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Uカー試乗記

Uカー試乗記

掲載日 : 2011年10月01日

2004 メルセデス・ベンツ E55 AMG

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3代目Eクラス(W211型)前期型のAMGバージョン

「E55 AMG(エーエムジー)」は3代目Eクラス、通称「W211」の前期型(2002~2006年)をベースに、最高出力476ps、最大トルク71.4kgmを発揮するメルセデス・ベンツAMG社製の5438cc・V型8気筒スーパーチャージャーエンジンを搭載した高性能モデル。普通のEクラスと同じようにセダン(2002年12月~2006年8月)とステーションワゴン(2003年11月~2006年8月)があるが、今回試乗したのはセダンの方だ。

 
試乗したのは3代目Eクラス前期型のトップグレード「E55 AMG」

発売当初の価格は1281万円(セダン)と1312万5000円(ワゴン)。これは当時のエントリーグレードであるE240の2倍以上で、非AMGモデルで一番高いE500 アバンギャルドと比べても約300万円も高く、価格面でも別格の存在だった。ハンドル位置は左右あり、変速機は5AT、駆動方式はFR(後輪駆動)のみとなる。

後期型は「E63 AMG」

2006年8月にはW211全体でマイナーチェンジ。若干のフェイスリフト、パワートレインの換装、装備向上、そして電子制御ブレーキ「SBC(センソトロニック ブレーキ コントロール)」の廃止などが行われ、この時にE55 AMGもドロップ。代わりに自然吸気の6208cc・V型8気筒DOHCエンジン(514ps、64.2kgm)と7速ATを搭載した「E63 AMG」「E63 AMG ステーションワゴン」が登場し、4代目Eクラス(W212型)が登場する2009年頃まで販売された。

 

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専用バンパー、エアロパーツ、ホイール、ブレーキキャリパー・・・・・・

E55 AMGの場合、電動スライディングルーフは標準装備

すでに見慣れたW211型Eクラスだが、前後のAMG専用バンパー、エアロパーツ、18インチのAMGツインスポークアルミホイール、大型ブレーキキャリパー(フロントは対向8ポッド!)、4本出しマフラーなどがAMGの証。トランクリッドにはもちろん「E55 AMG」のエンブレムが備わるが、そもそもクルマ全体にAMG特有の迫力が漂っているので、クルマに詳しくない人でも特別なモデルだと気付くはずだ。

ボディサイズは全長4850mm×全幅1820mm×全高1430mm。全長は非AMGモデルより30mmほど長いが、全幅は同じ。最低地上高は若干低いが、低速ではスイッチ操作で車高を上げることが可能なので、段差を越える時も安心。また最小回転半径は下位グレードと同じ5.3メートルで、ステアリングをフルロックまで切ればノーズが真横に動くかのように小回りが効く。

 
オーバル形状の4本出しマフラー、専用バンパー、ワイドタイヤが迫力
大型のAMGブレーキキャリパーがホイールに擦らんばかりに装着される
前から見ると専用バンパーが精悍。バイキセノンヘッドライトは標準装備

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AMGらしく機能美を追求

全体に黒基調だが、質感が高く、AMG独特の華がある

インテリア全体をブラック基調とし、機能美を追求するのがAMG流。基本デザインは通常モデルと同じだが、アバンギャルド仕様でおなじみのブラックバードアイメープルウッドパネルのほか、AMG専用のホワイトメーターパネル、ナッパレザーやヌバックを使った専用シートなどが奢られている。

またE55 AMGにはステアリングスポークの裏側に「AMGステアリングシフト」が備わる。右裏のボタンを引けばシフトアップ、左裏を引けばシフトダウンで、シフトレバーを左右に動かすティップシフトより素速く操作できる。

 
320km/hスケールの速度計などAMG専用のホワイトメーターがオーナー心をくすぐる
「AMGステアリングシフト」はドライバーの死角にあるため目立たないが、操作性は良好
空調は運転席、助手席、後席左右(操作パネルは後席にある)の4ゾーンで温度設定できる
 
シフトレバー周辺のスイッチで、変速モード切替、エアサスの制御切替、車高調整などが可能
ナビはDVDタイプで、HDD化されるのは2008年後半から。harman/kardonの12スピーカーは標準
ホールド感のあるシートは、ヘッドレストからランバーサポートまでスイッチ一つで調整可
 
通常モデルはスペアタイヤだが、E55 AMGはパンク修理キットを搭載
荷室は516リッターの大容量だが(おそらく床下収納を含む)、トランクスルーはない
後席はゆったりと座れるし、乗降性もまずまず。ヘッドレストの格納は運転席で操作可


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怒濤のパワーに加えて、精密感もあり

0-100km/h加速は公称値で4.7秒。最高速は250km/hで規制されるはず

試乗車は2004年式で、すでに初年度登録から7年が経過。とはいえ内外装のコンディションはとても良く、走行距離もまだ2万5400km。保証なし・整備渡しとなるようだが、販売価格は新車時の1281万円に対して378万円と格安だ。

5.4リッターV8スーパーチャージャーが誇る最高出力は476ps/6100rpm、最大トルクは71.4kgm/2650-4000rpmと、まさに途方もないもの。ちなみにこの数値は、当「Uカー試乗記」で試乗したクルマの中で言えば、昨年乗った2003年式のSL600(5.5リッターV12ツインターボで最高出力500ps、最大トルク81.6kgm)に次いで2番目。取材担当者がこれまで試乗したクルマの中でもベスト10に入る。

いずれにしても、パワーはまさに有り余るほど。アクセルを踏み込むやいなや、ガオッ!と吠えるように大トルクが盛り上がり、ズドォーンと加速。その加速感はスーパーチャージャーにありがちなノッペリした感じではなく、7リッターくらいあるチューンドV8的にズバッと盛り上がる。エンジンサウンドも刺激的で、逆にスーパーチャージャー特有のタービンノイズはほとんど聞こえない。

 
エンジン中央のプレートには、組立を担当したマイスターの署名が入る

また低回転でもレスポンスがぼやけていないので、飛ばさなくても高性能感がある。思えばこのAMGは「ワンマン、ワンエンジン」だったか、一基のエンジンを一人の熟練工が責任をもって組み上げることで有名で、試乗車のエンジンにも署名入りのプレートが誇らしげに付いていた。それが単なるストーリーではなく、独特の精密感として実感できるのがいい。

変速機は5速ATだが(後期のE63 AMGは7速ATになる)、「AMGスピードシフト」(コーナー手前のシフトダウンに便利)の変速レスポンスは十分に速く、またパワーバンドが全域と言えるほど広いので、ステップ比もまったく気にならなかった。燃費云々はともかく、フィーリング自体は5速でもぜんぜん問題ない。

シャシーもOK。476psでも怖くない

スペックを聞くと少々ひるむが、実際には誰でもリラックスして運転できる

シャシーの方もまったく問題なし。乗り心地はいいし、操縦安定性も高く、試乗車のボディやサスペンションにもヤレ感なし。AMGなら当たり前、ではなく、多分これはEクラス本来のバランスの良さも大きいような気がする。少なくとも昨年乗ったSL600より安心感があった。またE55 AMGには専用チューンのエアサスペンション「AIRマティックDC(デュアルコントロール)サスペンション」が備わるため、メルセデスらしいヒタヒタ感の中に、状況や好みに応じて多少のソリッド感を加えることも出来る。

ちなみに400ps超の後輪駆動車の場合、トラクションコントロールやESPが付いていても不用意な操作は禁物。特にUカーの場合はタイヤの寿命が終わっていることが多いため要注意だ。ところがこのE55 AMGは恐ろしく速い半面、危うさはなし。少なくとも法定速度の範囲内では「これで476ps?」と思うほど安心感があった。これは試乗車が比較的コンディションのいいミシュランのパイロットスポーツ3を履いていたせいもあったと思う。

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年式・車名  2004 Mercedes-Benz E55 AMG
形式  GH-211076
寸法  全長4850mm×全幅1820mm×全高1430mm
ホイールベース  2855mm
車重    1910kg
駆動方式  FR
エンジン  5438cc V型8気筒SOHC・スーパーチャージャー
最高出力  476ps(350kW) /6100rpm
最大トルク  71.4kgm (700Nm)/ 2650-4000rpm


トランスミッション  5AT
使用燃料/容量  プレミアムガソリン / 80L
10・15モード燃費  6.4km/L
タイヤ      前:245/40R18/後:265/35R18
最小回転半径   5.3m
販売期間     2002年12月~2006年8月(E55 AMG)
当時の新車価格  1220万円(消費税抜き)、1281万円(消費税込み)


試乗車スペック

初年度登録   2004年1月
試乗日     2011年9月
走行距離    2万5400km
ボディカラー  ブリリアントシルバー
備考      保証なし・整備渡し、ETC付
AIS評価点    4.5点
販売価格    378万円(消費税込み)

 

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価値観次第で現代の「500E」になり得る

オートプラネット名古屋に並ぶ今回のE55 AMG

目下、このW211型Eクラスは路上で最もよく見かけるメルセデス・ベンツの一台だろう。スタイリングはいいし、内外装の質感も先代W210型に比べて大幅に高まっていて、全体にとてもいいクルマだと思う。さらに今回のE55 AMGでは476psという大パワーにも関わらず、運転しやすく、快適で、安心感があり、メルセデス好きがAMGにこだわる理由も分かったような気がした。

 
錚々たる眺めの5.4リッターV8スーパーチャージャーエンジン。アルミ地肌が美しい

一方で気になるのは、全てのW211前期型モデルで採用された電子制御ブレーキ(SBC)にリコールが出たことだろうか。市場に出ている車両はすでに対策済みのはずだが、ことの経緯は購入前に知っておいた方がいいだろう。ただしこの手の話は往々にして大げさに語られがちなので、気になる場合は最新の情報を信用できるプロに直接聞くのが良い。なお今回試乗したE55 AMGはまったく機能面で問題はなく、エラー表示も一切なかった。

そのE55 AMGが7年落ちとはいえ378万円で、保証こそないが車両コンディションは申し分ない。となると、ここから先は若干マニア向けの話としたいが、そのバリューは圧倒的ではないか。なにしろ馬力は476馬力だから、1馬力あたりの値段はたった約8000円。いや、それより手組みのV8エンジンが放つ精密感にこそ、E55 AMGの本当の価値がある。

 
ちなみに映画「メン イン ブラック 2」で空を飛んでいたのはこのW211型Eクラス

Eクラスと言えば、今から20年前のモデル、初代Eクラス(W124型)の高性能バージョン「500E」(後期型はE500と呼ばれる)が相変わらず人気だが、2011年の今現在、それをはるかに上回る性能を現代的なメカニズムで楽しめるのがこのE55 AMGだろう。500Eの代わりになるかどうかは価値観次第だが、それに似た「イイモノ感」は確かにあると思った。

 

Text:丹羽 圭(Kei Niwa), DAYS
Photo:DAYS

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