掲載日 : 2011年08月01日
2009 フォルクスワーゲン ゴルフ TSI ハイライン
先代ゴルフの熟成進化型。TSI+DSG路線をひた走る
VW「ゴルフ」は、1974年に登場したロング&ベストセラーモデル。その6代目が2009年4月に日本で発売された6代目ゴルフ、通称ゴルフ6(シックス)だ。
内外装のデザインを一新したゴルフ6だが、主要メカニズムは先代をベースに正常進化させたもの。過給器付の直噴エンジン「TSI」やデュアルクラッチ式トランスミッション「DSG」を全車に搭載するほか、シャシー性能や快適性を大幅に引き上げている。
エコの「TSI トレンドライン」から、走りの「R」まで
中でもゴルフ6の大きな特長は、昨今のVW車の例に漏れず、動力性能と燃費性能を高いレベルで両立しているところ。例えば1.2リッターターボのエントリーグレード「TSI トレンドライン」では、1.8リッター並みのトルク(17.8kgm)を発揮しながら、10・15モード燃費17.0km/Lを達成。。ハイブリッド車が人気の日本市場においても、輸入車きっての「エコカー」として気を吐いている。
一方では、伝統の高性能モデル「GTI」やトップエンドモデル「R」を設定して、パフォーマンスも追求。2011年7月現在も販売中であり、まだまだ今後の展開が楽しみなモデルだ。

キープコンセプトながらデザイン一新
スタイリングは相変わらず一目でゴルフと分かるもの。先代よりシンプルで、飾り気なく見えるのは、GTIやR、シロッコやティグアンといった派生モデルが存在感を増す今、主軸の「普通のゴルフ」には少しベーシックに戻ってもらおう、という判断かも。そもそも歴代ゴルフには、1世代おきにデザインを大きく変える傾向があり、それでいうと6代目はキープコンセプトの番になる。
全幅は先代より30mmワイドで、今やクラウン並みの1790mmだが、実際には見ても乗っても大きさを感じない。最小回転半径は先代と同じ5.0メートルで、取り回しの良さも従来通りだ。
居住性はそのままに、装備や質感を向上
内装の質感は、先代よりワンランク向上。オートエアコンが左右独立式になるなど装備も良くなっている。また「TSI ハイライン」以上のグレードや純正HDDナビ装着車では、新開発のステアリングスイッチが採用され、オーディオやオンボードコンピューターを手元で操作できるようになった。さらに安全装備も向上。運転席にはドライバーの下肢を守るニーエアバッグが新採用され、エアバッグは従来の8個から9個に増えている。
その他の部分は、拍子抜けするほど先代のまま。広さ、全体の眺め、シートの作り(相変わらずリクライニングはダイアル式)、バタフライ式キー、それに栓抜きとしても使えるドリンクホルダーの仕切りなど、すでに見覚えのあるものが多い。
なお、試乗車には無かったが、純正の30GB・HDDナビ「RNS 510」(全車メーカーオプション)は、フルセグTV、ETC、リアビューカメラをセットにしたもの。特にリアビューカメラはリアゲートのオープナー兼VWエンブレムが電動でポップアップし、カメラを出すという凝ったものだ。
ゴルフ6のちょうど真ん中をゆく走り
試乗したのは中間グレードの「TSI ハイライン」。発売初年度の2009年式で、試乗時点では1年と10ヵ月落ち。走行距離は2万1400kmで、販売価格は新車時の312万円に対して219万円だ。
その1.4リッター直噴ターボ+スーパーチャージャーエンジンは、先代の「GT TSI」用ユニットの発展型。最高出力160ps、最大トルク24.5kgmを発揮しながら、10・15モード燃費16.2km/Lを誇るという具合に、パワーとエコの二兎を追っている。基本的にはシロッコ TSIが搭載するパワートレインと同じで、DSGは先代の6速から7速に段数がアップしている。
その走りは、GTIほど過激ではないが、トレンドラインやコンフォートラインよりは力強い、というもの。ターボとスーパーチャージャーをダブルで装着するというメカメカしたエンジンだが、少なくともゴルフ6ではそれほど尖った感じはなく、むしろ優等生的。試乗車はエンジンのチェックランプが点灯したり、パドルシフトが使えないなど、コンディションが万全ではなかったが(AIS評価表にも記載あり)、あらめてゴルフ6の良さは確認できた。ただ過去の試乗経験から言えば、200km/h超のトップスピードなど高速域での速さを求めなければ、最高出力122ps、最大トルク20.4kgmのコンフォートラインでもパワーは十分だと思う。
またデビュー当時も感じたように、乗り心地にやや生硬さがあった先代に対して、ゴルフ6はアウディA3かと思うほど上質。また最近のVW車全般に言えることだが、静粛性も高い。先代との比較で言えば、総じて快適性能の進化が著しい。
年式・車名 2009 Volkswagen Golf TSI Highline
形式 ABA-1KCAV
寸法 全長4210mm×全幅1790mm×全高1485mm
ホイールベース 2575mm
車重 1340kg
駆動方式 FF
エンジン 1389cc 直列4気筒DOHC・4バルブ・直噴・ターボ+スーパーチャージャー
最高出力 160ps(118kW) /5800rpm
最大トルク 24.5kgm (240Nm)/ 1500-4500rpm
トランスミッション 7速DCT
使用燃料/容量 プレミアムガソリン / 55L
10・15モード燃費 16.2km/L
タイヤ 225/45R17
最小回転半径 5.0m
発売時期 2009年4月
当時の新車価格 312万円(TSI ハイライン)
試乗車スペック
初年度登録 2009年10月
試乗日 2011年7月
販売価格 219万円(消費税込み)
走行距離 2万1400km
ボディカラー リフレックスシルバーメタリック
備考 新車保証残あり、キセノンヘッドライト
AIS評価点 4.5点
「5」をさらにリファインしたのが「6」
Uカー試乗記では今回が初登場だったゴルフ6だが、完成度の高さは新車デビュー時に確認済み。今回の試乗でも、ゴルフ5より高まった質感、快適性、静粛性などを再確認する形になった。全体としては「完成度の高い最終期のゴルフ5を、さらにリファインしたのがゴルフ6」と言えると思う。デザインも洗練されて、より大人っぽくなった。
ただ、逆に今回の取材では、ことUカーで選ぶ限り、ゴルフ5とゴルフ6に決定的な違いはない、とも思えた。もちろん6の方が設計はより新しいし、目に見えない改良も入っているだろう。高年式である分、Uカーで買う場合はコンディション面でも有利だ。
しかしふとUカー市場を見ると、ゴルフ6と同じような値段でコンディションのいいゴルフ5の上位グレード、例えば200psのGTIがゴロゴロしているという事実もある。となると、少なくとも現時点では、今こそゴルフ5が狙い目ではないか。せっかくゴルフ6に試乗して、こんなことを言うのも何だが、あえてこれを2011年夏のゴルフUカー市場概況としたい。
Text:丹羽 圭(Kei Niwa), DAYS
Photo:DAYS










