掲載日 : 2011年07月01日
2006 ボルボ V70 ブラックパール・エディション
「パイレーツ・オブ・カリビアン」とのタイアップ限定車
ボルボの主力ステーションワゴン「V70」は、1997年に850エステートのビッグマイナーチェンジ版として登場。今回は2000~2008年に販売された2代目V70の中から、モデルライフ終盤の2006年5月に発売された特別仕様車「V70 プラックパール・エディション」を取り上げる。
この特別仕様車は映画「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズの2作目「デッドマンズ・チェスト」(2006年公開)とのタイアップで生まれたもの。車名は劇中に登場する海賊船「ブラックパール号」に因んでいる。当時この映画を製作したディズニー社は、映画のPRのため大々的なキャンペーンを展開し、ボルボが冠スポンサーだった国際ヨットレースにも「パイレーツ・オブ・カリビアンII号」を参戦させていた。
「V70 プラックパール・エディション」は、V70の標準グレードをベースに、様々な特別装備や仕様を奢ったもの。ボディカラーは「ブラックサファイヤメタリック」のみで、内装もオフブラックのレザーシートとするなど全体を黒で統一。さらに映画作品とのタイアップらしく、リアシートでDVDやゲームなどが楽しめる「RSE(リアエンターテイメントシステム)」を日本向けのV70とXC70で初採用するなど、独自のコンセプトで仕上げられていた。
この「プラックパール・エディション」はXC70とXC90にも設定され、V70ベースが495万円(限定350台)、XC70ベースが599万円(限定200台)、XC90ベースが646万円(限定250台)で販売された。

すっかり見慣れて、今が旬
デビュー当初は、日本ではなかなか定着しなかった感のある2代目V70だが、それから10年経った今、これが普通にボルボらしく見えるから不思議なものだ。外観には安心感のようなものが漂い、サイズ的にもアッパークラスの輸入車として「ちょうどいい」感がある。
「ブラックパール・エディション」ならではの特徴は、ブラックサファイアメタリックの外装色やブラッククロム仕上げの17インチホイールなど。またバイキセノンヘッドライトやダークグリーンの着色ガラスといった上級装備も奢られている。
【V70 ブラックパール・エディションの特別装備(外装関係)】
- ボディカラー:ブラックサファイアメタリック
- ロードキャリア(ウイングタイプ)
- リアルーフスポイラー
- ダークティンテッド リアウインドウ(ディープグリーン、リア5面)
- フロントフォグランプ
- バイキセノンヘッドライト
- 電動ガラスサンルーフ
- 17インチアルミホイール“Thor”(ブラッククロム)
後席にAVシステムを標準装備
内装における「ブラックパール・エディション」の目玉装備は、何と言っても「RSE(リアシートエンターテイメント)」と呼ばれる後席用のAVシステムだ。前席ヘッドレストの背面に配された2基の7インチワイドスクリーン、リア専用DVDプレーヤー、マルチAVソケット、赤外線ワイアレス・ヘッドフォンから成るもので、一人は映画鑑賞、一人はゲーム機で遊ぶといったことも出来る。
【V70 ブラックパール・エディションの特別装備(内装関係)】
- RSE(リアシートエンターテイメントシステム)
- 本革シート(オフブラック)
- 運転席8ウェイパワーシート
- 本革巻ステアリングホイール
- CD付ハイパフォーマンスオーディオシステム(200W・8スピーカー)
- オーディオリモートコントロール機能(ステアリングホイール内蔵)
- ブラックアルミニウムパネル
- RTIプレパレーション ※Road and Traffic Information(純正ナビシステム)装着用ハーネス類)
いつも通りのまったり系
試乗したのは2006年の特別限定車「ブラックパール・エディション」。初度登録から約5年で、走行距離は2万8200km。AISの評価は平均的な4点で、販売価格は新車時の495万円に対して約半分の245万円だ。
特別仕様車だが、走りに関する部分は標準グレードとほぼ同じ。エンジンは2006年当時のラインナップで一番ローチューンの自然吸気170psバージョン。2005年まで存在した140psバージョンと基本は同じだが、ECUなどのチューン違いで30ps増となっている。
いずれにしても「T-5」(250~260ps)や「R」(300ps)のような高性能グレードを除くと、V70の印象はおしなべて似たような感じ。確かに低圧ターボの2.4T(200ps)/2.5T(209ps)はトルクフルだが、少なくともFFモデルならノンターボでも十分に走る。そもそもこの直5エンジンで味わうべきはパワーではなく、直5独特のスムーズなのにザラッとした感触。懐に抱いた猫が喉を鳴らしているような感覚は、ドライバーを急がせないV70のキャラクターに合っている。
路面の凹凸を飲み込むように動く足まわりも、V70ではおなじみのもの。シャキッとしたハンドリングやガチッとした剛性感はないが、いかにも人に優しい乗り味がある。また最小回転半径はカタログ値で6.0メートルもあるが、実際には前輪の切れ角が大きいせいか意外とすんなり回れてしまう。同クラスのFF車に慣れている人なら、特に気にはならないだろう。
年式・車名 2006 Volvo V70 Black Pearl Edition
形式 CBA-SB5244W
寸法 全長4720mm×全幅1815mm×全高1490mm
ホイールベース 2755mm
車重 1570kg
駆動方式 FF
エンジン 2434cc 直列5気筒DOHC・4バルブ
最高出力 170ps(125kW) /6000rpm
最大トルク 22.9kgm (225Nm)/ 4500rpm
トランスミッション 5速AT
使用燃料/容量 プレミアムガソリン / 70L
10・15モード燃費 9.6km/L
タイヤ 225/45R17
最小回転半径 6.0m
発売時期 2006年5月(ブラックパール・エディション)
当時の新車価格 495万円
試乗車スペック
初年度登録 2006年5月
試乗日 2011年6月
販売価格 245万円(消費税込み)
走行距離 2万8200km
ボディカラー ブラック サファイアメタリック
備考 ワンオーナー、社外DVDナビ、ETC
AIS評価点 4点
ボルボはちょっと古いくらいがいい
日本でボルボのイメージを決定付けたのは、おそらく1974年から1993年まで約20年間販売された240シリーズだろう。際立った高級車でも高性能車でもなかった240だが、今でもコンディションが良ければ立派にUカーとして流通するほど人気はまったく衰えていない。
実はボルボにとって絶版車の人気が落ちないのは、半ば伝統とも言えるもの。古くは120シリーズ(通称アマゾン)、最近では850シリーズ/初代V70もそうだが、もともとモデルライフが長い上に、モデル末期にはむしろ人気が上昇し、販売終了後も末永く愛されるというパターンを繰り返してきた。
要するにここで言いたいのは、この2代目V70も同じパターンになるだろう、ということだ。他メーカー車や現代のクルマにはない独特の温もりや骨太な作りは、ボルボのDNAそのものだと思う。
前期型は今が底値
さて、具体的に購入する場合だが、まずグレードに関しては、高圧ターボのT-5やRも当然いいが、飛ばさないならNAでも不足ない。特に下位グレードをベースに電動レザーシートやバイキセノンヘッドライトなどの上級装備を追加した特別仕様車は広くおすすめできる。
また2006年末~2008年に販売されたファイナルモデル「クラシック」は現時点ではUカー流通量が少なく、相場も高めだが、2代目V70の中で一番人気と言えるもの。質感の高いAFS(光軸可変システム)付のプロジェクター式バイキセノンヘッドライトを装備するのは、この頃の最終モデルだけだ。
一方、前期型V70が今や底値となっている点も見逃せない。例えば、右上の写真にある赤のV70 2.4 レザーパッケージは115万円だし、別の場所にあった2003年式のV70 SE(標準グレードベースの特別仕様車)は85万円! どちらも内外装はきれいで、実車を見れば見るほど、「これでいいじゃん」と思えてくる。そもそも年式が多少古かろうと、走行距離が多少多かろうと、動的コンディションの違いがはっきり出るほど、V70はヤワなクルマではない。何年か乗るうちに、何らかの修理やメンテナンスは必要になるだろうが、クルマとはそもそも、そういうものだ。
ちなみに取材担当者が思わず気になったのは、在庫写真にチラリと写っている2003年式のXC70(ダークブルーパール、走行4万1000km)。新車で税抜495万円もしたクルマが、今や138万円だ。「いつかボルボのワゴン」と思っている方には決断すべき時期がやってきたと思う。
Text:丹羽 圭(Kei Niwa), DAYS
Photo:DAYS










