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Uカー試乗記

Uカー試乗記

掲載日 : 2011年04月28日

2009 ルノー カングー 1.6

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5人乗りの多目的ファミリーカー

2代目ルノー カングー。写真はテーマカラーの「ジョン アグリュム」
(ルノー・ジャポン)

「カングー」は1997年に登場した5人乗りの多目的ファミリーカー。2002年に正規販売が始まった日本でも大人気となり、今やルノー・ジャポンの最量販モデルとなっている。

今回とりあげるのは、欧州では2008年、日本では2009年9月に発売された2代目カングー。ボディサイズは一回り以上大きくなったが、快適性、走行安定性、衝突安全性は大幅に高まっている。

4ATと5MTを用意

90台限定で販売された特別仕様車「クルール」
(ルノー・ジャポン)

2代目カングーの日本仕様は、1.6リッター直4(105ps、15.1kgm)の右ハンドル車。4ATに加えて、5MTも用意するあたりが、日本ではすっかりクルマ好き御用達となっているルノーらしい。ボディカラーは計12色(後に10~11色に変更)で、価格は4ATが229万8000円、5MTが219万8000円だった。

発売から10ヵ月後の2010年6月には、特別仕様車「クルール(Couleur)」を設定。これはボディカラーに「オランジュ プロヴァンス」、「ベール パリ」(グリーン)、「ブルー フランス」といったビビッドな3色を用意し、黒の前後バンパーやドアミラーでフランス流に仕立てたもの。販売台数は各色30台の計90台で、ATとMTは半々で用意された。

派生モデル「カングー ビボップ」も登場

カングーベースの2ドアモデル「カングー ビボップ」。独特のグラスルーフを備える
(ルノー・ジャポン)

2010年9月には、カングーの2ドア・ショート版「カングー ビボップ(BE BOP)」も発売された。こちらは5MTのみで、価格は234万8000円。現在ラインナップされている輸入車の中では最も個性的なモデルの一つだ。(2011.04)

 

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雰囲気は先代のまま。ただし全幅はワイド

全長4215mm×全幅1830mm×全高1830mm、ホイールベース2700mm

カングーらしい、ほんわかデザインは2代目になっても相変わらず。グリルレスの顔、食パンのような形のボディ、飾り気のない作りなどは、大ヒットした初代のままだ。全長は20センチほど伸びたが、それでも約4.2メートルと短い。全高は先代と大差ない1830mm(20mm増)だ。

一方、大きく変わったのは、全幅が一気に1830mmに増えたこと。なにぶん初代は5ナンバー幅(1675mm)だったので、気にならないと言えばウソになる。ただ、全幅と全高が同じになったことで、「背だけ妙に高い」という感じはなくなり、見た目の安定感は増している。

 
初代にはハッチバックもあったが、2代目は観音開きのダブルバックドアのみ
15インチのスチール製ホイール+樹脂キャップが標準。アルミは販売店オプション
ヘッドライトはハロゲンで、フォグは標準。日本仕様には補助ミラーが付く

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初代よりも質感と空間をアップ

スピードリミッター&クルーズコントロールは標準装備。パーキングブレーキは操縦桿タイプ

先代のインテリアは貨物車のように鉄板むき出しで、それはそれでオシャレだったが、2代目のそれは樹脂パーツにフルカバーされて、すっかり乗用車らしくなった。プラスチック然とはしているが、デザインに統一感があり、決して安っぽくはない。ボディ幅がワイドになったことで、ぐっと広々感も増している。

もちろん、道具としての工夫も満載。まずはカングー名物のオーバーヘッドコンソールが面白いところ。前席の頭上には衣類などをポンポンと放り込めるフタなしタイプ、後席にはタンスのようなフタ付タイプを設けている。

フランス車らしく、前席シートの座り心地はとてもいい。一方、後席はスペースこそ広いが、背もたれなどのクッションが平板で、座り心地は今ひとつ。快適性よりもシートアレンジを優先した感じはある。

 
ルノーの場合、キー本体のリモコンが日本の電波法に触れるため、別体リモコンが付属する
2代目はカーテンエアバッグを装備するため、天井の収納はサイドから真上になった
(ルノー・ジャポン)
ドア開口部は広く、乗降性は良好。側面からの衝撃は二重フロアで受け止める
 
ラチェット式のリフターを備えたフロントシート。ステアリングの調整はチルトのみ
リアにはパワーウインドウ、折り畳み式テーブル、3人分の3点式シートベルトを装備
リアシートは背もたれを倒すだけのワンタッチで足もとに畳み込める
 
スペアタイヤはルノー車に多い吊下式。荷室側のボルトを緩めるとラックが下がって降ろせる
バックドアを開けるとまず90度で固定され、レバー操作で金具を外せば180度開く。賢い!
荷室容量は660~2866リッター。室内で着替えも出来るし、自転車も簡単に積める
 

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パワー不足感なく、静粛性もまずまず

決して速くはないが、遅くもない5MTのカングー。欧州仕様の最高速は164km/h

試乗したのは導入初年度である2009年式の5MT。まだ1年半落ちで、走行距離もわずか7900km。内外装も含めて、新車デモカーみたいなコンディションだった。販売価格は新車時の219万8000円に対して209万円となかなか手強い。

エンジンは先代(後期型)譲りの1.6リッターDOHCで、最高出力は先代比+10psの105ps。車重は1420kgとそこそこ重いので、走らなくても当たり前、と思ったが、これが意外や意外、よく走る。2年前に試乗した4AT車でも、目立って不足はなかったが、5MTではクラッチをつないだ直後から、車体をしっかり前に押し出し、さらにエンジンを回した分だけ力強く加速してゆく。動力性能はこれで十分というか、これくらいがちょうどいい。運転していて全くイヤなところがなく、心穏やかなまま楽しめる。

 
マニュアル車でも、運転は非常にイージー。免許取り立てでもスムーズに運転できる

セニック譲りの二重フロアのせいか、静粛性も意外に高い。高級車のように静かなわけではないが、突出した音や耳障りな音がないので、全体として気にならない感じ。乗り心地も良好で、不思議なほどフラットに走る。平板なリアシートの座り心地が大人にはちょっとツラいが、前席に大人、後席に子供あるいは遊び道具という使い方なら問題なし。足まわりもルノー車らしくしっかりしている。

 

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年式・車名  2009 Renault Kangoo 1.6
形式  ABA-KWK4M
寸法  全長4215mm×全幅1830mm×全高1830mm
ホイールベース  2700mm
車重    1420kg
駆動方式  前輪駆動(FF)
エンジン  1598cc 直列4気筒DOHC・4バルブ
最高出力  105ps(78kW) /5750rpm
最大トルク  15.1kgm (148Nm)/ 3750rpm


トランスミッション  5速MT
使用燃料/容量  プレミアムガソリン / 60L
10・15モード燃費  -km/L
タイヤ      195/65R15
最小回転半径   -m
発売時期     2009年9月
当時の新車価格  219万8000円


試乗車スペック

初年度登録   2009年10月
試乗日     2011年4月
販売価格    209万円(消費税込み)
走行距離    7900km
ボディカラー  ブルーボルガ
備考      新車保証残りあり
AIS評価点    -点

 

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人気車につき、相場は高値安定

プラネットカフェ前に展示中のカングー

輸入車には数々の「人気マイナー車」があるが、カングーはその筆頭とも言える一台。巷には「ちょっとお買い得感のあるカングーがあれば欲しい」と思っている人がわんさといる。

ところがこのカングー、Uカー相場はなかなか手強い。例えば2代目は今、検索してみただけで下は198万円から上は238万円(純正ナビ付)までと、驚きの高値安定。これじゃあ、新車価格(約220万~230万円)と変わらないじゃないか、と誰もが思うだろう。

一方、実際には新車でも、色や仕様(5MTとか)によっては本国バックオーダーになるし、値引きは全くないと思っていい(たぶん)。なので現物を見て、即納で買えて、諸経費分などで安くなる高年式カングーのメリットも、なかなか侮れないのだ。


初代もいいけど、2代目はワンランク上

2代目カングーはダブルバックドアのみ。実用車らしい工夫やカングーらしいデザインが楽しめる

となると「初代カングーでもいいよ」と思う方も少なくないだろう。確かに初代カングーは、高級感がこれっぽっちもないところなど、まさにフランス大衆車の王道をゆくモデル。まして3ナンバー幅に抵抗がある場合は、この初代カングーのナローボディが魅力だ。相場も100万円以下から180万円台までと、よりどりみどり。

ただ、実際に初代と2代目を乗り比べてみると、クルマとしての完成度や快適性は2代目の方がワンランク上だと分かる。セニック風に言えば「グランカングー」と呼びたくなるくらいの差があるのだ。そういった意味では2代目の方がいいかなと思う。

4ATか5MTかは、2代目なら4ATの出来もいいので、これはこれでアリだ。現実問題、このクルマには女性にも乗ってもらいたいので、奥さまの意見は尊重したいところ。ただし動力性能や燃費性能に優れるのはもちろん5MTで、運転も教習車以上にしやすいと思う。

いずれにしてもカングーは、見た目が特にカワイイわけでもカッコいいわけでもないのに、誰からも愛されるという類い希なクルマ。フランス車ゆえ、細かいトラブルはあるかもしれないが(と言っても壊れそうなところはそんなにない)、仕方がないな、直してやろうか、と思わせるキャラクターがそれを補なう。欲しいなあと思ってる方には、背中をグイと押せるクルマだ。

 

Text:丹羽 圭(Kei Niwa), DAYS
Photo:DAYS

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