掲載日 : 2011年06月21日
2010 BMW 325i クーペ
5代目3シリーズの2ドアクーペ。2006年に335iから登場
「E92型」と呼ばれる今回の3シリーズクーペは、5代目3シリーズセダン(E90型)ベースの2ドア・4人乗りクーペ。E90型ベースと言ってもボディパネルは全て専用で、3シリーズの中ではプレミアム度の高いモデルだ。エンジンは2リッター直4から3リッター直6ターボまであり(M3は4リッターV8)、駆動方式はすべてFRとなる。
日本では2006年9月に、3リッター直6・直噴ツインターボ(最高出力306ps、最大トルク40.8kgm)の「335iクーペ」から導入開始。翌2007年には2リッター直4(156ps、20.4kgm)の「320i クーペ」や電動メタルトップ仕様の「335i カブリオレ」(E93型)が加わった。
2010年に大幅マイチェン。3リッター直6の「325i」を追加
2010年5月のマイナーチェンジでは、バンパー、グリル、灯火類のデザインを変更。また燃費向上技術「BMW Efficient Dynamics(エフィシェント・ダイナミクス)」の採用に伴い、320iの2リッター直4はリーンバーン(希薄燃焼)の直噴式になり、335iの3リッター直6・直噴ターボはバルブトロニック化され、同時にツインターボからツインスクロール式のシングルターボに変更された。また中間グレードとして、3リッター直6・直噴(218ps、27.5kgm)の「325i クーペ」が新登場している。
2011年6月現在もE90系3シリーズは販売中。ただし2012年には次期(6代目)3シリーズが登場する予定だ。

アウターパネルはクーペ専用
ボディサイズはセダンと大差ないが、アウターパネルはすべてクーペ専用。低く構えたフロント回り、ワイド感を強調したリアコンビライトなど、ドアの枚数を見なくても3シリーズ「クーペ」だと一目で分かる。
また今回試乗した2010年モデルでは、ヘッドライトにアクセントラインが入り、ウインカーやリアコンビライトはLED化されている。フロントグリルやバンパーも新デザインで、質感も大幅に向上している。
高級感があり、装備も充実
インパネデザインは基本的にセダンと同じだが、雰囲気はスポーティで、高級感あり。またこの年式ではHDDナビやiDriveが標準となり、試乗した325iクーペにはレザーシートも付く。高級車オーナーのセカンドカーやパーソナルカーになり得る作りになっている。
後席は2人掛けの半セパレート式。大人が乗るとヘッドルームはギリギリだが、+αの乗員スペースとしては十分だ。またトランクも使いやすく、見た目以上に実用的。
「325i」だけど3.0リッター(実は直噴)
試乗したのは2010年式の「325iクーペ」。車両自体は初度登録から1年未満で、走行距離はたった1万3200km。オプションの19インチホイールにキズ一つないなど、デモカー(ディーラーの試乗車)みたいな一台で、動的コンディションにもUカーっぽいところはまったくない。販売価格は新車時の598万円(オプション含まず)に対して429万円。
昨今のドイツ車では、車名と排気量が一致しないことが多いが、325iクーペもそのパターン。エンジンは直噴式の3リッター(2996cc)直6で、最高出力は218ps、最大トルクは27.5kgmになる。ちなみにこの日、一緒に試乗した先代Z4の3.0si(2006年式)は、同じ2996ccながら最高出力は265ps、最大トルクは32.1kgmもあった。
実際のパワー感でもスペック通りの差があった。1530kgの車重がZ4より約100kg重かったせいもあるが、325iクーペの走りはとても上品。Z4が全身で「スポーツカーしてる」のに対して、こちらは誰が乗っても紳士的な走りになる。乗り心地も非常に良く、静粛性も高い。
また、最小回転半径が5.3メートルと小さいのも嬉しいところ。ドライバーの視点もセダンと大差なく、見晴らしもいい。こういった運転のしやすさも、3シリーズクーペの伝統的な長所だ。
もちろんシフトレバーをマニュアルモードに移し、アクセルを深く踏み込めば、ストレートシックスは7000回転までキレイに回りきり、メーカー公称値で0-100km/h加速:7.1秒の加速を見せる。最高速度は250km/h(リミッター作動)だ。とはいえ、このエンジンが売りとするのは動力性能より、直6ならではのスムーズさや10・15モード:12.6km/Lの燃費性能だろう。
年式・車名 2010 BMW 325i Coupe
形式 LBA-KE25
寸法 全長4610mm×全幅1780mm×全高1400mm
ホイールベース 2760mm
車重 1530kg
駆動方式 FR
エンジン 2996cc 直列6気筒DOHC・4バルブ
最高出力 218ps(160kW) /6100rpm
最大トルク 27.5kgm (270Nm)/ 2400-4200rpm
トランスミッション 6速AT
使用燃料/容量 プレミアムガソリン / 60L
10・15モード燃費 12.6km/L
タイヤ 前:225/35ZR19、後:255/30ZR19 ※標準は前後共に225/45R17
最小回転半径 5.3m
発売時期 2007年5月(E92型3シリーズクーペ)、2010年5月(325iクーペ)
当時の新車価格 598万円
試乗車スペック
初年度登録 2010年6月
試乗日 2011年5月
販売価格 429万円(消費税込み)
走行距離 1万3200km
ボディカラー スペースグレー
備考 新車保証残り有
AIS評価点 -点
スポーツカーではなく、大人向けの上級クーペ
これまで何度か試乗しているE90系3シリーズだが、E92型(クーペ)に乗って思ったのは、「大人向け」のモデルだな、ということ。同時に試乗したのがパワフルな初代Z4 3.0siで、逆に3シリーズクーペが大人しい325iだったせいもあるが、3シリーズクーペは見た目も乗り味も20歳代にはまだまだ早く、30代でもまだまだ。40代、50代でちょうどいいかも、という印象。明らかにセダン系とは開発コンセプトや仕上げが違う。もちろん320iの6MTならドライビングの楽しさは強まるだろうし、335iならパワーも十分だが、基本的なコンセプトはE92型クーペ全体でほぼ同じ路線ではないか。逆に言えば、スポーツカーならZ4があるし、本気の走りならM3を、ということだと思う。
直4でもBMWらしさは味わえる
また今回は325iという比較的レアなグレードに試乗したが、市場の主力は2リッター直4の320iになる。こちらは価格的にも一番手頃だし、このクラスでは珍しい6MTをチョイスできるのもいい。「BMWならストレートシックスでしょ」という意見もあるが、実際にBMW車にいろいろ乗ってみると、4気筒でも十分にBMWらしさは味わえる、と思えてくる。だから320iもぜんぜんアリだ。
年式に関しては、2008年末から335iが7速DCTになるほか、2010年春からは全モデルに環境エンジンが搭載されている。ただ当然ながら高年式車の相場は高め。マイナーチェンジ後の外装や仕様、絶対的な燃費の良さにこだわらなければ、それ以前のモデルが狙い目だ。
Text:丹羽 圭(Kei Niwa), DAYS
Photo:DAYS










