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Uカー試乗記

Uカー試乗記

掲載日 : 2011年08月22日

2010 スマート フォーツー クーペ BRABUS エクスクルーシブ

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スマートの純正チューンドモデル

初代スマート BRABUS
(写真:メルセデス・ベンツ日本)

「スマート」は独ダイムラー社の傘下にあるスマート社(smart GmbH)の2人乗りマイクロカー。初代スマートは1998年に欧州でデビューし、日本では2000年から正規販売がスタート。2007年には2代目に進化し、2011年現在も販売中だ。2004年以降は「スマート フォーツー」が正式なモデル名となっている。

今回の「スマート BRABUS(ブラバス)」はそのスマートをベースに、独BRABUS社がチューニングを行った高性能バージョン。開発・生産はスマート社と共同で行われており、言わばメルセデス・ベンツにおけるAMGのような存在だ。

最初のスマート BRABUSは、初代スマートベースで登場。その698ccターボエンジンは最高出力がベース車の61psから75psに、最大トルクは9.7kgmから11.2kgmに高められ、当時の価格はクーペが217万円、カブリオが250万円だった(いずれも消費税抜)。日本では2003年から2006年まで、年一回ずつ計4回にわたって限定販売された。

2代目BRABUSは08年、10年、11年に限定発売

今回試乗したスマート BRABUS (2010年モデル)

2007年にはスマート(フォーツー クーペ/カブリオ)が2代目にモデルチェンジし、それを受けて翌2008年7月には新型ベースの「クーペ BRABUS エクスクルーシブ」が発売された。エンジンは2代目スマートの999cc 3気筒・自然吸気エンジン(71ps、9.4kgm)にターボチャージャーを装着したもので、最高出力はベース車比+27psの98psに、最大トルクは+4.9kgmの14.3kgmに向上。ディープブラック80台、シルバーメタリック60台の限定140台で、価格は260万円とされた。なお初代スマートはBRABUSも含めて全車6速セミATだが、2代目はすべて5速セミATになる。

2010年5月には再び「クーペ BRABUS エクスクルーシブ」を限定150台(ディープブラック100台、シルバーメタリック50台)で発売。仕様は2008年モデルとほぼ同じで、価格は272万円とされた。今回試乗したのはこのモデルだ。

2011年7月に再び限定発売されたBRABUS。今回はカブリオも登場。ホイールの意匠が従来と若干異なる
(写真:メルセデス・ベンツ日本)

そして2011年7月には再び「クーペ BRABUS エクスクルーシブ」を限定200台で発売。同時に2代目スマートでは初の「カブリオ BRABUS エクスクルーシブ」も限定50台で発売された。この2011年モデルは最高出力が102psに、最大トルクは15.0kgmに向上。10・15モード燃費も従来の17.1km/Lから18.3km/L(カブリオは18.2km/L)に向上している。ボディカラーは前回と同じディープブラックとシルバーメタリックの2種類で、価格はクーペが前回と同じ272万円、カブリオが290万円となっている。(2011.08)

 


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超偏平タイヤ、エアロパーツ、センターマフラーで武装

ボディサイズは全長2750mm(ベース車比+30)×全幅1580mm(+20)×全高1530mm(-10)

スモールというよりマイクロなボディサイズは、普通のスマートとほぼ同じ。ボディ幅は軽自動車枠(1.48メートル未満)より若干ワイドだが、全長はそれより60センチ以上も短く、角度によっては巨大な三角おにぎりみたいに見える。

そんなスマートも、BRABUSではちょっと「やんちゃ」な雰囲気に変身。タイヤは普通のスマートだと前輪が155/60R15だが、BRABUSでは175/50R16になり、後輪に至っては175/55R15から225/35R17へと一気に超偏平・ワイド化される。このあたりはいかにもBRABUSらしく過激だ。スポーツサスペンションによって車高も10mmほど落ちている。

さらにフロントスポイラーやサイド&リアスカートなどの「BRABUS スタイリング パッケージ」のほか、「BRABUS スポーツ エグゾースト システム」、「BRABUS デュアルクローム エグゾーストエンド」等を標準装備。また通常はシルバー塗装のトリディオンセーフティセルがBRABUSではボディ同色となるため、試乗車のようなディープブラックではボディ全体がブラックになる。

 
前後異径のBRABUS 6ツインスポークアルミホイールと超偏平タイヤが迫力
専用リアスカートの間からBRABUSの刻印入りマフラーが突き出す
ヘッドライトにダークレンズを採用。ロービームはプロジェクターだが、バルブはハロゲンになる

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レザー、アルミ、パドルシフト等でグレードアップ

レザーが多用されて、ベース車より2ランクほど質感が増している

樹脂パーツ類はおおむねベース車と同じだが、BRABUSではレザー表皮とアルミ製パーツが多用される。シートも骨格こそベース車と同じっぽいが、表皮はフルレザー。またシフトノブやパーキングブレーキレバーも、アルミやレザーを使ったものになる。さらにパドルシフト、コックピットクロック、レブカウンターも標準装備。細かいところではベロア調の専用フロアマットも上質感を高めている。

 
「A」はオート。マニュアルモードでは選択中のギアを表示する。「5.0ltr」は燃料残量
レブカウンターとクロックは標準装備。できれば時計よりブースト計が欲しかった
時計&カレンダー付のアルパイン製オーディオは、普通のスマート用と基本構造は同じ
 
アクセルペダルとオルガン式ブレーキペダルにはステンレスプレートが付く
シフトレバーの操作方法はベース車と同じ。ノブ左側面のボタンを押すとオートモードになる
レザーシートを標準装備。ルーフはベース車同様、ポリカーボネイト製
 
下ヒンジのトランクリッドには収納スペースがある。オーナーでも存在を忘れがち
荷室容量は220リッターで、天井まで使えば340リッター。さらに助手席の背もたれを畳める
フロントフードはレバー操作で脱着可能。ウォッシャーの補充や冷却水のチェックを行う


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乗り心地の良さに驚く

BRABUSの最高速はベース車+10km/hの155km/h(リミッター作動)

試乗したのは2010年モデルの「クーペ BRABUS エクスクルーシブ」。限定150台のうちの一台だが、ディープブラックは限定100台だったから、100台中の一台とも言える。初度登録からまだ1年で、走行距離はわずか5100km。ほとんど新車みたいなコンディションだ。販売価格は新車時の272万円に対して254万7000円。折しも最新の2011年モデルが前年と同じ272万円(カブリオは290万円)で発売されたばかりなので、ちょっと悩ましいかも。

BRABUSに乗るのは今回が初だったが、2代目スマート自体は会社のクルマとしてよく乗っており、その長所も短所も日頃から実感している。この日も2代目フォーツー クーペ(アイドリングストップが付く前の2008年モデル)で取材先のオートプラネット名古屋に来ていた。

 
乗り心地はベース車とは別物。このビルシュタイン製ダンパーも要因の一つか

そんなこともあって興味津々で試乗をスタート。まず驚いたのが乗り心地が滑らかでフラットなこと。この超偏平・ワイドタイヤを見れば、誰だってゴツゴツした乗り心地を想像するはずだが、実際にはBRABUSの方がはるかに乗り心地が良く、普通のスマートのように体を前後左右に揺すられることもない。段差では多少リアから突き上げがあるが、ショートホイールベースのリアエンジン車としてはまったく問題ないレベル。もうこれだけでBRABUSの出来に感心してしまった。

パワートレインの完成度も大幅に高まった

床のアルミ製ネジを緩めるとパネルが外れ、リア横置の直3ターボエンジンにアクセス出来る

おおよそ「リッター100馬力」の直3ターボエンジンは、予想に反してまったく穏やか。最高出力はノーマルのスマート比で約38%増の98ps、最大トルクは約34%増の14.3kgmとなり、スペック的にはちょうど1.5リッターの自然吸気エンジンに相当するが、走らせた印象もまさにそんな感じ。知らなければターボだと思わないくらいレスポンスは自然で、パワーの過剰感もなければ、不足感もない。3気筒エンジン独特の振動やノイズもほとんど気にならない。

また5速セミATの変速マナーもほぼ問題なし。BRABUSではクラッチ容量を拡大して1-4速のシフトスピードを20%上げたとのことだが、それよりもエンジンのパワーバンドが広がったことで、高めのギアで加速できるのがいい。

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年式・車名  2010 smart fortwo coupe BRABUS Xclusive
形式  ABA-451333
寸法  全長2750mm×全幅1580mm×全高1530mm
ホイールベース  1865mm
車重    840kg
駆動方式  RR(リアエンジン・リア駆動)
エンジン  999cc 直列3気筒DOHC・4バルブ・ターボ
最高出力  98ps(72kW) /5500rpm
最大トルク  14.3kgm (140Nm)/ 3500rpm


トランスミッション  5速セミAT
使用燃料/容量  プレミアムガソリン / 33L
10・15モード燃費  17.1km/L
タイヤ      前:175/50R16、後:225/35R17
最小回転半径   4.2m
発売時期     2010年5月
当時の新車価格  272万円


試乗車スペック

初年度登録   2010年7月
試乗日     2011年7月
販売価格    254万7000円(消費税込み)
走行距離    5100km
ボディカラー  ディープブラック
備考      ワンオーナー、ETC
AIS評価点    5点

 

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BRABUSは確かにおすすめ

初代スマート Kと共に。オートプラネット名古屋にて

スマート BRABUSはスマートの高性能モデルというより、スマートの理想型。悔しいほどよく出来ている、というのが率直な感想だ。普通のスマートの場合、乗り手の方がクルマの特性に合わせたり、短所を大目に見たりするところが必要だが、BRABUSにその必要はほとんどない。それくらいクルマとしてよく出来ている。

BRABUSとはいえ、このちっぽけなクルマに、新車で270万円払えるのはさすがに限られた人だろうが、2008年モデルのUカーなら、新車のスマートに近いところで何とか買えそうだし、やがては2010年モデルや2011年モデルもターゲットの中に入ってくるはず。この完成度なら、少し高めでも選ぶ価値はあると思う。

スマートを選ぶこと自体がカッコいい

スマート BRABUS(2010年モデル)の10・15モード燃費は17.1km/L。ちなみにアイドリングストップ機能が付く前のスマートは18.6km/L

ただ、今回あらためて考えさせられたのは、この世知辛い自動車業界の中で、スマートというクルマ自体が飛び抜けてユニークな存在ということだ。初代と2代目、クーペとカブリオなど、バリエーションはいろいろあるが、こんなにシンプルで、威張ったところがなく、貴賤を超越したモデルが、メルセデス・ベンツと一緒に今も販売されているのは、ほとんど冗談のような、奇跡のような話だと思う。

今回はBRABUSに偏った話になってしまったが、普通のスマートでも走りの面白さやキビキビ感はそれに少しも劣らないと思う。もちろんコンセプト的には割り切ったクルマゆえ、誰にでもおすすめ、というわけではないが、信頼性も高いし(会社のスマートは購入後3年経つが、目立ったトラブルは一度もない)、スマートが欲しいなあ、と思っている方には、ぜひ思いを実現して欲しいと思う。このコンセプトに共感するということは、既成概念や常識にとらわれないということ。スマートを選ぶこと自体が、カッコイイことだと思う。

 

Text:丹羽 圭(Kei Niwa), DAYS
Photo:DAYS

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