたもの。外装に目立つキズはないが、距離相応の内装コンディションからすると、前オーナーはこれを普段の足として使っていたのかもしれない。新車価格は525万円(消費税込み)もしたが、試乗車の販売価格はUカー相場(減点前の基準価格)より100万円ほど安い185万円だ。

アヴァンタイムに試乗するのは、かれこれ7年ぶりだったが、トルクフルなV6エンジンで約1.8トンの車体をゆったり走らせる感じは、当時とほぼ同じ。アイシンAW製の5ATには少しシフトショックがあったが、フランス車では当時搭載の早かった5速ということで、各ギアのつながりは良く、高速巡航も静かにこなしてくれる。多少古めかしさのある乗り味は、一昔前のフランス製高級車、例えばシトロエンXMにも通じる物だ。

 
後ろ姿もインパクト抜群。湖上に浮かぶ船のようにも見える

走行9万kmオーバーということで、ボディのヤレが心配になるところだが、スチールモノコックとプラスチック製パネルという独特のボディ構造ゆえに、多少ユサユサする乗り味は、このクルマ本来のものと言える。その点では新車時と大差ないように思えた。サスペンションはエスパス同様、前がマクファーソンストラット、後ろがトーションビームとなる。

パワートレインに関しては、前述の軽微なシフトショック、そしてステアリングを一杯に切って徐行する際のエンジンストールがたまにあったが、それを除けば特に問題はない。デザインとは裏腹にパワートレイン自体は平凡で、特殊なところは一切ないから、メンテナンスは比較的容易だろう。リフレッシュしたい部分はいくつかあるが、現状のままでもアヴァンタイムらしさは十分に味わえる。

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車名  Renault Avantime (2004年モデル)
形式  GH-EL7X
寸法  全長4660mm×全幅1835mm×全高1630mm
ホイールベース  2700mm
車重    1790kg
駆動方式  前輪駆動(FF)
エンジン  2946cc V型6気筒DOHC・4バルブ
最高出力  207ps(152kW)/6000rpm
最大トルク  28.5kgm (280Nm)/3750rpm


トランスミッション  5AT
使用燃料/容量  プレミアムガソリン / 80L
10・15モード燃費  -km/L
タイヤ      235/50R17
最小回転半径   -m
発売時期     2002年11月
当時の新車価格  500万円(消費税含まず)


試乗車スペック

初年度登録   2004年3月
試乗日      2010年9月
販売価格    185万円(消費税込み)
走行距離    9万2200km
ボディカラー  スカラブ・グリーン メタリック
備考      -
AIS評価点    -点

 


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コンディションとのバランスでは、ここ数年が買い時

オートプラネット名古屋の「プラネットカフェ」前にて、「メガーヌ RS F1チーム リミテッドエディション」と

日本には2002年末に上陸したものの、翌2003年には早々と生産を終えてしまったアヴァンタイム。日本で販売されたのは初期導入分の約200台だが、当時はこれを売り切るだけでも、かなり苦労したと聞く (実際、販売そのものは2005年まで続いた)。

しかしそういった状況もある程度予想された中で、あえて日本で正規販売されたのは、ひとえにその「唯我独尊」といった感じの強烈な存在感に、関係者が圧倒されたからだろうか・・・・・・。マトラとの提携もなくなり、ルケマンもルノーを退職した今、アヴァンタイムは当時のルノー・デザインの、というかパトリック・ルケマンの最高傑作だった、と言える。

 

さて、そんなわけでアヴァンタイムの年式は2002年から2005年まであるが、導入時期も仕様もすべて一緒なので、これに関して気にする必要はない。違いはボディカラー(および内装色)、走行距離、そして内外装コンディションだ。今回の試乗車は走行距離が9万kmと多く、内装の一部にも痛みが見られたため、価格は現時点でのボトムと思われる185万円だったが、走行距離が2~5万km程度の場合は、250万~300万円が相場のようだ。希少車ゆえ、Uカーで出物に遭うチャンスは決して多くない。コンディションとのバランスで考えると、ここ数年が買い時だろう。

 

Text:丹羽 圭(Kei Niwa), DAYS
Photo:DAYS

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