掲載日 : 2011年08月11日
2009 MINI クーパー コンバーチブル
2009年に登場した第2世代のMINI コンバーチブル
MINI コンバーチブルは、素速く開閉できる電動ソフトトップを備えることで、「Always Open」(いつでもオープン)を可能にした4人乗りオープンモデル。初代コンバーチブル(R52型)は、2004年に登場した。
今回とりあげる第2世代のMINI コンバーチブル(R57型)は、2009年に登場。改良内容はおおむね第2世代のMINI 3ドアハッチ(R56型)に準じたもので、内外装やパワートレインを一新。クーパーに関しては、BMW・PSA共同開発の「バルブトロニック」エンジンを新採用し、変速機を従来の5MT/CVT(無段変速機)から6MT/6ATに換装。クーパー Sに関しては、従来のスーパーチャージャーエンジンに代えて、同じくBMW・PSA共同開発の直噴ターボエンジンを採用している。
ポップアップ式ロールバーを採用。幌の開閉を30km/hまで可能に
コンバーチブル独自の改良点としては、先代では固定式だったロールバーを、横転の危険性を感知すると瞬時に立ち上がるポップアップ式に変更し、後方視界やオープン時のスタイリングを改善。また幌の開閉は初代でも6km/hまでなら走行中でも可能だったが、2代目ではこれを30km/hに引き上げるなど、「オールウエイズ・オープン」性能をさらに高めている。
2010年には車両全体のエネルギー効率を高めるべく、エンジンや変速機の改良、ブレーキ・エネルギー回生システムの採用、空気抵抗や転がり抵抗の低減などを行い、動力性能と燃費性能を改善。2011年現在も、3ドアハッチ、クラブマン、クロスオーバーと共に、MINIファミリーの一角を担っている。

第2世代でスッキリしたスタイルに
全長約3.7メートル、全幅1.7メートル弱のボディサイズは、3ドアハッチと同じ。昔のMINIより大きくなったが、それでもやっぱりMINIはミニ。日本のような道路やガレージの狭い国では、このサイズだけで買いでは。
外観は初代コンバーチブルと似ているが、幌以外の外装パーツは全て別物。特に目立つのが上でも触れたように、横転の危険性を感知すると0.15秒で立ち上がるポップアップ式ロールバーを採用したこと。それに伴って後席ヘッドレストも収納タイプに変更されている。おかげで初代のようにロールバーとヘッドレストが後方視界を遮ることがなくなり、オープン時のスタイルもかなりスッキリした。
随所にコンバーチブルならではの工夫
頭上のトップ開閉スイッチを除けば、インパネの眺めは3ドアハッチと基本的に同じ。相変わらずセンターメーターは見にくいが、ドライバー正面の回転計とオンボードコンピューターは見やすく(デジタル速度計も表示できる)、慣れてしまえば不満はない。MINIの場合、オーナーにある程度の慣れを要求するところがキャラクターの一部であり、面白さの一つ。この2代目コンバーチブルでは、オープン走行時間を自動的にカウントする「オールウェイズオープンタイマー」も新車注文時に装着可能だ。
コンバーチブルで多少の慣れが必要なのは、クローズド時の後方視界が遮られること。これは幌を備えたオープンカーには不可避のもので、MINI コンバーチブルだけの問題ではない。初代に比べればリアウインドウ越しの視界はずいぶん良くなっている。
試乗したのは走行2600kmの極上クーパー
試乗したのは2009年式のクーパー・6AT。初度登録から約1年8ヵ月だが、走行距離が2600kmと極端に少ない上に、小キズどころか使用感もないという、ディーラーのデモカーだったっぽい車両。販売価格は当時の新車価格だった318万円に対して254万円。
2009年のデビュー当時には、ちょうどこれと同じクーパー・6ATに試乗したが、今回の印象もその時とまったく同じ。そもそもこのBMW MINI、これまで新旧含めてかなりの台数と仕様に乗ってきたが、やれてると思ったクルマは一台もない。それはこのコンバーチブルでも同じだ。
過不足ないパワー感
パワー感は、大ざっぱに言えば、R56型3ドアハッチのクーパーと似たようなもの。車重は3ドアより80kgほど重いようだが(1250kgくらいか)、要するに大人一人分、重いだけ。パワーウエイトレシオは約10kg/psで、とびきり速くもないが、遅くもない。アイシンAW製の6ATはいかにも日本製らしくソツなく変速し、アクセルの踏み込みに応じて素直に走ってくれる。オープンドライブを楽しむには十分な性能だと思う。
乗り心地の良さも3ドアハッチに通じる部分。このR57型なら、クーパー Sでもクーパーでも、まったく不満ないと思う。ハンドリングは3ドアより少しマイルドだが、むしろこれくらいの方が一般向けでは。MINIらしさは十分味わえる。
オープン走行も快適。幌の開閉も自由自在
幌を開けて走ってみると、風の巻き込みが2人乗りオープンスポーツ並みに少ないのがいい。サイドウインドウを上げれば、80km/hでもまずまず快適にオープン走行できる(真冬は寒いと思うが)。
もう一つ嬉しいのが、わずか15秒で、走行中でも30km/hまで幌の開閉が可能なこと。先代コンバーチブル(R52型)でも徐行くらいなら操作可能だったが、このR57型なら仮に途中で青信号になっても、走りながら最後まで操作しきることが出来る。今回の試乗でも、完璧に作動をこなしてくれた。いつでも幌を開けていたい「オールウェイズ・オープン」派には、欠かせない装備だ。
年式・車名 2009 MINI Cooper Convertible
形式 ABA-MR16
寸法 全長3700mm×全幅1685mm×全高1415mm
ホイールベース 2465mm
車重 1220kg (6MT仕様)
駆動方式 FF
エンジン 1598cc 直列4気筒DOHC・4バルブ
最高出力 120ps(88kW) /6000rpm
最大トルク 16.3kgm (160Nm)/ 4250rpm
トランスミッション 6速AT
使用燃料/容量 プレミアムガソリン / 40L
10・15モード燃費 14.6km/L
タイヤ 175/65R15
最小回転半径 5.1m
発売時期 2009年4月
当時の新車価格 318万円
試乗車スペック
初年度登録 2009年12月
試乗日 2011年7月
販売価格 254万円(消費税込み)
走行距離 2600km
ボディカラー ペッパーホワイト
備考 ETC、シートヒーター付
AIS評価点 5点
一般的にはクーパーかSの6AT
知らない人から見ると、単に勢いでMINIをオープンカーにしてしまったかに見えるMINI コンバーチブルだが、その実体は、MINI独自のキャラクターやコンセプトはそのままに、高級オープンモデル並みの機能を与えて、BMW基準で作り込んだ力作という印象。唯一無二の存在なので、他車と迷って買うというクルマでもないと思う。
では、そのR57型MINI コンバーチブルのベストバイはどれか? 定番はやはり今回試乗したクーパー・6ATだろう。パワーはそんなに要らないという方には全く不満のないクルマだと思う。ただ、決して尖ったモデルではないので、高級車やスポーツモデルを乗り継いで来た人にはちょっと物足りないかも。
そんな人にはクーパー S・6ATの方がいい。燃費はあまり良くないかもしれないが(2010年以降のモデルならベター)、MINIらしい俊敏な走りとイージードライブが可能。ルックスも精悍になる。
ベストバイはクーパー・6MT。クルマ好きにはSの6MT
逆に「MT車だって平気」という方にぜひ選んで欲しいのがクーパー・6MT。これぞMINIの本流。MINIのど真ん中。運転楽しく、燃費もいいはず。個人的にもベストバイだ。
またパワフルな走りは欠かせないと考えるクルマ好きには、175ps(2010年からは184ps)のクーパーS・6MT、あるいは(試乗したことはないけど)211psのジョン・クーパー・ワークス(6MTのみ)がいい、という話は当たり前過ぎるので、ここでは裏技?として初代R52型クーパー S コンバーチブル・6MTも挙げておきたい。そのスーパーチャージャーエンジンはR57型の直噴ターボに比べてレスポンスも吹け上がりも重々しいが、豪快な加速感といい、チョッピーな乗り味といい、操縦に腕力を要するところといい、かなりマニアック。今から7年前、初代クーパーS コンバーチブルで屋根を開けたまま高速道路を激走した時の高揚感は、300ps級のオープンカーに匹敵した。
というわけで、一口に「MINI コンバーチブル」と言っても、方向性はさまざま。どれがベストとは一概に言えないが、人それぞれにベストやベターはあると思う。ともあれ、それを手に入れた日から新しい生活が始まることは保証できる。オープンカーは乗り手の気持ちを変えるし、ファッションを変えるし、人生観や生き方まで変える。「一度乗ってみたい」という気持ちがあれば、今すぐ乗るべきだ。
Text:丹羽 圭(Kei Niwa), DAYS
Photo:DAYS










