掲載日 : 2011年06月10日
2006 BMW Z4 クーペ 3.0si
Z4のクーペ版。2006年に登場
初代Z4(E85型)のクーペモデル、それがZ4クーペ(E86型)だ。日本では初代Z4のマイナーチェンジに合わせて2006年4月に発売。この時から従来のZ4は、クーペと区別するために名称をZ4ロードスターに変更している。
パワートレインは、マイナーチェンジ後のZ4ロードスターと共通。スタイリングは個性的なファストバックとなり、リアゲートが付いたことで積載性も向上した。生産は従来のZ3やZ4シリーズ同様、米国サウスカロライナ州のスパータンバーグ工場で行われた。
「3.0si」と「Mクーペ」の2モデル構成
日本仕様は、3リッター直6(265ps、32.1kgm)の「クーペ 3.0si」およびE46型M3と同じBMW M社製の3.2リッター直6(343ps、37.2kgm)を積む「M クーペ」の2モデル。前者は6AT、後者は6MTのみで、どちらも左右ハンドルを用意。当初の価格はそれぞれ574万円、807万円だった。両者ともに若干の価格変更を行いながら2009年春まで販売された。
なお、後継の2代目Z4(E89型)は電動アルミ製トップを採用。ルーフを開ければロードスター、閉じればクーペという変身が可能となり、「ロードスターか、クーペか」という悩みを解消している。(2011.6)

“無駄”を削ぎ落としたアスリート体型
直列6気筒エンジンを収めたノーズこそ長大だが、全体の第一印象は「カッコいい!」と「小さい!」だろう。全長は4メートル少々しかなく、全高も1268mmと低め。キャビンの背後には後輪が迫り、リアオーバーハングも極端に短い。古典的なFRスポーツの文法通りで、アスリートの身体のように“無駄”を削ぎ落としている。
後ろ姿はいわゆる「ファストバック」、つまりルーフからボディ後端まで、折れ目なく真っ直ぐ下がる形。このタイプの定石通り、ボディ構造はハッチバックとなり、トランクへのアクセス性を確保している。
薄暗いコックピット感が心地いい
天井までの余裕やガラスの面積は、クローズド時のロードスターと大差ないはずだが、室内は心なしかロードスターよりタイト感が強め。クーペの場合は、気分次第で幌を開け放つ、なんてことが出来ないせいもある。
しかしZ4クーペの狭くて薄暗い“コックピット”感も、これはこれで魅力的。独特の守られ感、居心地の良さ、一体感があり、空冷時代のポルシェ911のように「スポーツカーを着る」感覚が味わえる。
レスポンスの鋭さに驚く
試乗車は2006年式の「クーペ 3.0si」。走行距離は2万1700kmと少なく、内外装コンディションも5年落ちとは思えないほどいい。新車当時は574万円もしたが、試乗車の販売価格はその約半分の293万円だ。
Z4「クーペ」も、この「3.0si」も、取材担当者が乗るのは今回が初めて。その3リッター直列6気筒は、最高出力265ps、最大トルク32.1kgmというもので、乗る前からパワフルなのは想像できたが、乗って「おおっ、さすがBMW!」と感心したのが、抜群のレスポンス。アクセルを踏み込むやいなや、ウワッ!とリニアに吹け上がる感じは、BMWの直6搭載車の中でもかなり上位に位置する。トルコンATでこれだけレスポンスが鋭いクルマも珍しい。高回転域の迫力こそE36型やE46型のM3に負けるが、常用域ではイイ勝負。ボクスター/ケイマンの2.7リッター水平対向6気筒にも張ると思う。
限界まで試すまでもなく、ハンドリングはかなりシャープ。手首を返すくらいの動きで、スパッとノーズの向きが変わる。サーキット等で「DTC」をカットすれば、ドリフトに持ち込むことも造作ないと思う。
乗り心地は硬めで、高速域で少しセンシティブなのは、同じBMWのMINIクーパーSに近い感じ。とはいえ、走行約2万kmのシャシーに疲れは全く感じられず、基本的には新車時からある特性だと思う。18インチ(試乗車)のランフラットタイヤを新調したり、FR特有のシャープな動きに慣れたりすれば、また印象が違ってくるはず。
年式・車名 2006 BMW Z4 Coupe 3.0si
形式 ABA-DU30
寸法 全長4091mm×全幅1781mm×全高1268mm
ホイールベース 2495mm
車重 1425kg
駆動方式 FR
エンジン 2996cc 直列6気筒DOHC・4バルブ
最高出力 265ps(195kW) /6600rpm
最大トルク 32.1kgm (315Nm)/ 2750rpm
トランスミッション 6速AT
使用燃料/容量 プレミアムガソリン / 55L
10・15モード燃費 -km/L ※ロードスター3.0siは10.2km/L
タイヤ 前225/40R18、後255/35R18(標準は225/45R17)
最小回転半径 -m
発売時期 2006年4月(クーペ 3.0si)
当時の新車価格 574万円
試乗車スペック
初年度登録 2006年12月
試乗日 2011年5月
販売価格 293万円(消費税込み)
走行距離 2万1700km
ボディカラー アルピン ホワイト
備考 HDDナビ・TV・CDチェンジャー、ETC付、18インチホイール&タイヤ(純正オプション)
AIS評価点 5点
3.0siの相場は300万円前後、Mクーペは500万円前後
初代Z4クーペは、新車当時で600万円弱の「クーペ 3.0si」と約800万円の「Mクーペ」の2モデルのみ。ネット検索でざっと見たところ、2011年現在の相場は前者が300万円前後、後者が500万円前後というところ。基本的にはどちらもクルマ好きしか乗らない?ので、大切に扱われたものが多いはず。走行距離に関しても、神経質になる必要はないだろう。
販売台数はロードスターに比べて圧倒的に少ないので、「これは」と思う物件を見つけたら早めに決断したい。例えば今回試乗した18インチホイール付などは、けっこうレアではないだろうか(標準は17インチ)。ボディカラーは白、黒、グレー系が多く、ブルー系もチラホラ。他に赤なども選べたようだ。
最大のライバルは(多分)ケイマン
あえてZ4クーペのライバルを輸入車から挙げれば、2代目アウディTTクーペか、ちょっと手を伸ばしてポルシェのケイマンだろう。ただしこれらは駆動方式やエンジン形式がまったく異なるように、乗った時の印象も三者三様。2代目TTの完成度にも圧倒されるが、若干の主観を交えて言えば、このクラスではZ4クーペ、そしてケイマンが、ドイツ製の“よりピュアな”スポーツクーペの最右翼だと思う。
ちょっと決めかねる場合には、現行の2代目Z4にディーラーで試乗してみるのがおすすめだ。新車を買う可能性が全くないと、ディーラーの人にはちょっと申し訳ないのだが・・・・・・。確かに2代目Z4は電動メタルトップとなり、パワートレインも変更されて、見た目も走りも全体に大人びた印象になっている。ただ、走行感覚の根っこは初代のものを引き継いでいるから、十分参考にはなる。そしてもちろん、その時にはクローズドとオープンの両方で走ってみること。初代Z4のクーペおよびロードスターのイメージがそれで何となくつかめるはずだ。
Text:丹羽 圭(Kei Niwa), DAYS
Photo:DAYS










