掲載日 : 2011年01月21日
2004 ヒュンダイ XG 250
いわゆる3代目グレンジャー。ヒュンダイを代表する高級FFセダン
ヒュンダイ「XG」は、同社が2001年から日本市場に投入した高級セダン。韓国では「グレンジャー XG (Grandeur XG)」と呼ばれ、グレンジャーとしては3代目にあたる。「XG」は主に輸出名として使われたものだ。
初代グレンジャー(1986~92年)は、実質的に2代目三菱デボネア(1986~92年)のノックダウン生産車だったが、これが韓国で大ヒットし、技術面でも同社を大きく成長させた。これを受けて2代目グレンジャー(1992~98年)は、3代目デボネア(1992~98年)との共同開発に発展している。
これでさらに自信を深めたヒュンダイが、三菱と技術提携しつつ独自開発したのが3代目グレンジャー/XG(1998~2005年)だ。この3代目は北米、欧州、アジアなどに輸出され、グローバル市場におけるヒュンダイ躍進の要となった。なおこの代から同社の“最高級”セダンの座は、三菱プラウディア(2000~2001年)と共同開発されたエクウス(Equus、1999年~)に譲られている。
日本では2001~2005年に販売
日本では2001年5月に発売され、当初は3リッターV6(192ps、26.5kgm)+5ATの「300」とレザーシート等を備えた「300L」でスタート。当時の価格はそれぞれ239万9000円と279万8000円で(共に消費税別)、いずれも4エアバッグやEBD付きABS等を標準装備していた。2003年3月には、内外装を若干マイナーチェンジしている。
2004年3月には、2.5リッターV6(167ps、22.9kgm)+4ATの「250」を新設定。またこの時から「300」にもレザーシートが標準装備され、価格は「250」が220万2900円、「300」が278万0400円、「300L」が309万5400円(いずれも消費税込み)となった。
このまま2005年末まで販売を継続。2006年1月に4代目グレンジャー(米国などの輸出名はアジーラ)が発売されるのを待って、販売を終了した。

ちょっと懐かしい高級セダン風
当時の「XG」は、ヒュンダイが日欧米の高級車に「追いつき、追い越せ」というか、まず「追いつく」ことが課題だった時に開発されたモデルで、それはデザインにもはっきり表れている。全長4875mm×全幅1825mm×全高1440mmの堂々たるボディは、1990年代前半のクラウン風だったり、メルセデス・ベンツ風だったり、キャデラック風だったりと、東西を代表する高級車の要素がてんこ盛り。ただし今見るとこのベタな高級車スタイルも、何となくノスタルジックで面白い。
技術的にはプラットフォームやパワートレインの一部を三菱の2代目ディアマンテ(1995~2005年)と共有するようで、確かに大まかなパッケージングやハードトップである点、サスペンション形式等が近い。ただし各部の寸法は微妙に異なり、外観もディアマンテとはぜんぜん似ていない。
内装も90年代的。居住性は申し分なし
インテリアはまさに1990年代の日本車そのもの。試乗車はエントリーグレードの「250」だったが、ウッド調パネルが張り巡らされ、シートも「250」ではオプションだが、フルレザーだった。取材時点でのコンディションは、いかにも乗りっぱなしという感じだったが、ソフトパッドを使った樹脂の質感は高く、ちょっと手をかければ艶も甦りそう。こういった作りの良さも、ちょっと旧い日本車風だ。その分、今風の緻密な高級感には欠ける。
また、このボディサイズ、しかもFF車ということで、後席は広々。クッションは非常に分厚く、座り心地もいい。このあたりは、どちかと言えばアメリカ車に近い感じだ。
エンジンと乗り心地は超スムーズ
試乗したのはモデル末期の2004年に追加された2.5リッターV6+4ATの「250」。約6年落ちで、走行距離は6万6900km。AIS評価点は年式相応の4点だが、シルバー/ブラックという内外装色のおかげで、キズなどは目立たない。販売価格は新車当時の220万2900円(オプション含まず)に対して、格安の48万円だ。
XGに試乗するのは10年ぶりくらいで、「250」は初めて。しかし走り出した瞬間から、まるで毎日足にしているクルマみたいに気軽に運転できる。V6エンジンは非常にスムーズかつ静かで、トルコン4ATも気に障るところなし。最小回転半径は5.7メートルだが、小回りもちゃんと効くし、パワステの重さも適度だ。これといって何の文句もない。
特に感心したのが乗り心地がいいこと。アメリカ車や北米向け日本製セダン同様、路面からの突き上げやロードノイズの遮断を目指したものだが、ここまで滑らかに走るものは意外に少ない。その乗り心地はある意味ハイヤー風でもあるが、それは後席パッセンジャーにしてみれば嬉しいところだろう。またビシッとした操縦性こそないが、ロールしながらスッと曲がるところも自然。総じて、気楽に乗り回せるセダンが欲しいというニーズは完璧に満たすと思う。こういうのを味わうと、ハイスピード域に照準を合わせた欧州車や一部日本車のセッティングは何なんだろうか、と思えてくる。
年式・車名 2004 Hyundai XG 250
形式 GH-TXG25
寸法 全長4875mm×全幅1825mm×全高1440mm
ホイールベース 2750mm
車重 1570kg
駆動方式 前輪駆動(FF)
エンジン 2493cc V型6気筒DOHC・4バルブ
最高出力 167ps(123kW)/6000rpm
最大トルク 22.9kgm (225Nm)/4000rpm
トランスミッション 4速AT
使用燃料/容量 レギュラーガソリン / 70L
10・15モード燃費 9.5km/L
タイヤ 205/60R16
最小回転半径 5.7m
発売時期 2001年5月(XG 300)、2004年3月(XG 250)
当時の新車価格 220万2900円(XG 250、2004年4月以降)
試乗車スペック
初年度登録 2004年11月
試乗日 2010年12月
販売価格 48万円(消費税込み)
走行距離 6万6900km
ボディカラー シルバー
備考 社外CDプレーヤー
AIS評価点 4点
軽快感と燃費では「250」がおすすめ
XGの日本での販売期間は、2001年から2005年までの5年間。絶対的には「300/300L」の台数が多かったはずだが、試乗した「250」も2004年以降に多く上陸したようだ。
当然ながらパワフルなのは「300/300L」の方で、ATも5速になる。装備面でも手動ファブリックシートが標準の「250」に対して、「300」では電動(2004年以降はレザー)、「300L」では電動レザーとなるほか、「300/300L」にはESPに相当する車両制御システム「CAN-BUS SYSTEM」が装備される。
一方、日常速度域でのパワー感や快適性は「250」でも十分。また操縦性も「250」の方が鼻先が軽くて、バランスがいいようだ。指定燃料は両方ともレギュラーだが、10・15モード燃費は「250」が9.5km/L、「300/300L」が8.6km/Lとなり、1割ほど「250」の方が良い。というわけで、燃料コストの点でも「250」は有利だ。
今こそヒュンダイは面白い
ブランドイメージが確立されず、また多くの人が実車に触れる機会もないまま、2009年に日本市場から撤退してしまったヒュンダイ。取材担当者自身も、最後の日本投入車となった「i30」に乗る機会を逸し、今や海外で評価の高い新型「ソナタ」や「ジェネシス」にすら試乗するチャンスはない。実は今こそヒュンダイは、日本車にとって本当に脅威であり、またいい刺激となり得るところなのだが。ヒュンダイUSAの公式サイト http://www.hyundaiusa.com/などを見ると、そのラインナップの充実ぶりには本当に驚かされる。
ここ10年を振り返れば、個人的には流麗なイタリアンデザインをまとった「ヒュンダイ クーペ」、道具感あふれるライトSUVの「JM」、そしてXGの後継車となった4代目「グレンジャー」が記憶に残るところだ。いずれも日本車に劣らない出来映えであり、いつかこのUカー試乗記でも取り上げたいと思う。
Text:丹羽 圭(Kei Niwa), DAYS
Photo:DAYS










