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Uカー試乗記

Uカー試乗記

掲載日 : 2011年09月21日

2009 フィアット 500 1.2 8V ポップ

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新型500のエントリーグレード

今回試乗した「1.2 8V ポップ」

新型「フィアット 500」は2007年にイタリア本国でデビュー、日本では2008年に発売されたイタリアンコンパクトカー。今回試乗した「1.2 8V ポップ」はそのエントリーグレードで、新車価格は500で最も安い195万円。上級グレードとの違いは、ガラスルーフ、アルミホイール、オートエアコン等々の装備が省略されていることだ。エンジンは「1.2 8V」とあるように、1気筒あたり2バルブの1.2リッター直4・SOHC(69ps、10.4kgm)。変速機はデュアロジックと呼ばれる5速セミATになる。

2010年8月にはアイドリングストップ機能を標準装備

こちらは同じ1.2 8Vエンジンの上級グレード「1.2 8V ラウンジ」。ガラスルーフやアルミホイールを標準装備する

2010年8月にはグレード名を「1.2 ポップ」に改めると共に、アイドリングストップ機能「スタート&ストップシステム」を標準装備。これによって10・15モード燃費は従来の15.6km/Lから19.2km/Lに向上し、翌2011年に登場した875cc 2気筒ターボモデル「500 ツインエア」(21.2~21.8km/L)に次ぐ低燃費モデルとなっている。2011年9月現在も195万円で販売中。

 

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ガラスルーフ、アルミホイール、メッキモール等を省略

「ポップ」および「スポーツ」のルーフは一般的なスチール製になる

「1.2 8V ポップ」の外観上の特徴は、主に以下の3つ。

  • (ラウンジのような)ガラスルーフではなく、スチール製ルーフになる
  • (ラウンジ/スポーツのような)15インチアルミホイール+185/55R15タイヤではなく、 14インチスチール製ホイール+樹脂キャップ+175/65R14タイヤになる
  • (ラウンジにある)「クローム仕上げキット」(前後バンパーのメッキアクセントライン、サイドウインドウ下縁のメッキモール、マフラーカッター)の省略

ただ逆に言えば、上級グレードとの違いはそれくらい。ガラスルーフを除けば、オプションで後付けできるパーツがほとんどだ。

 
バンパーのメッキアクセントラインやマフラーカッターはなくシンプル
樹脂キャップが「1.2 ポップ」の識別点の一つ。タイヤも他グレードより細めの175/65R14
標準はハロゲンだが、試乗車は純正キセノンバルブ(PIAA製)が付いていた

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シート地は赤白の2トーン、エアコンはマニュアル

白のレザーステアリング(オーディオスイッチ付)はラウンジと同じ。7エアバッグは全グレード共通

インテリアで上級グレードと違うのは、まずシート地。「1.2 8V ポップ」に標準設定のファブリックは、上半分がアイボリー、下半分が赤で、生地の風合いもラウンジのものと異なる。さらに細かい部分では、「助手席メモリー付ウォークイン機構」(助手席の背もたれを前に倒した後、また元の位置に戻る機能)が省かれるが、代わりに座面の下に小物入れ(シートアンダーボックス)が備わるといった違いも。ただしシートの基本骨格やクッション形状は同じだ。

またエアコンは1.4 16V ラウンジのようなオートではなく、マニュアルになる。ただ、操作パネルのデザインはイタリア製の白物家電風にオシャレで、操作性も悪くない。また細かいところでは、自動防眩ミラー、照明付バニティミラーも1.2 8V ポップでは省かれる。

さらに上級の1.2 8V ラウンジや1.4 16V ラウンジとの差を感じさせるのが、頭上にガラスルーフがないこと(これは1.2 スポーツ、1.4 16V スポーツ、1.4 16V ポップ、ツインエア ポップ、アバルト 500等にもないが)。このガラスルーフはスモーク仕上げの固定式。手動式のシェードも備わるが、これがネット状で光と熱を若干通すため、炎天下では少々暑いのが欠点だ。それでも室内を明るく広く見せる効果は絶大で、あればあったで嬉しい装備の一つ。

 
速度計部分が白地になる一眼メーターはラウンジと共通
特別仕様車などを除き、下位グレードは基本的にマニュアルエアコンになる
FM/AM電子チューナー付CDプレーヤー(MP3対応)は全グレード共通
 
集中ドアロックはドアノブで操作可能。ドア側に押すと施錠、半引きすると解錠
1.2 ポップやスポーツの助手席にはシートアンダーボックスが備わる
1.2 ポップのシート生地は標準設定では赤とアイボリーの2トーン
 
床下にはスペアタイヤを搭載。試乗車はピレリ製だった
荷室容量は185リッター。ゴルフバッグは背もたれを倒して積む
外から想像するよりずっと居心地のいい後席。十分実用になる


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「オオッ」と思うほど出足は力強い

5速セミAT(デュアロジック)は5MTをベースにクラッチと変速操作を自動化したもの。各ギア比は1.2 スポーツの5MTと共通

今回試乗したのは2009年式の「1.2 8V ポップ」。初年度登録から約2年半落ちで、走行距離は9900km。AISの評価点が6.0点と申し分なく、ディーラーのデモカーだったのでは、と思うコンディション。販売価格は新車価格の195万円に対して169万円。新車まではちょっと、と思う方に最適だろう。

最近話題のツインエアなどフィアット 500には様々な仕様に乗ってきたが、この「1.2 8V」に乗るのはデビュー以来3年ぶり。発進した瞬間、あらためて出足が力強いことに驚く。1速のギアリングが低いせいか、はたまた低回転で力強い出力特性のせいか、とにかく最初の転がり出しが軽い。このあたりは、高回転型の1.4 16Vとはっきり異なる。街中ではなかなかシフトアップしないデュアロジックのせいもあって、活発な走りが楽しめる。

ただし追い越しや最高速勝負は苦手

「1.2 8V」は最近の小排気量エンジンでは少数派の2バルブユニット

一方、幹線道路や高速道路でアクセルを踏み込んでも・・・・・・これが思ったように加速しない。ここで思い出すのが最高出力は69ps/5500回転、最大トルクは10.4kgm/3000rpmに過ぎないということ。ノンターボの軽自動車よりは間違いなく速いが、高速域ではヴィッツの1リッター(初代の4気筒および2代目の3気筒)に負けるかも、という感じ。とはいえ、メーカーが発表する最高速は160km/hで、ことさら先を急がなければ十分だとも言える。また直進安定性の高さもフィアット500の隠れた長所の一つ。ESPも標準装備だし、実のところエンジニアリング的にはすごく真面目なクルマだ。

ただ今回1.2 8Vの「ポップ」に試乗して気付いたのは、同ラウンジと比べてゴロゴロというロードノイズが大きめなこと。遮音材の兼ね合いもあるので断定はできないが、原因はおそらくタイヤではないかと思う。というのも上級グレードのタイヤは基本的に185/55R15で、出荷時の銘柄はブリヂストンのTuranza(トゥランザ)、最近のツインエアにはグッドイヤーのEfficientGripといった、けっこういいタイヤになるのだが、1.2 8V ポップの場合は175/65R14(試乗車はイタリア製のブリヂストン B250だった)になるからだ。もし1.2 ポップにすでにお乗りなら、サイズはそのままで「ちょっといいタイヤ」を試してみるといいかもしれない(あんまり変わらなかったら、すいません)。

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年式・車名  2009 Fiat 500 1.2 8V Pop
形式  ABA-31212
寸法  全長3545mm×全幅1625mm×全高1515mm
ホイールベース  2300mm
車重    980kg
駆動方式  FF
エンジン  1240cc 直列4気筒SOHC・2バルブ
最高出力  69ps(51kW) /5500rpm
最大トルク  10.4kgm (102Nm)/ 3000rpm


トランスミッション  5速セミAT
使用燃料/容量  プレミアムガソリン / 35L
10・15モード燃費  15.6km/L
タイヤ      175/65R14
最小回転半径   4.7m
発売時期     2009年2月(1.2 8V ポップ)
当時の新車価格  195万円(1.2 8V ポップ)


試乗車スペック

初年度登録   2009年2月
試乗日     2011年9月
走行距離    9900km
ボディカラー  ボサノバ ホワイト
備考      純正キセノンバルブ、新車保証残りあり
AIS評価点    6.0点
販売価格    169万円(消費税込み)

 

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1.2 8V、1.4 16V、ツインエアの3つは、性格がまったく異なる

この日オートプラネット名古屋にはフィアット 500が4台あったが、試乗した右端の1.2 ポップを除けば、すべて1.2か1.4のラウンジ

過去に500 1.4 16V試乗記で書いたように「街乗りがメインなら、小回りもよく効く1.2で十分」という印象は、今も変わらない。この打てば響くような出足のよさは魅力的で、まるで子供が駆け出すように街中のゴーストップでは元気がよく、乗り手もそれにつられて前向きになれる。また上級グレードと同じように7エアバッグやESPを標準装備するところもいい。

一方の1.4 16Vは、最高出力100psの高性能ユニットで、街乗りから高速走行までソツなくカバー。また実用燃費も1.2に迫るほど良好だし、4輪ディスクブレーキも標準装備になる。こうしてみると万能性という点では1.4が上かも。ただ惜しむらくはこの1.4、最小回転半径が5.6メートルもあり(アバルト500と同じ)、切り返しやUターンは苦手なこと。なお、この1.4 16Vの新車は日本ではすでに在庫限りとなり、間もなく販売終了となる。

 
こちらは2011年に発売されたツインエア。写真はラウンジだが、ポップと500Cもある

登場したばかりのツインエアは、オートバイのような直列2気筒のビート感、フラットトルクでトコトコッと走るところなど、とにかく運転感覚が個性的。それが気に入れば、ぜひお勧めしたい。また高速域での静粛性の高さは、アバルトを含めて500シリーズでは随一だと思う。売りの一つである燃費性能に関しては運転の仕方で大きく変わるので、実用燃費は1.2 8Vや1.4 16Vと同等と考えた方がいいだろう。あくまで運転感覚の好みで選ぶべきだ。

 

以上、ここまで細々と書いてきたが、2011年9月現在で思うのは、ツインエアが登場したことで、逆に1.2 8Vや1.4 16Vの魅力が鮮明になったということ。最新のツインエアが最良というわけではなく、1.2 8Vや1.4 16Vにも魅力があり、走らせて面白く、燃費性能も申し分ないと自信をもって言える。今でもフィアット正規ディーラーでは、1.2 8Vとツインエアの試乗が可能なところが多いので、新車・Uカーを問わず、ぜひ試乗してから購入することをおすすめしたい。

 

Text:丹羽 圭(Kei Niwa), DAYS
Photo:DAYS

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