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Uカー試乗記

Uカー試乗記

掲載日 : 2010年10月20日

2004 BMW 530i

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斬新なデザインとハイテクが盛り込まれたBMWの中核セダン

BMW 5シリーズ。2003年デビュー時のもの
(photo:BMWジャパン)

1972年に登場して以来、BMWの高級ミディアムクラスを担うのが「5シリーズ」だ。今回とりあげるのは、2003年に登場した5代目「E60型」。そのスタイリングは従来の5シリーズとは全く異なる斬新なものとなり、また前半をアルミニウム製、後半をスチール製とする軽量ハイブリッドボディ、走行状況に応じてステアリング・ギア比を電子制御で可変する「アクティブ・ステアリング」、ナビ、オーディオ、車両設定などを専用コントローラーで一元操作する「iDrive(アイドライブ)」、ヘッドライトの光軸を左右に可変する「アダプティブ・ヘッドライト」などなど、数多くの最新技術が盛り込まれている。

エンジンはBMW伝統の直列6気筒エンジンを主軸に、バルブトロニックのV型8気筒エンジンも用意。変速機は日本仕様の場合、当時最新の6ATが全車に採用された(7速SMGのM5を除く)。

「ツーリング」や「M5」も登場

BMW 5シリーズ ツーリング。リアゲートにガラスハッチを備える
(photo:BMWジャパン)

日本では2003年8月に、直6の「525i」と「530i」、V8の「545i」で販売をスタート。当初の価格は、それぞれ570万円、675万円、880万円(消費税抜き)だった。

翌2004年6月には、ステーションワゴン(E61型と呼ばれる)の「525i ツーリング」を新設定。同年11月には、各グレードに「Mスポーツ パッケージ」仕様を追加したほか、F1テクノロジー直系の5リッターV10エンジン(507ps、53.0kgm)と7速SMG(セミAT)を搭載した高性能モデル「M5」を発売した。なおM5の価格は1290万円(発売当初)だった。

2005年6月には、3リッター直6をマグネシム合金とアルミ合金を併用したバルブトロニック仕様に換装。同時にツーリングに3リッター車(530i ツーリング)を追加した。11月には従来の「545i」を廃止し、新たに4リッターの「540i」と4.8リッターの「550i」を新設定して、V8エンジン搭載車を再編した。

 
BMW M5
(photo:BMWジャパン)

2006年9月には、BMWジャパン設立25周年を記念して、装備を充実させた特別仕様車「525i 25th アニバーサリーエディション」(500台限定)を発売。11月にはツーリングの頂点モデルとして「550i ツーリング」を追加した。

2007年6月には、マイナーチェンジを実施。内外装デザインを小変更して質感をアップしたほか、新デザインの電子式ATシフトレバーを採用。またフルタイム4WDシステム「BMW xDrive」を搭載する「530xi ツーリング」を追加した。ここで5代目5シリーズは実質的に完成し、最終型となっている。

2009年11月には、次期5シリーズの先行モデルとして、5ドアの「535i/550i グランツーリスモ」(F07型)が登場。2010年3月には、6代目5シリーズセダン(F10型)、9月には新型ツーリング(F11型)が登場し、ここで約7年間にわたる「E60/61型」5シリーズの販売が終了した。

 

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前半アルミ、後半スチールのハイブリッドボディ

Aピラーより前のボディ骨格、フロントフェンダー、ボンネット、サスペンションは全てアルミ合金製

2003年の発売当時、かなりぶっ飛んだデザインに見えた5シリーズ。このクラスはカンパニーカーとしての需要が大きく、ユーザー層の年齢も高めであるため、コンサバティブなデザインとするのが通例だが(現に先代のE39型はコンサバ路線だった)、そういった慣習を打ち破ったのがこのE60型だ。その一方で、2001年にデビューした7シリーズ(E65型)よりはオーソドクスなデザインで、関係者やBMWファンをホッとさせたのも事実だが、それでも「眉」の付いた切れ長のヘッドライトや彫刻的なプレスラインは、今見てもインパクトがあり、質感も高い。当時は賛否が半々という感じではあったが、今ではほとんどの人が素直にカッコいいと思うのではないだろうか。

なお、Aピラーより前のアルミ合金製ボディと、それより後ろのスチール製ボディは、電位差による腐食を防ぐため、絶縁性接着剤とパンチング・リベットで接合されている。生産台数が限られるスポーツカーならともなく、量産セダンではあり得ないほどコストと手間暇の掛かった構造だ。

 
ボディサイズは全長4855mm×全幅1845mm×全高1470mm。ホイールベースは2890mmとこのクラスでは一般的な大きさ
ボディ前半はアルミ合金、後半はスチール製で、50:50の前後重量配分を実現
(photo:BMWジャパン)
530iの場合、「アダプティブ・ヘッドライト」は当初オプション。タイヤはランフラットが標準だった


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iDriveの弱点は、後付けナビで補う

視認性のいいダッシュ中央上部にモニターを置き、左手の先にiDriveコントローラーを配置する。ダッシュ上のPNDは社外品

左右シンメトリー(相似形)のインパネは、当時の7シリーズ風だが、シフトレバーを小さなコラムシフト型スイッチにしてしまった7シリーズに対して、5シリーズは一般的なフロアシフトを採用している。全体的にオーソドクスなデザインだが、BMW的な「機能性重視の高級感」は十分にある。なお、試乗車は約7年落ち、走行距離3万1300kmだったが、目立ったキズやヤレはほとんどない。

当時話題になったというか、物議を醸したのが、センターコンソールにあるiDrive コントローラーだ。これは銀色のコントローラーを前後左右に動かしたり、回したり、上から押したりして、液晶モニターに表示されるナビ、オーディオなどをブラインド操作する、というもの。7シリーズに採用された極初期のものに比べて、5シリーズのものはメニューボタンを追加するなど若干改良されている。

とはいえ、試乗した車両では、ダッシュボード上に社外のPND(メモリー式ナビ)を設置し、使い勝手の良くない純正DVDナビの弱点を補っている。これは現実的で、悪くない解決策だと思う。

 
5シリーズに搭載された改良型のiDrive。メニューボタンが追加され、操作方法も若干変更
回転計にはBMW車でおなじみのアナログ瞬間燃費計が備わる。燃費運転に便利
530iのシートはフル電動。試乗車はファブリックだが、「Hi-Lineパッケージ」車や「545i」はレザー
 
「530i」と「545i」はランフラット仕様だったが、日本向けは当初スペアタイヤ付
トランク容量は520リッター。トランク上部のレバーを引けば後席背もたれが倒れる
ヒップポイントが低めの後席。空間には余裕があり、座り心地も良い
 

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低速ではアクティブステアリングで超クイック

初期E60型の3リッター直6は先代E39型譲りで、パワー感は濃い。最高速は250km/h

試乗車は2004年式の「530i」。その3リッター直6は、2005年6月にマグ・アルミ併用のバルブトロニック仕様に換装されたので、これはそれ以前の初期モデルに相当する。試乗車の販売価格は、新車当時の708万7500円に対して203万円。かなり安いが、知らなければとてもそんな値段には見えない。走行距離はまだ3万1300kmで、内外装のコンディションも良好だ。

530iに試乗するのは、2003年デビュー時以来で、かれこれ約7年ぶり。E60型と言えば、当時の話題は何と言っても「アクティブ・ステアリング」。車速、舵角、ヨー・レート(クルマの旋回G)等によって、ステアリングのギア比を可変する(結果的に前輪の切れ角も変化する)、というもので、特に据え切りや極低速では、ロック to ロックが約1.7回転と超クイックになる。おかげで当時初めてE60型を運転した時は、最初の交差点で思った以上に曲がり、面食らったものだ。ただしこの点に関しては、すぐに慣れる。

今回の試乗でも、そのあたりのクイック感は相変わらず。実際の最小回転半径は5.7メートルと特に小さくはないが、Uターンは大得意で、今回一緒に試乗したフィアット500(意外に小回りが効かない)やVWゴルフよりも、「クルッと回る」感は強い。

一方、高速走行時には、車両を安定させる方向に作用。さらにコーナー等で車両が不安定になると、DSC(ダイナミック・スタビリティ・コントロール)と協調して、ステアリング・アングルの修正も行なう。このあたりの理屈は、トヨタがプリウスや一部高級車で採用している「S-VSC」に近いが、この初期5シリーズでは、それらより積極的に制御が入る。誤解を恐れず言えば、熟成が進んだ最新のアクティブステアリングよりも、アクティブっぽくて面白い、という風にも思える。

BMWらしい自然吸気ストレートシックスが堪能できる

E60/61型530i用のエンジンは当初231psで始まり、2005年には258ps、2007年には272psまでアップする

もちろん「530i」における最大の魅力は、その3リッター直6エンジンで、アクセルを深く踏み込めば、レッドゾーンが始まる6500回転まで軽々と回り切る。BMWらしい精緻な回転上昇感は、一般的な量産V6エンジンではまず味わえないし、同じBMW製でも最近の燃費コンシャスなエンジンより、味わいは濃厚。エンジンだけに関して言えば、久々に(昔ながらの)BMWらしいクルマに乗ったなあ、という気がした。

なお、試乗車のタイヤは、溝こそまだ残っていたが、うち2本(後輪側)は工場出荷時のままっぽく、賞味期限はすでに怪しかった。購入する場合は、タイヤをぜひ新調したい。

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車名  BMW 530i (2004年モデル)
形式  GH-NA30
寸法  全長4855mm×全幅1845mm×全高1470mm
ホイールベース  2890mm
車重    1580kg
駆動方式  後輪駆動(FR)
エンジン  2979cc 直列6気筒DOHC・4バルブ
最高出力  231ps(170kW)/5900rpm
最大トルク  30.6kgm (300Nm)/3500rpm


トランスミッション  6AT
使用燃料/容量  プレミアムガソリン / 70L
10・15モード燃費  8.8km/L
タイヤ      225/50R17
最小回転半径   5.7m
発売時期     2003年8月
当時の新車価格  708万7500円(消費税含む)


試乗車スペック

初年度登録   2004年1月
試乗日      2010年10月
販売価格    203万円(消費税込み)
走行距離    3万1300km
ボディカラー  チタン・シルバー
備考      社外メモリーナビ付
AIS評価点    4点

 


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「525i」か「530i」。「ツーリング」もおすすめ

取材当日、オートプラネット名古屋にはE60/61型5シリーズが計6台並んでいた

E60/61型5シリーズで、Uカー市場の主流となるのは、2.5リッター(192ps)の「525i」と3リッター(231~272ps)の「530i」の2つだ。どちらを選ぶかは迷うところだが、パワーに余裕があるのはもちろん530iの方。また10・15モード燃費は、「525i」と初期の「530i」が共に8.8km/Lで、さらに530iの方は、度々のエンジン換装・改良によって、最終的には9.4km/Lまで向上する。となると530iの方が良さそうだが、そもそも動力性能は525iでも十分だ。用途や好みにもよるが、無責任な言い方をすれば、どちらでも良い、と思う。

また、レザーシートが良ければ「Hi-Line」仕様やV8モデル等になるが、試乗したファブリックシートも見た目や触感が良く、通気性にも優れるので、これはこれで全然ありだと思った。ステーションワゴンの「ツーリング」は多少相場が高めだが、その分リセールバリューも高い。スタイルや使い勝手も良いので、ぜひおすすめしたい。

一気に値頃感が出てきたE60型を、200万円台で狙う

5代目5シリーズはデザインといい、アルミ・鉄の混成ボディといい、BMWが「尖って」いた頃の傑作だ

今回、試乗した車両の販売価格は203万円で、思わず「安い!」と思ってしまったのだが、さらにオートプラネット名古屋のBMWコーナーを見渡してみると、2003~04年の初期モデルは185万~259万円と、おおむね200万円前後。さすがに2006年モデルの「525i ツーリング」は319万円(黒、走行1万9800km)か349万円(白、走行3万400km)だったが、いずれにしても今、「ちょっと旧い5シリーズ」は、絶好の買い時にある。

特にこのE60/61型5シリーズは、多少なりともコンフォート志向だったE39型5シリーズに比べて、ぐっとスポーティだし、例のアクティブステアリングも手伝って運転感覚も若々しい。また一方で、この世代の直6エンジンには、最新のバルブトロニックや直噴ターボ仕様にはない、昔ながらのBMWらしいパワー感や息吹も残っている。そういった意味でこの先代5シリーズは、デザインはもとより、ハードウエア面でも、今こそ価値が分かるクルマだ。

 

Text:丹羽 圭(Kei Niwa), DAYS
Photo:DAYS

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