掲載日 : 2011年09月09日
2009 フォルクスワーゲン ジェッタ 2.0 TSI スポーツライン
歴代ゴルフベースの4ドアセダン
初代ゴルフをベースとする4ドアセダン、初代ジェッタ(通称ジェッタ1)が登場したのは1979年。その後、ゴルフのモデルチェンジを追いかける形で、ジェッタ2、ジェッタ3(日本名「ヴェント」)、ジェッタ4(日本名「ボーラ」)、そしてジェッタ5へと進化してきた。いずれもゴルフ譲りの各種性能に加えて、3ボックス車ならではのスタイリングや巨大なトランクなどが特徴だ。
今回とりあげるジェッタ5が日本で発売されたのは2006年2月。当初は2リッター自然吸気エンジンとトルコン6ATのエントリーグレード「2.0」、そしてゴルフ GTI譲りの直噴ターボエンジンと6速DCTを備えた上級グレード「2.0T」でスタート。当時の価格はそれぞれ289万円と359万円だった。
モデルライフ後半はすべてTSIエンジン+DCTに
2007年10月には2.0が廃止され、代わりに1.4リッター直噴ツインチャージャー(ターボ+スーパーチャージャー)と6速DCTを搭載した「TSI コンフォートライン」を新設定。また2.0Tもそれと合わせる形で「2.0 TSI スポーツライン」にグレード名が変更された。
2008年には2.0 TSI スポーツラインをベースに、内外装をゴルフ GTI風にした特別仕様車「GT スポーツ」を限定350台で発売。一方、TSI コンフォートラインは従来の6速DCTを乾式クラッチ式の7速に変更して(馬力は10psダウン)、10・15モード燃費を14.0km/Lから15.0km/Lに伸ばしている。
2010年2月にはTSI コンフォートラインにバイキセノンヘッドライト、レザースポーツシート等を追加した特別仕様車「プライムエディション」を発売。価格はベース車の13万円高に抑えた319万円だった。
そして2011年初めに販売を終了。海外では後継モデルとしてジェッタ6が登場しているが、日本導入は2011年9月現時点で未定となっている。

マジメ路線と決別し、スタイリッシュに変身
かつてのジェッタ、ヴェント、ボーラと言えば、ゴルフとは異なる角形ヘッドライトやスクエアなスタイリングなど、全体にマジメそうな印象だったが、このジェッタ5ではそんな過去と決別。ジェッタ史上、初めてフロントマスクをゴルフと共通としつつ、メッキ仕上げのワッペン(=楯)グリルやメッキモールなどを採用して、ぐっと高級感を高めている。
また後ろ姿は上級クラスのパサート風で、なおかつスポーツセダンと呼びたくなるくらいスタイリッシュになった。しかもテールランプやストップランプに加えて、リアウインカーまでLED化するという念の入れよう。このあたりは要するに、メインマーケットの北米に照準を合わせた結果だろう。
居住性はそのままに、装備や質感を向上
栓抜きにもなるドリンクホルダーの仕切りなど、内装の作りは基本的にゴルフと同じ。ただしジェッタには、ウッドパネル、ウッドシフトノブ、クルーズコントロール、オートライト、オートワイパー、自動防眩ルームミラーなどが標準装備され、ゴルフの標準的なグレードよりワンクラス上の装備内容となっている。さらにこのTSI スポーツラインには、パドルシフトや電動スポーツレザーシートも備わる。
俊敏な走りは、まさしくGTI譲り
試乗したのは「TSI スポーツライン」。エンジンはゴルフのGTIやGTXなどと同じ2リッター直噴ターボだが、6MTも選べるGTIと違って、こちらは6速DSGのみ。また試乗車は2009年式で、初度登録からまだ2年弱、走行距離も約1万7000kmで、内外装のコンディションも良かった。販売価格は新車時の374万円に対して219万円だ。
そんな新しいクルマだけに、走らせた感じもまったく問題なし。コンディションもそうだが、このジェッタ自体が実によく出来ている。まずパワートレインがGTI譲りゆえ(もっと言えばアウディ TT 2.0 TFSIとも同じだ)、とにかく文句なしに速い。最高出力200ps、最大トルク28.6kgmのパワーを、DSGで「途切れなく」路面に伝えてゆく感覚には、有無を言わせない説得力がある。
快適性とスムーズさも備える
取り回しも良好で、例えば最小回転半径はゴルフと同じ5.0メートル。普通に国産コンパクトカーが運転できれば、ジェッタにもすぐに慣れると思う。また操縦安定性や乗り心地も、ぜんぜん文句なし。ともするとGTIでは目立ちがちなトルクステアやホイールスピンも少なく、また乗り心地などで細々した小言が出る幕もなく、何だかコメントする言葉まで失うほど。その点では終始やんちゃな印象のGTIとは対照的で、むしろゴルフの上級グレードであるGTXに近い。
さらに言えば、ジェッタ 2.0 TSI スポーツラインのこういった乗り味は、ゴルフ ヴァリアントの2.0 TSI スポーツラインの方に、より近い。グレード名で分かるように両者のパワートレインは共通だが、シャシー関係もどうやら開発や生産拠点などの関係で近いようだ。
年式・車名 2009 Volkswagen Jetta 2.0 TSI Sportline
形式 ABA-1KAXXA
寸法 全長4565mm×全幅1785mm×全高1450mm
ホイールベース 2575mm
車重 1490kg
駆動方式 FF
エンジン 1984cc 直列4気筒DOHC・4バルブ・直噴・ターボ
最高出力 200ps(147kW) /5100-6000rpm
最大トルク 28.6kgm (280Nm)/ 1800-5000rpm
トランスミッション 6速DCT
使用燃料/容量 プレミアムガソリン / 55L
10・15モード燃費 12.6km/L
タイヤ 225/45R17
最小回転半径 5.0m
発売時期 2006年2月(ジェッタ 2.0T)
当時の新車価格 374万円(2.0 TSI スポーツライン、2009年モデル)
試乗車スペック
初年度登録 2009年9月
試乗日 2011年8月
販売価格 219万円(消費税込み)
走行距離 1万7000km
ボディカラー シャドーブルーメタリック
備考 ワンオーナー
AIS評価点 4.5点
2.0ターボはやっぱりいい
今回試乗して思ったのは、やはり2リッターの直噴ターボには、排気量なりの余裕があるのだなぁ、ということ。確かに1.4ツインチャージャーのメカメカした加速感も素晴らしいが、この2.0ターボの、パワーが無理なく湧き出てくる感じは理屈抜きで気持ちがいい。ここ数年、ダウンサイジング(過給器の装着による排気量の縮小)を追求した1.2ターボや1.4ターボといった新型TSIエンジンに注目しがちだったが、今回あらためてTSIエンジンの原点でもある2.0ターボの完成度に感心した次第だ。
またそんな名機と共に、ジェッタ TSI スポーツライン自体も、2011年現時点でぜんぜん今の新型車に負けていない。それでいて今回の試乗車は値段も219万円と手頃なのが嬉しいところ。このUカー試乗記では年に何度か「まったく文句なし」と思えるクルマがあるが、今回もまさにそのうちの一台だった。
Text:丹羽 圭(Kei Niwa), DAYS
Photo:DAYS










