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Uカー試乗記

Uカー試乗記

掲載日 : 2011年05月20日

2008 フォルクスワーゲン ゴルフ ヴァリアント TSI トレンドライン

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第3世代のゴルフワゴン

ゴルフ ヴァリアント TSI トレンドライン(前期型)
(VGJ)

「ゴルフ ヴァリアント」とは、ゴルフのステーションワゴンのこと。もともと日本では「ゴルフワゴン」の名で販売されていたが、2007年にデビューした第3世代(5代目ゴルフがベース)では、ドイツ本国に合わせて「ゴルフ ヴァリアント」に改名。つまり日本名においては3代目ゴルフワゴン=初代ゴルフヴァリアントとなる。ちなみに車名は今でも地域で異なり、例えば米国では「ジェッタ スポーツワゴン」、UKでは「ゴルフ エステート」となる。

日本では2007年9月に発売。当初は1.4リッター直噴ターボ+スーパーチャージャー(170ps、24.5kgm)の「TSI コンフォートライン」と2.0リッター直噴ターボ(200ps、28.6kgm)の「2.0 TSI スポーツライン」の2グレードでスタート。変速機はいずれも6速DSGで、当初の価格はそれぞれ296万円と335万円だった。

 
2009年11月のマイナーチェンジで、ゴルフ6顔になったヴァリアント
(VGJ)

翌2008年8月には、259万円のエントリーモデル「TSI トレンドライン」が追加された。パワートレインは1.4リッター直噴ターボ(122ps、20.4kgm)と7速DSGで、10・15モード燃費15.2km/L(後に16.4km/L)を達成。同じパワートレインのゴルフ TSI トレンドラインと共に、高性能と経済性を兼ね備えたモデルとして話題となった。なお翌月には中間グレードのTSI コンフォートラインも7速DSGとなっている(エンジンも改良)。

2009年11月にはマイナーチェンジを行い、6代目ゴルフに似たフロントデザインを採用。燃費性能や装備もテコ入れされた。2011年5月現在もこれら3グレードで販売中だ。

 

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スタイリングだけでも選ぶ意味がある

写真は前期型。全長4565mm×全幅1785mm×全高1530mm、ホイールベース2575mm

冒頭でも触れたとおり、ゴルフ ヴァリアントとは「ゴルフのワゴン」なのだが、旧ゴルフワゴンにあった無骨さは皆無。スタイリングは伸びやかで、フロントグリルは4ドアセダンのジェッタと同じメッキ仕上げ。北米で「ジェッタ スポーツワゴン」を名乗っているのも頷けるところだ。荷物を積む云々ではなく、スタイリングだけでもヴァリアントを選ぶ意味はある。

今回試乗した「TSI トレンドライン」はエントリーグレード。例えばホイールはアルミ製ではなく、スチール製+樹脂キャップとなり、サイドウインドウを囲むメッキモールも省略されるなど、質実に徹した仕様となる。

 
ルーフレールは全車標準。「TSI トレンドライン」では窓枠のメッキモールが省略される
上級グレードはアルミホイールだが、「TSI トレンドライン」は鉄ホイール+樹脂キャップ
メッキグリルは前期型の特徴。下位グレードのヘッドライトはハロゲンのマルチリフレクターになる

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居住スペースはゴルフと同じ。荷室にはワゴンらしい工夫

インパネはゴルフの「TSI トレンドライン」とほぼ共通で、ステアリングも同じウレタンになる(後期型はレザー)

インパネは普通のゴルフ5とまったく同じ。つまり8年も前にデザインされたものだが、樹脂パーツのカチッとした質感には、今でも感心させられる。キャビン(居住スペース)の雰囲気や広さも、普通のゴルフと変わらない。

ヴァリアントゆえ荷室が広いのは当然として、床下収納も荷室の奧と手前の2ヶ所に分けて設置。また荷室を拡大する場合、普通のゴルフ5/6だと後席の背もたれを倒すだけだが、ヴァリアントでは座面を跳ね上げてから背もたれを倒すダブルフォールディングとなり、ほぼ水平に畳めるようになっている。

 
マニュアルモードを選ぶと1~6速を表示。シフトアップすると7速が現れる
「TSI トレンドライン」のエアコンはセミオート(風量調節が手動)、オーディオはラジオ&CDプレーヤー
「TSI トレンドライン」にはパドルシフトがないため、マニュアルシフトは「ティプトロニック」で行う
 
簡素だが、座り心地のいいシート。上級グレードではサポート性の高いスポーツシートになる
後席は普通のゴルフとほぼ同じだが、収納時に座面を跳ね上げることができる
後席使用時のトランク容量は505リッター。荷物の飛び込みを防止するネットも標準装備
 
床下にはフルサイズのスペアタイヤと車載工具を搭載
奧にある床下収納は細長いモノ専用
最大容量は1495リッター。フロアボードを上げると収納スペースが現れる
 

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見事なまでに「普通にいい」

走行距離が2万km未満だったこともあり、試乗車の動的コンディションは新車に遜色なし

試乗したのは2008年式の「TSI トレンドライン」。初年度登録から2年半で、走行距離は1万7800km。ワンオーナーで内装はきれいだったが、ドアなどに補修跡がありAIS評価は4点。販売価格は新車時の259万円に対して199万円だった。

「TSI トレンドライン」は、排気量を小さくして燃費を改善するという「ダウンサイジングコンセプト」を体現したモデル。また変速機の「DSG」ことDCT(デュアルクラッチトランスミッション)は、量産FF車で初の7速で、構造的にも従来の湿式クラッチではなく、駆動抵抗の少ない乾式クラッチを採用している。それらの結果、わずか1.4リッターという排気量で20.4kgmもの最大トルクを発揮しながら、このヴァリアントでは10・15モード燃費15.2km/Lという低燃費を実現。当時、取材担当者もゴルフで試乗し、1.4リッターとは思えない力強い走りと燃費の良さに驚いた覚えがある。

 
VW ゴルフやアウディ A3にも搭載されている1.4リッター直噴ターボエンジン

とはいえ、今回あらためて感心したのは、TSIエンジンやDCT云々よりも、全体としての完成度の高さ。ステアリングを切った時の質感、静粛性、乗り心地、ボディのガッシリ感、乗り心地などなど、各要素が一定のレベルに達していて、気になる部分がまったくない。またヴァリアントのTSI トレンドラインは、上級のコンフォートラインと同じ16インチタイヤ(205/55R16)を履くので、コーナリング時のグリップもしっかりしている。見事なまでに「普通にいい」クルマだ。

 

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年式・車名  2008 Volkswagen Golf Variant TSI Trendline
形式  ABA-1KCAX
寸法  全長4565mm×全幅1785mm×全高1530mm
ホイールベース  2575mm
車重    1370kg
駆動方式  前輪駆動(FF)
エンジン  1389cc 直列4気筒DOHC・4バルブ・直噴ターボ
最高出力  122ps(90kW) /5000rpm
最大トルク  20.4kgm (200Nm)/ 1500-4000rpm


トランスミッション  7速DCT
使用燃料/容量  プレミアムガソリン / 55L
10・15モード燃費  15.2km/L
タイヤ      205/55R16
最小回転半径   5.0m
発売時期     2008年8月
当時の新車価格  259万円


試乗車スペック

初年度登録   2008年10月
試乗日     2011年4月
販売価格    199万円(消費税込み)
走行距離    1万7800km
ボディカラー  ディープブラックパールエフェクト
備考      ワンオーナー、ETC、新車保証残あり
AIS評価点    4点

 

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トレンドか、コンフォートか、スポーツか

オートプラネット名古屋に3グレード揃ったヴァリアント。左からトレンドライン、コンフォートライン、スポーツライン

ゴルフ ヴァリアントには、122psの「TSI トレンドライン」、160ps/170psの「TSI コンフォートライン」、200psの「2.0 TSI スポーツライン」という三つの選択肢がある。新車の場合、2011年5月現在はそれぞれ275万円、325万円、383万円で、最大108万円もの差が生じるが、Uカーではコンディションや年式で上下するため、実際の価格差はあってないようなもの。オートプラネット名古屋にもこの日、ヴァリアントの3グレード(すべて2008年式)が揃っていたが、価格は「TSI トレンドライン」(走行1万8000km)が199万円、「TSI コンフォートライン」(走行3万4000km)が209万円、「2.0 TSI スポーツライン」(走行1万4500km)が229万円と、その差はわずか30万円しかなかった。

しかし実際にはこの3グレード、VWがわざわざ用意しただけあって、乗った印象はかなり異なる。例えば122psのTSI トレンドラインでも動力性能は必要十分だが、ここぞという時のパワーなど、プラスαのサービス精神はない。またステアリングがレザーじゃない(前期型)、パドルシフトやアルミホイールがないなど、装備や質感の点でも物足りない部分はある。基本的には「足るを知る」人向けのグレードだ。

 

一方、同じ1.4リッターでも、ツインチャージャーのTSI コンフォートラインなら、ゴルフ5のGT TSIやゴルフ6のTSI ハイラインと同じエンジンなので、高性能感はかなりのもの。さらに2.0 TSI スポーツラインなら、ゴルフGTIやアウディTT 2.0 TFSIと同じエンジンなのでスポーツ度は一気に増すし、パドルシフトやバイキセノンも付く。結局どれがいいかは考え方や好み次第だが、ここでは性能と装備のバランスから見て、中間グレードの「TSI コンフォートライン」をオールマイティな選択として推しておきたい。

 

Text:丹羽 圭(Kei Niwa), DAYS
Photo:DAYS

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