掲載日 : 2012年02月01日
2007 アウディ Q7 3.6 FSI クワトロ
アウディ最大のSUV。オンロード性能を重視
アウディ「Q7」は2005年に欧州でデビュー、2006年秋に日本で発売された大型SUV。すでにQ5、そして間もなくQ3が加わり、大中小と揃うQレンジだが、Q7は全長5メートル超、全幅ほぼ2メートル、車重は2.2トン超に及ぶアウディの最重量級モデルだ。
開発のベースは、同じVWグループのVW トゥアレグとポルシェ カイエンだが、後発であるQ7のコンセプトやメカニズムは、この二者と大きく異なる。例えば道なき道を行くような悪路走破性は追求していないため、この二者のような電子制御式4WDや副変速機(ギア比をハイ・ローで切り替える)は持たず、代わりにアウディが得意とするトルク感応式センターデフを使ったフルタイム4WDを採用。これによってオンロード、未舗装路、雪道などに柔軟に対応できる走行性能を得ている。さらにアウディらしい上質感ある内外装デザイン、一部に設定のある3列シートもQ7ならではの特徴だ。
日本仕様は大きく分けて3グレード
日本ではまず、自然吸気4.2リッターV8直噴の「4.2 FSI クワトロ」から登場し、翌年には自然吸気3.6リッターV6直噴の「3.6 FSI クワトロ」が追加された。当時の新車価格は前者が945万~970万円、後者が698万~740万円で、しばらくはこの2モデル体制が続いた。なお2009年にはポジションランプのLED化、ナビのHDD化やモニターの高精細化、モード燃費の改善(従来比7~7.5%向上)などが行われている。
2010年夏には、3リッターV6直噴スーパーチャージャーエンジンと8速トルコンATを搭載した新グレード「3.0 TFSI クワトロ」に一本化。ブレーキエネルギー回生システムも採用され、10・15モード燃費は8.6km/Lまで向上した(ちなみに従来モデルは4.2の改良モデルが7.2km/L、3.6は改良前が7.1km/Lで、改良後が7.6km/L)。2012年1月現在も販売中で、新車価格は785万円。
今のところメーカーから正式発表はないが、2013年には次期型Q7が登場する模様。

巨大だけど、巨大に見えない
これで巨大と言わなかったらウソになる。ボディサイズは全長5085mm×全幅1985mm×全高1740mm。全長はカイエンやトゥアレグよりも圧倒的に長く、ホイールベースは「リムジンか」と突っ込みを入れたくなる3000mm。車重は3.6 FSIでも約2.3トン(2270kg)、4.2 FSIにいたっては約2.4トン(2370kg)もある。レンジローバーやハマーに並ぶヘビー級の一台だ。
とはいえ、見た目で言えば、そこまで巨大に見えないのがアウディの上手なところ。フロントのシングルフレームグリルこそ押し出しは十分だが、全体的には威圧感がなく上品。スタイリッシュで、都会的な雰囲気になっている。
V6は5人乗り、V8は7人乗りが標準
インパネデザインはいつものアウディ流だが、室内は広く、シートは大柄。装備も揃っているが、試乗車は3.6 FSIなのでアドバンストキーシステムは装備されておらず、エンジンはキーをひねって掛けることになる。またマイナーチェンジ前なので、ナビはDVD式だ(ただし性能は当時のHDDナビ並み)。
試乗したV6モデル(3.6 FSIと3.0 TFSI)の乗車定員は5人乗りだが、オプションで7人乗り(2×3×2)も選べた。一方、V8モデル(4.2 FSI)は7人乗りが標準で、オプションで2列目が独立式シートの6人乗り(2×2×2)が用意されていた。この3列目シートはトゥアレグやカイエンにはない、Q7ならではの特典になる。
V8かと思った
試乗したのは2007年登録の「3.6 FSI クワトロ」。約4年半落ちで、走行距離は1万7900km。コンディションは文句なしで、販売価格は485万7000円だ。
Q7に乗るのはデビュー当時の4.2 FSI クワトロ以来で、約5年ぶり。今回もV8だと思って走り始めたのだが、途中でエンジンルームを見たら「V6-3.6 FSI」と書いてあって気付いたという次第。言い訳するみたいで何だが、このV6エンジンは低回転から力強く、高回転域もパワフル。2270kgの重量級ボディを軽々と走らせる。V8と乗り比べでもしない限り、誰もが「V6で十分じゃん」と思うはずだ。
車重を忘れさせる軽快な走り
4WDシステムは「クワトロ」の本流とも言えるトルク感応式センターデフを使ったフルタイム式。駆動力配分はやや後輪寄りの40:60で、駆動力がナチュラルに伝達されるのが特徴。V8より鼻先が軽いこともあり、運転感覚は大型セダンのように軽快で、車重の重さをほとんど感じさせない。試乗車はエアサス仕様で、乗り心地もまったく問題なかった。エアサスは「コンフォート」「オート」「ダイナミック」等のモード選択が可能。
最小回転半径は6.0メートルもあるが、小回りが極端に効かない感じはしなかった。横幅や全長は確かにあるが、狭い道ではルームミラー横のサイドビューモニターが、駐車時にはバックモニターが役に立つ。むしろ日常で気になるのは、10・15モードで7.1km/L、実用ではおそらく5~6km/L前後の燃費だろう。ただ燃料タンク容量は100リッターあるので、航続距離に大きな不満はないと思う。
年式・車名 2007 Audi Q7 3.6 FSI quattro
形式 ABA-4LBHKS
寸法 全長5085mm×全幅1985mm×全高1740mm
ホイールベース 3000mm
車重 2270kg
駆動方式 フルタイム4WD
エンジン 3594cc V型6気筒DOHC・4バルブ
最高出力 206kW(280ps) / 6200rpm
最大トルク 360Nm(36.7kgm) / 2500rpm
トランスミッション 6速AT
使用燃料/容量 プレミアムガソリン / 100L
10・15モード燃費 7.1km/L
タイヤ 255/55R18
最小回転半径 6.0m
販売期間 Q7:2006年10月~、3.6 FSI クワトロ:2007年4月~
発売時の新車価格 698万円(2007年4月発売モデル、オプション含まず)
試乗車スペック
初年度登録 2007年6月
試乗日 2011年12月
走行距離 1万7900km
ボディカラー ファントムブラックパールエフェクト
備考 SEパッケージ(レザーシートなど)、アダプティブ エアサスペンション、ETC、スマートレコーダー付
AIS評価点 5点
販売価格 485万7000円(消費税込み)
おすすめは「3.6 FSI」。将来的には「3.0 TFSI」
日本で販売されたQ7は、大きく分けて3つ。自然吸気V8の「4.2 FSI クワトロ」、自然吸気V6の「3.6 FSI クワトロ」、そしてV6スーパーチャージャーの「3.0 TFSI クワトロ」だ。
おすすめは今回試乗した3.6 FSI クワトロ。初期モデルなら、そろそろ2回目の車検を迎える頃で(つまり5年経つ)、Uカーでは今が旬。走りや快適性は4.2 FSIにほとんど遜色ないし、経済性にも優れている。シートも特に必要がない限り、5人乗りで十分だろう。
もちろん4.2 FSIなら、さらにパワフルでスムーズな加速感が得られるし、3列シートも標準。アドバンストキーシステムや電動テールゲート、レザーシートなども標準装備になる。エアサスは全車オプションだったが、実際には装着車が多いようだ。
なお、3.6 FSIと4.2 FSIは2009年秋にマイナーチェンジし、LEDのポジションランプが付いたり、ナビがHDD化されたりしたが、高年式ゆえに相場は高め。なので、新しい外観にこだわらなければ、マイナーチェンジ前のモデルでも良いと思う。
もちろん技術的に最も進んでいるのは、過給器付きのTFSIエンジンと最新の8速ATを搭載した3.0 TFSIだ。現行モデルでもあり、今のところUカーらしいお買い得感はあまりないが、3~5年後には、UカーでQ7を買う場合のベストチョイスになるはずだ。
Text:丹羽 圭(Kei Niwa), DAYS
Photo:DAYS










