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Uカー試乗記

Uカー試乗記

掲載日 : 2011年11月11日

2010 シトロエン DS3 デビューセリ

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個性派「DS」ラインの第一弾

シトロエン DS3 スポーツシック。写真のボディカラーはブランバンキーズ/ブルーボッティチェリ (写真:プジョー・シトロエン・ジャポン)

「C+数字」の車名を持つ通常ラインナップに対して、より個性的なキャラクターの「DS」ライン。その第一弾が2009年のパリモーターショーで発表された「DS3」だ。

現行(2代目)C3の別バージョンとも言えるDS3は、C3の5ドアに対して3ドアを採用。またC3の大きな特徴である巨大なフロントガラス「ゼニスフロントウインドウ」を持たず、代わりにボディカラー、ルーフカラー、内装カラーの組み合わせを注文時に選べる「ビークルパーソナリゼーション」を採用している。クラス的にはプジョー 207、VW ポロ、アウディ A1と同じBセグメント(サブコンパクト)に属するが、その中でも群を抜いてデザインやカラーにこだわっているモデルだ。

2010年春に発売。特別仕様車も「多彩」に登場

シトロエン DS3 レーシング。ボディカラーはノアール・オプシディアン+オレンジ(写真)とブラン・バンキーズ+グレーの2種類 (写真:プジョー・シトロエン・ジャポン)

日本では手始めに2010年3月から期間限定で特別仕様車「DS3 デビューセリ(Debut Serie)」の予約受付を開始。これは自然吸気1.6リッターエンジン(120ps、16.3kgm)+4ATの「シック(Chic)」をベースに、特別なカラーコーディネイトや装備を施したもので、価格は255万円だった。今回試乗したのもこのデビューセリだ。

2010年5月にはカタログモデルとして「シック」および1.6リッター直噴ツインスクロール式ターボエンジン(156ps、24.5kgm)+6MTの「スポーツシック(Sport Chic)」を発売。価格はそれぞれ249万円(レザーパッケージは+23万円)と269万円(レザーパッケージは+18万円)だった。またこの後も定期的に、カタログモデルにはないカラーコーディネイトや装備を目玉とする特別仕様車をリリースしている。

2011年9月には高性能モデル「DS3 レーシング」を国内向けに限定35台で販売。これはWRC(世界ラリー選手権)を連覇中のシトロエン・レーシングが初めてチューニングを手がけた市販車で、当初は世界限定1000台の予定だったが、急遽2000台が追加生産されたもの。スポーツシックと同じ1.6ターボをベースとしながら最高出力は207ps、最大トルクは28.0kgmを発揮し、サスペンション、ブレーキシステム、内外装も専用となる。価格は360万円。

 

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ボディカラーは選り取り見取り

試乗したのは限定車の「デビューセリ」。カラーはグリトリウム/ルージュカルメン

DS3でユニークなのは、やはり何十通りものカラーコーディネイトが可能なこと。デビューセリでは推奨例として5通りに限定されたが、カタログモデルでは全7色のボディカラーと全4色のルーフカラーから選べた。試乗車の場合はメインカラーが「グリトリウム」(金属の一種であるトリウムを思わせるグレー)、ルーフはルージュカルメン(日本風に言えば小豆色か)の2トーンという大人っぽい組み合わせ。デビューセリでは特別にドアミラーやホイールにも小豆色があしらわれている。

全長と全幅はC3と大差ない3965mm×1715mmで、ヘッドライトやボンネットもC3と共通。ただし全高は1455mmでC3より75mmも低く、ドアの枚数も3つになる。ファミリーカーではなく、パーソナルな小型クーペといった雰囲気。

 
デビューセリは全5色。通常モデルはボディ7色×ルーフ4色で、ルーフ用ステッカーも用意された
デビューセリの一部カラーにはルーフ同色のカラードホイールも付く
LEDデイライトはエンジン始動中に点灯し、ポジション&ヘッドライト点灯時は消える

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センスに脱帽。実用性は高く、安全装備も充実

インパネカラーによって印象が大きく変わるが、いずれにしてもオシャレ

インテリアもすごく大人っぽい。インパネカラーには水色、白、黒、カーボン調などがあるが、試乗車はルーフカラーと同系色のルージュ。それがブラックの内装、メタル調パーツ、メッキパーツなどと共にお互いを引き立て合う。このセンスには正直「参りました」という感じ。

オートヘッドライト、オートワイパー、オートエアコン、バックソナー、自動防眩式ルームミラーなど装備も充実。ステアリングにはチルト&テレスコが付き、もちろんシートリフターも備える。また3ドアだが、後席も広くて実用的だ。乗車定員は5名で(MINIなど欧州製サブコンパクトカーの多くが定員4名)、もちろん3点式シートベルトも5人分を用意。うち4人分には過度な拘束を防ぐフォースリミッターが付くし、6エアバックも標準になる。ユーロNCAPは最高評価の5つ星だ。交通事情が違うとはいえ、国内向け日本製コンパクトカーと安全装備における差は大きい。

唯一気になったのが運転席の左足もとが狭いこと。いちおうフットレストはあるが、近すぎて左足を少し折り畳む感じになる。

 
イグニッションオンでメーターの針が一斉に振り切れるスィープ機能が付く
デビューセリとシックは4AT。初心者でもすぐに違和感なく運転できる
試乗車のシート地はファブリックだが、仕様によってはアルカンタラ、オプションでレザーもある
 
床下にはテンパースペアタイヤおよび車載工具を搭載
後席使用時の荷室容量は285リッターで、MINIの約1.8倍。背もたれはワンタッチで倒せる
後席には少なくとも大人2名が快適に座れる。Cピラーにはグラブバーも装備

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街中では乗りやすいの一言

最高速(発表値)はノンターボ・4ATの「シック」で190km/h、ターボ・6MTの「スポーツシック」で214km/h

試乗した「デビューセリ」は初度登録から約15ヵ月、走行距離2800kmと、まるでデモカーみたいなコンディション(本当にデモカーだったのかも)。フロントの樹脂製チンスポイラーには車止めに接触した跡があったが、気になるキズはそれくらい。AISの評価シートにはルーフの塗装にも失点がついていたが、素人目にはよく分からなかった。販売価格は新車時の255万円に対して222万8000円。

DS3には約1年前に試乗していたので、走り出したらすぐにその時のことを思い出した。低回転から力強いエンジン、スリップ感が強めの4AT、それらの相乗効果による滑らかな出足は、以前試乗した車両と全く同じ(当然か)。電動パワステは適度に軽く、静粛性も乗り心地も特に問題なし。要するに動的コンディションは新車時と変わらない。

おなじみBMW・PSA共同開発の1.6リッター直4。「シック」はノンターボになる

BMWと共同開発された1.6リッター直4エンジンは、最高出力120psといったスペックも含めてMINIの「クーパー」と基本的に同じ。アッと驚くパワーはないが、低回転からトルキーで、レスポンスのいいエンジンだ。MINIにはこれに6MTかアイシンAW製6ATが付くが、DS3のシックは4AT、フランス車でおなじみの通称「AL4」になる。クルマに詳しい方からすれば「今どき4速?」だが、これが街乗りレベルだと意外に悪くない。一昔前のAL4と違って変速ショックはないし、変速プログラムも自然になっている。

高速道路ではエンジン回転数が高め

MINIよりもしっとり、国産コンパクトカーよりも重厚。それでいて軽快感もある

街乗りでは、良くも悪くもキビキビした走りのMINIより、DS3の方がリラックスして運転できる。最小回転半径は5.4メートルと特別に小さくはないが、小回り性能はまずまず。ヴィッツなどの国産コンパクトカーから乗り換えても、すぐに馴染めるはず。

絶対的なパワーも十分。MINIのように矢継ぎ早にシフトアップし、一目散に加速してゆく小気味よさはないが、フラットトルク型のエンジンを2速で引っ張り、3速で引っ張りみたいな、いわゆる息の長い加速も悪くない。ただギアリングが全体に低いので、100km/h巡航時には3000回転弱まで回ってしまう。特にノイジーではないが、燃費を考えると「もう一速あればなぁ」というところ。

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年式・車名  2010 Citroen DS3 Debut Serie
形式  ABA-A5C5F01
寸法  全長3965mm×全幅1715mm×全高1455mm
ホイールベース  2455mm
車重    1180kg
駆動方式  FF(前輪駆動)
エンジン  1598cc 直列4気筒DOHC・4バルブ
最高出力  120ps(88kW) /6000rpm
最大トルク  16.3kgm (160Nm)/ 4250rpm


トランスミッション  4AT
使用燃料/容量  プレミアムガソリン / 50L
10・15モード燃費  12.5km/L
タイヤ      195/55R16
最小回転半径   5.4m
販売期間     2010年3月(デビューセリ)、2010年5月~(シック)
発売時の新車価格  255万円(消費税込み、デビューセリ)
 ※主要諸元の一部はDS3 シックのものを記載した


試乗車スペック

初年度登録   2010年8月
試乗日     2011年11月
走行距離    2800km
ボディカラー  グリトリウム/ルージュカルメン
備考      新車保証残り、ワンオーナー、スマートレコーダー装備
AIS評価点    5点
販売価格    222万8000円(消費税込み)

 

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「色だけで衝動買い」もあり

オートプラネット名古屋に並ぶスモールシトロエン。左からDS3、初代C3、C2

クルマの購入を検討する場合、ライバル車との比較やグレードで、あーだこーだと悩むものだが、DS3の場合はもっと単純でいい。カラーやデザインに惚れるかどうか、その一点につきるからだ。なかなか見た目だけでクルマ(特に輸入車、特にシトロエン)は買えないかもしれないが、DS3は誰が乗っても運転しやすいし、メカニズム的に特殊なところもないので、特別な心配は要らない。

一つだけ知っておきたいのは、本文でも触れた通りノンターボ・4AT仕様だと4速トップのギア比が低いことだが、これも滅多に高速道路を利用しない人や走行車線でのんびり走る人なら大して気にならないはず。ただしマニュアル車でもOKなら、ターボエンジン+6MTのスポーツシックをおすすめしたい。

 
DSラインのコンセプトはシトロエンの独創性や革新性の追求。今後の展開にも期待

ちなみにカラーコーディネイトについては、新車であれば、ある程度まで自由にオーダーできるわけだが、実際に「出来上がり」を見ないとイメージできないという人も多いだろう。その点では実車を見ることが出来るUカーから選ぶのもぜんぜんありだし、新車では設定がなくなり、すでにUカーでしか選べない仕様も多い。色だけでビビッと来た、みたいな衝動買いが、DS3にはよく似合うと思う。

 

Text:丹羽 圭(Kei Niwa), DAYS
Photo:DAYS

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