掲載日 : 2011年03月01日
2005 BMW Z4 3.0i SMG
初代Z4に設定された6速セミATモデル
初代Z4(ゼットフォー)は、日本では2003年から2009年まで販売された二人乗りのオープンスポーツ。今回試乗したのは3.0リッター直6を搭載した上級グレードの「3.0i」で、しかも珍しい6速セミAT「SMG」仕様だ。
Z4は2009年5月に2代目(E89型)に進化しているが、SMG仕様は新旧合わせても今回のモデルのみで、販売期間も2003年5月からの約3年間に限られる。「3.0i」には同時に5ATもあったので、SMGの導入台数はかなり少なかったはずだ。
なお「SMG」とは、BMW独自のセミオートマチック・トランスミッションで、「Sequential Manual Gearbox」の略。6速MTをベースに、クラッチの断続や変速をアクチュエーターで自動化したものだ。同種のものでは、アルファロメオの「セレスピード」、フェラーリの「F1マチック」、最近の例ではレクサスLFAの「ASG(Automated Sequential Gearbox)」などがある。BMWではE36型M3で初めて採用。Z4が搭載するのはその改良型となる。

アスリート体型のボディ、最速のソフトトップ
Z4が2代目に移行して早くも2年近く経つが、初代は相変わらず個性的で斬新だ。その魅力は、何と言ってもボディサイズが2代目よりグッと引き締まって見えること。意外なことにホイールベースは新旧同じで、全幅もほぼ同じだが、全長は初代の方が150mmも短く、まるで贅肉を削ぎ落としたアスリートのように見える。
その初代と2代目とで決定的に違うのが、初代は幌(ソフトトップ)、2代目はメタルトップという点だ。ちなみに初代の電動ソフトトップは、開閉が抜群に速く、カタログ値で10秒、実測では約9秒を誇る。2代目の電動メタルトップは約20秒だ。
刃物のような硬質感
Z4の乗車感は、典型的なFRのオープンスポーツ風。決して狭くはなく、むしろ横方向は広いのだが、「クルマを着る」ような感覚が、絶妙な塩梅で残されている。また試乗車の場合は、独特のヘアライン処理を施したアルミパネルが、まるで往年のガーバー製ナイフのようにオトコ心をくすぐってくる。レザーやウッドを多用した内装とは一線を画した、クールなデザインだ。
直6とSMGが競演する刺激的なオープン走行
試乗した「Z4 3.0i SMG」は2005年式で、取材時点で約6年落ち。AISの評価シートを見ると、右フロントフェンダーに交換歴があったが、走行距離は1万8100kmと少なく、ワンオーナー車だけに内外装もきれいだった。販売価格は新車時の590万円に対して209万円だ。
初代Z4には過去に「2.2i」と「2.5i」に乗っているが、「3.0i」は今回が初。SMGに至っては、1997年式のE36型M3以来だったが、操作自体は難しくない。エンジンを始動させた後、シフトレバーを右にフリックすれば、D(ドライブ)に入る。アルファのセレスピード同様、クリープはないが、アクセルを踏めばコンピューターが自動的に半クラッチを当てて、スムーズに走り出す。ステアリングを切った状態での発進も上手だし、セミATが苦手とするアップシフトも速い。一連の動作や発進時の力強さは、アルファロメオのセレスピード、特にV6モデルのそれとよく似ている。
オープンエアでのドライブは、なかなか刺激的だ。231psの3リッター直6は、Mモデルほど凶暴ではないが、パワーと速さはオープンカーで楽しめる限度ギリギリという感じ。ストレートシックスの音は直接耳に飛び込んで来るし、シフトダウンをすれば、バオン!と威勢よくブリッピングしてくれる。風の巻き込みも最近の二人乗りオープンカーとしては多めなので、その意味でもけっこう刺激的だ。それでも強力なヒーターのおかげで2月でも寒くはなく、幌を閉めてしまえば快適性はクーペに遜色ない。このあたりはさすがドイツ車、よく考えられている。
ただしシフトダウンしようとして、パドルやシフトレバーを「引いて」しまうと、BMWでは逆にシフトアップしてしまう(マツダも同じ)。頭では分かっているのだが、今回も何度か間違えてしまった。それからマニュアルモードのままだと、加速が鋭いだけにレブリミッターのお世話にもなりやすい。またエンジンを停止した後、ニュートラルでも鍵が抜けてしまうため、ドライバーは車両を離れる時に意識式にMT車のようにギアを入れて、パーキングブレーキをしっかり掛ける必要がある。
試乗車は標準指定のランフラットタイヤ(ブリヂストンのポテンザ RE050A ランフラット)を履いており、乗り心地やグリップは特に問題なし。ただしパワーがあるせいか、以前乗った「2.2i」や「2.5i」ほどシャシー側に余裕はなく、特にペースを上げた時には多少の緊張感がないでもなかった。
年式・車名 2005 BMW Z4 3.0i SMG
形式 GH-BT30
寸法 全長4100mm×全幅1780mm×全高1285mm
ホイールベース 2495mm
車重 1390kg
駆動方式 後輪駆動(FR)
エンジン 2979cc 直列6気筒DOHC・4バルブ
最高出力 231ps(170kW) /5900rpm
最大トルク 30.6kgm (300Nm)/ 3500rpm
トランスミッション 6速セミAT(SMG)
使用燃料/容量 プレミアムガソリン / 55L
10・15モード燃費 10.6km/L
タイヤ 225/45R17
最小回転半径 4.9m
発売時期 2003年5月
当時の新車価格 590万円(2004年6月発売モデル)
試乗車スペック
初年度登録 2005年5月
試乗日 2011年2月
販売価格 209万円(消費税込み)
走行距離 1万8100km
ボディカラー チタンシルバー
備考 ワンオーナー、純正DVDナビ・TV、CDチェンジャー、ETC
AIS評価点 4.5点
「2.2i」や「2.5i」がおすすめ
初代Z4の日本での販売期間は、2003年から2009年までの実質6年半だが、2011年現時点でUカーで選ぶとすれば、手頃な値段や球数の豊富さから言って、2006年春までの前期型が選びやすい。もちろん後期型ならエンジンは新型だし、ATも全車6速になるが、少なくとも外観に大差はない。
今回試乗したSMGについては「少々マニアックかなあ」という印象を持った。確かにレーシングカーのシーケンシャル式ミッションのような操作感は面白いが、2ペダル車の大半がセレスピードだった一昔前のアルファロメオと違って、Z4には5ATや6ATもあるし、2代目Z4には7速DCTもある。また硬派には「Z4 M」の6MTという選択だってある。
というわけで、当たり前の話で申し訳ないが、一般的には前期型の「2.2i」と「2.5i」、そして「3.0i」の5AT車がおすすめ。もちろん後期型の「2.5i」や「3.0si」(いずれも6AT)もいいと思う。直6のスムーズさや緻密なサウンド、FRならではの自然なハンドリングは完璧に味わえるし、オープンドライブをドキドキせずに楽しむなら、これくらいのパワーが適度。注意すべき点は、下位グレードでオプションだった電動トップの有無を確認することくらいだろう。Z4には必須の装備だ。
Text:丹羽 圭(Kei Niwa), DAYS
Photo:DAYS










