掲載日 : 2011年12月01日
2006 フォルクスワーゲン ゴルフ R32
ゴルフの最強・高性能バージョン
ゴルフ R32(アールサーティトゥー)は、3.2リッターV6エンジンや4WDシステム「4MOTION(フォーモーション)」を搭載したゴルフの最強モデル。初代R32は4代目ゴルフがベースで、日本では2003年に6MTの2ドア・左ハンドルと4ドア・右ハンドルが限定販売された。
今回とりあげるのは2006~2009年に販売された第二世代。ベースは5代目ゴルフで、引き続き3.2リッターV6エンジンや4MOTIONを搭載しつつ、最高出力は241ps→250psにアップし(最大トルクは32.6kgmのまま)、トランスミッションに6MTとデュアルクラッチ式の6速DSGを採用。6MTは2ドア・左ハンドル(受注生産)、6速DSGは4ドア・右ハンドルで、当時の新車価格はGTIより100万円ほど高い419万円と439万円だった。
2007年9月には、専用18インチアルミホイールの意匠を20本スポークタイプから10本スポークタイプに変更し、後席サイドウインドウにダークティンテッドガラスを採用。そして6代目ゴルフが発売された2009年春に販売を終了した。

専用フェイス、18インチホイール、2本出しマフラーで武装
パッと見は「ゴルフ」だが、普通のゴルフじゃないのは一目瞭然。ワッペングリルは4ドアセダンのジェッタに似ているが、よく見るとR32のそれはメッキではなくマット仕上げ。またボディカラーが黒だと目立たないが、フロントバンパーの正面部分は巨大な開口部になっている。ちなみにボディカラーは第一世代のR32と同じで、VW定番のブラックマジックパールエフェクト、ディープブルーパールエフェクト、リフレックスシルバーメタリックの3色だった。
タイヤはGTIの標準サイズより1インチ大径の225/40R18で、スポークのすき間から前後ベンチレーテッドディスクとブルーの大型ブレーキキャリパーがチラリと見える。また20mmダウンのスポーツサスペンションで姿勢も低く、リアからはセンター2本出しマフラーが突き出し、ボディの前後には「R32」のバッジが付く。
GTIのレザー仕様をベースに専用パーツを追加
インテリアは基本的にステアリングやセミバケットタイプのレザーシートを含めて、GTIのレザー仕様(オプション)と共通する部分が多い。ただしR32には、専用ペダルプレートやアルミ製トリム等が追加され、よりスペシャル感が高められている。一方、居住性や荷室容量、使い勝手などは普通のゴルフとほぼ同じだ。
ラテンの血が流れる?V6エンジン
試乗したのは導入初年度の2006年モデルで、4ドアのDSG。試乗時点では5年落ちで、走行距離は7万kmオーバー。販売価格は新車時の439万円に対して199万円だ。
2006年と言えば、まだDSGが出始めの頃。今や新車では珍しくないデュアル・クラッチ・トランスミッションだが、走行7万kmオーバーのものとなると、乗る機会はなかなか無い。というわけで今回はR32の試乗であるのと同時に「走行距離の多い初期DSG」の試乗でもある。
エンジンを掛けて最初に驚くのは「どこのスポーツカーだ?」と周囲の人を振り返らせる豪快なエンジンサウンド。アクセルを踏み込めば、アルファロメオ 147 GTAの3.2リッターV6に迫る快音でズワン!と鋭く咆える。
ブレーキを離せば電子制御クラッチがクリープを発生させて、スムーズに発進。エンジンはフレキシブルで、ギクシャク感は一切ない。そこから左側のパドルシフトを引けば、ウァン!と雄叫びを上げてブリッピングし、すかさずシフトダウン。最高出力250ps、最大トルク32.6kgmの大パワーで一気に加速してゆく。多くのVW車と違って、エンジンの吹け上がり方がとてもドラマチック。
三種の神器が揃っている
「体感的な速さ」で言えば、2リッター直噴ターボのGTIでも十分に速いが、R32でいいのは電子制御4WDによってエンジンの力を余すことなく路面に伝えること。発進加速の場合、FFのGTIでは前輪がすぐにホイールスピンしてしまうが、R32ではターボ4WDのラリーカーみたいに4輪で路面を蹴りながらロケットみたいに加速してゆく。ちなみにR32の3.2リッターV6+6速DCT+電子制御4WDという構成は、アウディTTの3.2 クワトロと同じだ。
そんなわけで、DSGを含めた駆動系に多少のヘタリはあるかも、と思いながら乗った今回のR32だが、実際のところ機械的な問題はまったくなく、楽しくて、速くて、刺激的で、快適なクルマだった。高性能V6エンジン、6速DSG、4WDという三種の神器を盛り込んだスーパーゴルフは、5年経ってもやっぱりスーパーだった。
年式・車名 2006 Volkswagen Golf R32
形式 GH-1KBUBF
寸法 全長4250mm×全幅1760mm×全高1505mm
ホイールベース 2575mm
車重 1590kg
駆動方式 電子制御式4WD
エンジン 3188cc V型6気筒DOHC・4バルブ
最高出力 250ps(184kW) /6300rpm
最大トルク 32.6kgm (320Nm)/ 2500-3000rpm
トランスミッション 6速DCT
使用燃料/容量 プレミアムガソリン / 60L
10・15モード燃費 10.2km/L
タイヤ 225/40R18
最小回転半径 5.0m
販売期間 2006年2月~2009年4月(R32)
発売時の新車価格 439万円(消費税込み、2006年2月発売モデル)
試乗車スペック
初年度登録 2006年8月
試乗日 2011年11月
走行距離 7万3400km
ボディカラー ブラックマジックパールエフェクト
備考 イクリプスHDDナビ、ETC付
AIS評価点 -点
販売価格 199万円(消費税込み)
エンジンを愛でるためのクルマ
5代目ゴルフR32の購入をUカーで考える場合、選択肢は3ドア・左ハンドルの6MT仕様か、4ドア・右ハンドルの6速DSG仕様のいずれかになる。一般的なのは4ドアのDSGだが、クルマ好きには3ドアの6MTも人気だ。考えてみればVWにしろアウディにしろ、デュアルクラッチトランスミッション車は今後いつでも買えるわけだが、6MTは絶滅危惧種。R32自体がすでに相当マニアックなクルマだが、3ドア・左ハンドル・6MTの方が「よりマニアック」というわけだ。
いずれにしても言えるのは、R32はエンジンを愛でるためのクルマということ。VWにおいて、ダウンサイジング(過給器等の装着による小排気量化=低燃費化)が本格的に始まる前夜、VWの上層部が「我々の傑作である狭角V6エンジンの記念碑として、究極のゴルフを後世に残しておこう」などと考えたのかどうかは定かではない。ただし今になって思えば、R32はVWにとって一つの技術的集大成だったと思う。その意味でR32は、究極のゴルフ、至上のゴルフと言っていいだろう。
Text:丹羽 圭(Kei Niwa), DAYS
Photo:DAYS










