掲載日 : 2011年12月20日
2010 フォルクスワーゲン ジェッタ プライムエディション
5代目ジェッタのファイナルモデル
「ゴルフ」ベースの4ドアセダン「ジェッタ」。その5代目(通称ジェッタ5)は2006年2月に国内で発売されているが、今回とりあげるのはその4年後の2010年2月に発売された特別仕様車「プライムエディション」。「TSI コンフォートライン」(のマイナーチェンジ版)譲りの1.4リッター直噴ツインチャージャー(ターボ+スーパーチャージャー)と7速DSG搭載車に、特別仕様としてバイキセノンヘッドライト、フロントフォグランプ、レザースポーツシート等を標準装備したモデルだ。当時の新車価格は、TSI コンフォートラインより13万円高いだけの319万円だった。
プライムエディションの発売と同時期に、TSI コンフォートラインと上級グレードの「2.0 TSI スポーツライン」は販売を終了。つまりプライムエディションは実質的にジェッタ5の最終モデルとなり、言い換えればTSI コンフォートラインの燃費性能と2.0 TSI スポーツラインの上級装備を兼ね備えたモデルにもなっていた。ちなみに「プライム」とは、「最良の」「極上の」といった意味。
そのプライムエディションも2011年初めに販売終了。海外では代わってジェッタ6が発売されているが、日本市場では今のところ、新型パサート(2011年5月発売)が実質的な後継となっている。(2011.12)

ゴルフよりワンランク上の上質感
この時代のジェッタそのものがゴルフより上級という位置付けだったため、エクステリアの質感や高級感は十分に高い。フロントにはメッキグリルが備わるほか、古典的な手法ながら窓枠を縁取るメッキモールがクルマの格を引き上げている。アルミホイールのデザインを除けば、上級グレードの「2.0 TSI スポーツライン」とはほとんど区別は付かない。
ボディサイズは全長4565mm×全幅1785mm×全高1470mm。全長は同世代ゴルフより355mm長いが、最小回転半径はそれと同じ5.0メートルと小さく、まったく同じ感覚で運転できる。
ジェッタ6の内装を先取り? 革シートなど装備も充実
今見ると「すごくお買い得なモデルだったなぁ」と思わせる内装。このプライムエディションの場合、メーターパネルや空調パネルは世代的には次のゴルフ6と共通で、ステアリングもやはりゴルフ6に似たデザイン。つまりこのジェッタ5のファイナルモデルは、内装デザインの点で「ジェッタ5.5」くらいのモデルになっているわけだ。
また新車価格319万円で、レザーシートが標準だったのもポイントが高い。さすがにシートスライドやリクライナーは手動だが、電動ランバーサポートは標準で、ホールド性や座り心地は良好。相変わらずダイアル式のリクライナーは面倒だが、微調整はしやすい。VWの頑固さが残る部分。
動力性能から快適性までほとんど言うことなし
「プライムエディション」が発売されたのは昨年の2010年2月なので、試乗した車両も初度登録から1年2ヵ月という新しいもの。走行距離は1万9300km、AIS評価点は5点で(ほとんど目立つキズ等はなし)、販売価格は新車価格の319万円に対して234万円。先に言っておくと、動的なコンディションも新車にまったく遜色なかった。
試乗し始めて思ったのは、最高出力160ps、最大トルク24.5kgmを発揮する1.4リッター直噴「ツインチャージャー」エンジンが、200psと28.6kgmを発揮する2リッター直噴ターボほどパワフルではない一方、(5代目ゴルフのTSI トレンドラインに搭載されていた)122psと20.4kgmの1.4リッター直噴ターボより明確に力強いということ。当前と言えば当前の感想だけれど、要するにパッと乗ってすぐに体感できる差がある、ということだ。
一方で、ゴルフのGT TSIや初期のジェッタ TSI コンフォートラインに比べて最高出力が10psダウンしている分、高回転域では若干大人しい気もしないではない。ただし車重は1390kgで、意外にもゴルフ5のGT TSIより20kg軽いし、DSGもこのプライムエディションではゴルフ5のものより一世代新しい高トルク対応の7速になっている。低・中速域での走りはスーパーチャージャーとステップ比の小さい7速DSGでカバー、という感じ。
全体としては過給器パワーでグイグイ走るというより、フラットトルクと7速DSGで滑らかに走るクルマ、という印象。さらに角が全くない乗り心地や運転のしやすさなど、上質感と実用性も兼備。ロジカルな意味で「いいクルマって何?」と問われたら、とりあえず乗ってみることをおすすめしたいモデルだ。
年式・車名 2010 Volkswagen Jetta Prime Edition
形式 ABA-1KCAV
寸法 全長4565mm×全幅1785mm×全高1470mm
ホイールベース 2575mm
車重 1390kg
駆動方式 FF
エンジン 1389cc 直列4気筒DOHC・4バルブ・直噴・ターボ+スーパーチャージャー
最高出力 160ps(118kW) /5800rpm
最大トルク 24.5kgm (240Nm)/ 1500-4500rpm
トランスミッション 7速DCT
使用燃料/容量 プレミアムガソリン / 55L
10・15モード燃費 15.0km/L
タイヤ 205/55R16
最小回転半径 5.0m
販売期間 2006年2月~2011年2月(5代目ジェッタ)
発売時の新車価格 319万円(プライムエディション)
試乗車スペック
初年度登録 2010年9月
試乗日 2011年11月
走行距離 1万9300km
ボディカラー キャンディホワイト
備考 新車保証残りあり
AIS評価点 5点
販売価格 234万円(消費税込み)
ベスト・オブ・ジェッタはどっちだ?
先に触れたように「プライムエディション」はジェッタのファイナルモデル。「2.0 TSI スポーツライン」の代わりも果たすべく、バイキセノンヘッドライトやレザーシートも標準装備されており、まさに「最上のジェッタ」だ。
とはいえ上級グレードの「2.0 TSI スポーツライン」も、パワーとトルク、面白さ、余裕といった点では、やはりプラスαの魅力がある。もちろんこのプライムエディションの1.4直噴ツインチャージャーだって、よくぞこの排気量で、と思わせるパワー感や完成度があるのだが、やはりスポーティさという点では、最初からGTIやアウディTTへの搭載を視野に入れて開発された2リッター直噴ターボには敵わない。これは絶対的な排気量と根本的なエンジンキャラクター(あるいは設計意図)の差。その意味では、価格相応にプライムエディション<2.0 TSI スポーツラインの序列は崩れない。
燃費は「プライムエディション」の方が2割いい
逆にプライムエディションが売りとするのは燃費性能。10・15モード燃費を比較してみると、2.0 TSI スポーツラインは12.6km/L、TSI コンフォートライン(後期型)&プライムエディションは15.0km/Lと、約2割の差がある。経験上、実用燃費は10・15モード燃費に比例するから、この「差」はほぼ実態に即する。
というわけで、多少の私感を含めた今回の要旨は、日常の走行距離が短い方には、2.0 TSI スポーツラインでもプライムエディションでも、どちらでもOK。そして走りを優先したい方には2.0 TSI スポーツラインを、逆に燃料費を抑えたい方にはTSI コンフォートライン&プライムエディションをおすすめしたい。燃費性能を重視するなら、間違いなくプライムエディションは「ベスト・オブ・ジェッタ」だ。
Text:丹羽 圭(Kei Niwa), DAYS
Photo:DAYS










